人気ブログランキング | 話題のタグを見る

新型インフルエンザ市民対策会議

9月9日、自治体議員や市民団体などでつくる「新型インフルエンザ市民対策会議」(委員長・母里啓子元国立公衆衛生院感染症対策室長)が発足した。

9日午後、厚生労働省をたずね、健康局結核感染症課の新型インフルエンザ対策推進室に緊急の申し入れを行った。記者会見した母里啓子委員長らは、「新型インフルエンザへの国民の恐怖心は高まっており、人権侵害や社会的混乱を増幅させかねない状況にある。特例的なワクチン輸入などおかしな対策も動き出した」として、新型インフルエンザ対策を危機管理課題としてではなく、感染症対策として冷静に対処していく必要性を訴えた。「新型インフルエンザを怖い病気だとあおらず、冷静な報道をしていただきたい」として、過去の感染症対策を冷静かつ科学的、常識的に分析し、新型インフルエンザの実態の情報収集、情報公開を求め、国民に情報を広く共有すべきと訴えた。

●厚生労働省申し入れは、以下の通り。
                         2009年9月9日
厚生労働省健康局長 様
医薬食品局長 様
                新型インフルエンザ市民対策会議
                委員長 母里 啓子(元公衆衛生院感染症対策室長)
                
冠省        
 2009年4月24日に米国で発生した新型インフルエンザは、日本では、無駄な検疫、「発熱外来」などによる医療現場の混乱、感染した高校生や感染が疑われる人に対する数多くの人権侵害問題などの社会問題を引き起こしました。しかし、新型インフルエンザの実態は、感染力は強いものの、病原的には弱毒であり、予後は良いことなどから、一般的には季節性のインフルエンザ対策と大きく変える必要はないことが明らかになっています。
 ところが、桝添厚生労働大臣は、1700万人分の新型のワクチンでは足りないとして、接種の優先順位を決めることと、足りない分は輸入してでも補うとの「宣言」を行い、国家危機管理課題として、新政権に対しても同様の対応をするよう求めていると報道されています。
 一方、海外のワクチンを国内で使用する場合に臨床試験を省略することが検討されており、副作用被害の危険性も指摘されていることから、民主党は輸入ワクチンには安全性に疑問があるとして、臨床試験の促進と副作用被害救済制度の補償の拡充のために、予防接種法をはじめとする法制度の改正も視野にいれた対策をうちだすとの報道がされています。
 新型インフルエンザは「かかってはいけない病気」とされ、「国家危機管理」とされていますが、恐怖の連鎖と過剰な防禦志向により、今後ますます人権侵害、社会的混乱と多大な損失を増幅させていくことが懸念されます。私たちは長年、市感染症対策について市民の立場から取り組んできましたが、このたび、新型インフルエンザ市民対策会議発足し、以下の点について、緊急に申し入れと質問をさせていただきたく存じます 

一 申入れ事項
1  新型インフルエンザ対策を危機管理課題としてではなく、感染症対策としてとらえるよう要望します。感染症と人類が共存してきた過程と過去の感染症対策を冷静かつ科学的、常識的に分析しつつ、国内外を含めた新型インフルエンザの実態についての情報収集、情報公開を求めます。
2 必要な人に必要なワクチン、避けられない副作用には「疑わしきは救済」を原則とし、迅速かつ十分な補償を求めます。
3 現在の新型インフルエンザが人口の過半数に接種して防疫できるかは不明ですが、弱毒性であり、予後がよいことから、接種は希望者が納得した上で接種することを基本とすること。(その意味では優先順位づけは一定の意味を持ち得ます)。
4 それ以上の勧奨を行う場合は、説得的な根拠が必要であると考えます。新型インフルエンザワクチンの臨床の結果を情報公開することを求めます。
5 接種の現場では医師がなぜ、その人にそのワクチンを推奨できるかを説明した上で接種を行うことができるようにしてください。特に、接種の強制や半強制が起きないよう学校現場での混乱が起きないよう、文部科学省との連携を密にしてください。
6 今回の輸入案に反対します。輸入が必要であるとの根拠が不明です。仮に輸入が必要であるとの積極的根拠があるのであれば、国産と同様の手続きと安全性を担保することを求めます。
7 今回特に接種優先対象とされた妊産婦への接種については接種の必要性と胎児への影響も含めた安全性のデータについて詳細な説明を求めます。また、産婦人科学会はタミフルの予防投与を主張していますが、これに対する意見をお聞かせください。
8 重症例の地域ぐるみのサポート体制を整えることを求めます。
9 新型の効果判定の意味でも、徹底的なサーベランスを義務付けてください。

三 その他 質問事項
1 今年度は季節性インフルエンザワクチンが4000万人分製造され、新型ワクチンが1700万人分製造されたといわれています。ワクチン接種を希望する場合、季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンのどちらを接種することを推奨されるのでしょうか。
2 今期の4000万人分もの製造量を決定した経緯と余った場合の処理について教えてください。
3 今回感染した人は、新型インフルエンザに対する免疫を獲得したと考えられますが、この人たちにも接種を勧めるのでしょうか。
                                     以上。
by kazu1206k | 2009-09-10 06:12 | 福祉医療 | Comments(0)