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日本のシギ・チドリ類重要渡来地ー夏井川河口

WWFジャパンの「ぼくらのまちに渡り鳥がやってくる 日本のシギ・チドリ類重要渡来地案内」に、いわき市の夏井川河口が、シギ・チドリ類等の渡り鳥の重要渡来地68か所の一つと選定され掲載された。
これは、WWFジャパンが、環境省委託で、国際的シギ・チドリ類の保護ネットワークの「シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」(略称:シギ・チドリ類ネットワーク)事業を推進。環境省の全国調査(モニタリングサイト1000)の全国事務局として、各地の調査員の協力によりデータが蓄積されたことから、湿地の保全管理を進めるため選定・作成したもの。協力した日本野鳥の会いわき支部では、夏井川河口でチドリ科メダイチドリとシギ科ミユビシギを複数年にわたって50羽以上確認しているという。

WWFジャパンでは、次のように述べている。
「ラムサール条約の登録基準6(推定個体数の1%以上)およびフライウェイパートナーシップ(シギ・チドリ類ネットワーク)の参加基準2(推定個体数の1%もしくは0.25%)をもとに評価したところ、68ヶ所の湿地が選出されました。これらは国際的にも価値の高い湿地として認められる要件の一つを満たしています。
もちろん、これらの68ヶ所はシギ・チドリ類等の個体数のみで判断したもので、様々な湿地の価値を考えれば、重要な湿地はさらに多いと考えられます。
しかしながら、2009年現在、これらのうち鳥獣保護区に指定されているのは22か所で、土地の改変が原則禁止されている特別鳥獣保護地区はわずか6湿地、フライウェイパートナーシップへの参加湿地を含めても11か所に過ぎず、十分な保護区設定がなされていません
また、これらの湿地の55か所(81%)で何らかの鳥類の生息に影響を及ぼしかねない脅威が報告されていますが、もっとも多く報告されたのがレジャー等、人の利用に関するもの、および海岸侵食や乾田化などの環境変化(ともに26例)でした。2010年名古屋で開催予定の第10回生物多様性条約締約国会議では、海洋保護区の増設と管理向上が主要な議題の一つとなります。広く関係者に湿地の存在を知ってもらい、開発問題だけではなく、私たちの湿地の利用の仕方を考えていく必要があります。」

湿地は生物多様性が高いだけではなく、水の浄化機能、漁業や観光業の場所として経済的にもさまざまな価値があるが、日本では開発による埋め立てや干拓によって、1945年から60年間で約40%の干潟が消失し、シギ・チドリ類の渡来数も、ここ20年間で4~5割が減少したという。

シギ・チドリ類ネットワークには、日本で千葉県習志野市の谷津干潟など8カ所がすでに登録されている。今後、夏井川河口をシギ・チドリ類等の渡り鳥の重要渡来地として、申請主体となるいわき市が環境省へネットワーク参加の申請を行い、登録が実現すれば東北初となり、国やWWFからも環境保護活動の支援が可能となる。

国際生物多様性年の今年、国も生物多様性基本法を平成20年6月施行しており、地方自治体の責務や生物多様性地域戦略の策定の努力義務が規定されたことから、いわき市としても、夏井川河口をシギ・チドリ類等の渡り鳥の重要渡来地として登録して、夏井川河口の国際的価値を知らせ、市民が海岸を大切にしながら、飛来地の保全、子どもたちへの環境教育など野鳥や環境の保護を進めていきたいものだ。


by kazu1206k | 2010-02-05 18:01 | 環境保護 | Comments(0)