ラトブ管理組合の運営改善が必要
2009年 11月 04日
平成19年10月に、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」が開業し丸2年がたちました。総事業費289億円の公金を投入した「いわき駅前地区第一種市街地再開発事業」及び「いわき駅周辺再生拠点整備事業」です。このラトブの管理運営を担っているラトブ管理組合は、いわき市を始め、株式会社ラトブコーポレーション、いわき商工会議所など8つの床所有者全員で組織され、いわき市は、その中で、54%の区分所有権をもつ最大の区分所有者です。今年に入り、ラトブ管理組合の運営と会計処理について、問題のある事実が伝えられております。
それは、2年間、予算決算を決議する年度通常集会が、規約の規定よりも半年遅れ、規約を遵守しない不適正な組織運営が続いていること。駐車場特別会計の事業収入の剰余金が法と規約に基づく共用部分の利益分配として実施されていないことなど、建物の区分所有等に関する法律及びラトブ管理組合規約に則った適正な運営と会計処理が履行されていないのではないか、との問題が指摘されていることです。
わたしは、多額の公金を投入したラトブのしっかりした管理運営を実行するよう組合に求めるべきことを訴え、ラトブ管理組合が法と規約に則った適正な運営と会計処理を行うよう、最大区分所有者としていわき市の、一層の改善努力を要望しました。
●以下は、主な質問のやり取りです。
1点目は、ラトブ管理組合と本市のかかわりについて、です。
●質問:ラトブ管理組合の設立目的、権利義務、役員や理事会、会計など、規約の概要はどのようなものか。
■答弁(教育部長):管理組合は、「建物の区分所有に関する法律」に基づき、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うために区分所有者全員で構成する団体であり、ラトブ管理組合の設立に際しては、同法30条の規定に基づいて管理規約が設けられております。
管理規約の概要を申し上げますと、目的としては、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な環境を確保することが掲げられており、用益上の権利義務や管理費等の支払い義務に関する規定、管理組合の収入金の構成及びその使途、組合費の負担に関する規定などが設けられています。
さらに、役員については、理事7名以内及び監事1名の役員を置くものとされ、理事会では、収支予算・決算案や規約等の制定・変更案、その他全体集会に提出する議案等を決議するものとされています。
●質問:ラトブ管理組合と本市及び(株)ラトブコーポレーションの関係は、どのようになっているのか。
■答弁(教育部長):本市はラトブの区分所有者であり、管理組合を構成する組合員となっております。㈱ラトブコーポレーションは、管理規約第24条で管理組合の管理者とされており、管理組合の業務は全て当該法人に委託されていることから、管理組合とは、委託者と受託者という関係にあります。ただ、当該法人は、再開発事業で床を取得したラトブの区分所有者でもあるため管理組合の組合員としては本市と同じ立場であります。
2点目は、ラトブ管理組合の平成19年度決算と平成20年度通常集会について、です。
●質問:規約上、「毎年1回新会計年度開始以降2ヶ月以内に招集しなければならない」とされ予算決算を決議する平成20年度通常集会が、規約の規定よりも半年遅れたのは、規約を遵守しておらず適正な組織運営といえないと思います。平成20年11月26日になった理由は何か。
■答弁(教育部長):平成19年度決算の取扱いについて、ラトブ開館に伴う開業告知関係の経費やビル全体の管理システムの仕様追加などの臨時的経費を管理者が負担していたため、これを管理組合の経費に含めて決算することが適当かどうか管理組合内での検討に期間を要したことから、最終的に決算案がまとまり全体集会の通常集会において承認が得られたのがその時期になったものです。
●質問:平成19年度決算の、一般会計から駐車場特別会計への繰出金約1,388万円は、当初予算に存在したのか。
■答弁(教育部長):予算では、一般会計から駐車場特別会計への繰出金は計上されておりません。
●質問:一般会計から約1,388万円の繰入金があった駐車場特別会計では、収入の全額約5,178万円が(株)ラトブコーポレーションへの業務委託費に支出されており、駐車場施設管理費が約4,736万円、残りが同光熱水費約442万円ですが、それらの内訳はどうなっているか。
■答弁(教育部長):駐車場施設管理費約4,736万円のうち、駐車場の警備や駐車場管制設備のメンテナンス、清掃等に係る経費として約1,141万円、ビル全体の管理費で駐車場に係る経費として約3,595万円となっております。光熱水費約442万円は、全て駐車場に係る電気料になっています。
●質問:理事会や通常集会での決算承認前に、繰出金や特別会計の事業収入が流用された事実はあるのか。
■答弁(教育部長):平成19年度の管理組合決算については、管理規約等に基づいた処理がなされ、一般会計及び駐車場特別会計決算案として、理事会及び通常集会において報告があり、承認されたものであります。その際、管理組合の監事から、収支計算書等は適正に表示されているとともに、組合業務の執行については、適切に実施されているとの監査結果が報告されております。
3点目は、ラトブ管理組合の平成20年度決算と平成21年度通常集会について、です。
●質問:平成21年度通常集会も遅れている理由は何か。
■答弁(教育部長):管理規約上、通常集会は、毎年1回新会計年度開始以降2ヶ月以内に招集しなければならないとされておりますが、理事長が不在であったこと等の理由により、期間内の開催ができなかったものであります。その後、7月22日に開催された理事会において、平成20年度決算案が議案として提案されましたが、当該決算案については、経費の取扱いなど、市として承認することが困難な内容が含まれていたことから、決議に反対したところであります。その後、管理者である㈱ラトブコーポレーションと市の間で決算の内容を詰め、決着を図っているものの通常集会の開催に至っていないものであります。
●質問:理事会では、一般会計と駐車場特別会計の平成20年度決算はどのように報告されているのか。
■答弁(教育部長):去る7月の理事会に提案された決算案については、経費として計上されているものの中に、㈱ラトブコーポレーションが負担した館全体の光熱水費等を総合的に管理するための基幹システム関連経費や広告費等が含まれており、これらについて、管理組合の運営経費に含めることが妥当かどうかなど協議を行っており、決算額が確定していない状況にあります。
●質問:本年6月15日のラトブ会議室での会議の出席者、議題、内容など、会議の概要はどのようなものか。
■答弁(教育部長):本年6月15日の会議については、ラトブ管理組合の理事長から協議したい案件があると相談があったことから、話し合いの場を設けたところ、駐車場収入の取扱い等に関して管理組合内で検討したいので、市も理事という立場で協力してほしいとの申入れがあったものです。この会議には、市側から副市長をはじめ、教育部長、総合図書館長、都市建設部職員等が出席しております。
4点目は、今後の対応について、です。
●質問:本市は、建物の区分所有等に関する法律第19条やラトブ管理組合規約第33条に基づき、共用部分から生ずる利益は、床面積の持ち分に応じて区分所有者に分配すべきという考え方で対応しているのか。
■答弁(教育部長):ラトブの駐車場収入から駐車場管理費等の諸経費を控除した剰余金については、管理規約及び駐車場管理規則の規定に基づき、経費の負担割合に応じて区分所有者に配分されることとなっており、市としては、この規定に沿った処理をすべきと考えているところであります。
●質問:本市は、規約に基づく共用部分の利益の分配や通常集会の招集など、建物の区分所有等に関する法律及びラトブ管理組合規約の遵守を理事長に求めるべきではないか。
■答弁(教育部長):ラトブ管理組合の運営と会計処理につきましては、関係法令等に基づき適正に行われるべきであり、市として、今後も、この考え方により適切な対応を求めて参りたいと考えております。
●質問:民間金融機関からの融資やまちの賑わい作りのための「ラトブコーポレーション地域協議会」は2年経っても未だ設立されていませんが、決算状況や今後の見通しをふまえて、本市は、今後どのように対応をするのか。
■答弁(都市建設部長):株式会社ラトブコーポレーションは、再開発ビル「ラトブ」の一権利者であると共に、当ビル管理・運営など担うほか、いわき駅周辺の「都市環境の改善」や「賑わい創出」と行った再開発事業の目的を継承し、「中心市街地活性化の牽引役」としても期待される会社でありますことから、同社の長期に安定した経営経営基盤の確立が求められるものであります。このようなことから、市としては、地域関係団体と一体となって行う、中心市街地の賑わい創出に向けた協議の場として、更には、会社を取り巻く経営環境等の情報を共有し、運営改善などの意見交換の場として、「ラトブコーポレーション地域協議会」設立に向け、現在、共通認識の形成を図っているところであります。今後は、当協議会を早期に設立し、参加頂く関係団体と連携して、まちの賑わいの創出や会社の自主・自立の経営環境の確立に向けた協議を進めて参りたいと考えています。
ちなみに、いわき市は、平成19年12月議会で「今後、ラトブの管理運営に、本市は具体的にどう関与していくのか」とのわたくしの質問に、「市としては、管理組合の一員として、各公共施設の機能を最大限活かした運営や、複合用途の特性を活かした賑わいづくりにつながる管理運営など、市民の皆様に喜ばれる施設となるよう、積極的に取り組んで参りたい」と答弁しました。
また「ラトブコーポレーションが赤字になった際、本市の費用負担は発生するのか」との質問に、「市においても、再開発事業の所期の目的を達成するためには、当該法人の長期安定経営が不可欠との認識のもと、都市開発資金の融資など、可能な限りの支援を行ってきたところであり、今後の経営につきましては、民間企業としての自助努力によるものであり、市が何らかの財政負担をすることは無い」と答弁しています。