「水産都市いわき」と小名浜港の課題
2010年 03月 07日
大きな第三点は、「水産都市いわきの確立」と小名浜港の課題について、であります。
水産業は、本市の重要な基幹産業の一つであり、地域経済と市民の食生活の安定に大きな役割を果たしています。
しかし、漁業者を取り巻く情勢は厳しく、資源の低下、就業者の減少と高齢化、消費や魚価の低迷などの問題に直面しております。
平成21年2月に策定された「いわき市水産業振興プラン」は、新・市総合計画の水産分野計画で、計画期間が平成21年度から25年度の5年間です。
プランの基本目標は「水産都市いわきの確立」です。そこで、プランに示された「意欲的な担い手(経営体)の育成と生産性の高い産業への転換」をどう実現していくのかという観点から、小名浜港の課題について、以下、伺います。
1点目は、本市の水産業の現状について、です。
ア、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業という3種類の漁業による本市への水揚げの現状は、ここ数年どのように推移しているか。
●答弁:農林水産部長
本市の水揚げ推移の現状ですが、遠洋漁業は、200海里などの国際漁業情勢の変化を受けまして、現在、本市への水揚げの実績はありませんが、「福島県海面漁業漁獲高統計」によりますと、沖合漁業による水揚げの数量は、平成18年が約2万7,357t、平成19年が約2万7,628t、平成20年が約2万3,805tとなっており、また、同漁業による水揚げの金額は、平成18年が約42億7,477万円、平成19年が約49億4,505万円、平成20年が約44億5,487万円と推移しております。
また、沿岸漁業による水揚げの数量は、平成18年が約3,396t、平成19年が約3,467t、平成20年が約4,050tとなっており、同漁業による水揚げの金額は、平成18年が約15億974万円、平成19年が約16億3,824万円、平成20年が約16億8,778万円と推移しております。
イ、市外籍船による水揚げの現状は、ここ数年どのように推移しているか。
●答弁:農林水産部長
市内の各水産物産地市場からの提供資料によりますと、市外籍船による水揚げの数量は、平成18年が約1万5,137t、平成19年が約1万5,070t、平成20年が約1万7,586tとなっており、同じく水揚げの金額は、平成18年が約26億2,553万円、平成19年が約32億628万円、平成20年が約31億8,248万円と推移しております。
2月下旬に、今年の初カツオをいただきました。刺身をニンニクで食べましたが、さすがに旨い。いわき市民でよかった、と実感する一瞬であります。
小名浜港は、平成19年の生鮮カツオの漁港別水揚げ量で、気仙沼、石巻、勝浦、銚子に次いで、全国5位という水揚げ量を誇ります。いわき市民の「カツオ好き」も高知市民に負けず劣らずではないかと思います。
福島県沖は、毎年6月から9月にかけてカツオの好漁場で、平成20年の漁種別水揚げ額も県内で28億700万円とトップとされています。
そこで、2点目は、市場の競争力の向上と小名浜魚市場、冷蔵庫等の整備について、です。
ア、「カツオのまち活性化事業」について、福島県は「カツオのまちづくり推進協議会」を設立して、県産カツオの知名度向上と販売促進を図り、カツオの水揚げへ増大と主産地としての地位確立を狙っておりますが、本市としてはどのように取り組むのか。
●答弁:農林水産部長
「カツオのまち活性化事業」は、県の来年度の事業として、本県へのカツオ水揚げの増大や、漁業地域の活性化等を図るために実施されるものですが、市といたしましても、この事業は、市水産業振興プランにおける「市場の差別化の推進」や「市外籍船による水揚げの促進」、「水産物に関する情報の発信」や「水産物の一体的なPR活動の推進」などの施策の推進に大いに寄与するものであると受けとめております。
したがいまして、今後、設立が予定されております「(仮称)カツオのまちづくり推進協議会」などと積極的に連携しながら、市内での普及推進事業や市外への販売促進事業など、全国有数のカツオ水揚げを誇る本市の優位性を活かした戦略的な事業展開に努めていきたいと考えております。
イ、小名浜魚市場について、市行財政改革行動計画で平成21年度に民間譲渡するとしたものの、平成21年3月に「平成24年度を目安として市所有市場を解体する」と修正され、今年度には、市所有市場の解体及び代替機能の整備を検討する「(仮称)小名浜魚市場検討委員会」を設置するとしていますが、どのように整備を進めるのか。
●答弁:農林水産部長
市所有に係る小名浜魚市場解体後の代替機能につきましては、現在、(仮称)小名浜魚市場検討委員会準備会を開催いたしまして、市場関係者と検討を進めているところでありますが、実施主体や整備手法、運営体制等が課題となっており、具体的な方向性を見出す状況には至っておりません。
市といたしましては、今後、まちづくり団体や観光関係団体等も交え、準備会から検討委員会へと早期に移行し、いわゆる民設民営を基本とした代替機能整備の魚市場としての可能性などについて、先ほどの諸課題とあわせて、財源や市場規模・機能等の視点も踏まえ、検討を進めて参りたいと考えております。
ウ、冷蔵庫等の整備について、魚市場の付帯設備として整備する場合、国の補助制度である「強い水産業づくり交付金」は「認定漁協」を条件としていますが、市外籍船による水揚げを促進し、本市水産業を振興するために、どのような整備手法を考えているのか。
●答弁:農林水産部長
冷蔵庫等の整備にあたりましては、概ね数億円規模の費用が必要になると想定されますが、現在の漁協の自己資本のみでは困難であるため、国の「強い水産業づくり交付金」の活用ということが想定されますが、この場合、実施主体が認定漁協であることが前提条件となっており、現状では、その条件を満たしておりません。
市といたしましては、今後、民設民営を基本とした施設整備の実現に向け、認定漁協の前提となる漁協合併に向けた環境整備が何よりも肝要であると考えております。
併せて、現有の冷蔵庫の稼働状況などを見極め、既存ストックが修繕等によりまして、どの程度使える余地があるのか、また、制度資金の活用とか、それに伴う市からの補助を含めました支援策等々、幅広く(仮称)小名浜魚市場検討委員会の中で、広い視点に立った調査研究を進めて参りたいと考えております。
エ、沿岸漁業の振興について、本市水産物のブランド化による付加価値向上及び食産業への展開を図るため、アクアマリンふくしまとの連携はどのように考えているのか。
●答弁:農林水産部長
「アクアマリンふくしま」と本市水産振興に向けての連携につきましては、これまで、市の魚でありますメヒカリの生態調査をはじめ、「めひかりサミット」と題した本市の水産物に関する調査情報等の発信、更には、昨年度の小名浜魚市場における「うおのぞき」の設置や、本年3月に予定されております「子ども漁業博物館」の設置など、多方面にわたって、緊密な連携を図ってきたところであります。
今後とも、アクアマリンふくしまが有する海洋文化学習機能はもとより、ご協力いただいております魚食普及や水産物の付加価値向上のためのアイデアやノウハウなどを共有するとともに、本市水産物のブランド化や食産業への展開など、新たな本市水産振興に向けた取組みを相互の連携をさらに深めて行くなかで、積極的に進めて参りたいと考えております。
オ、平成21年1月の「いわき市水産業振興プラン」の提言書では、「水産都市いわきの確立」を実現するため、市の水産業振興に関する組織体制や予算の拡充を提言されていますが、今後どう進めるのか。
●答弁:農林水産部長
市水産業振興プランの策定に当たりましては、当該プランの策定委員会から、市の水産業振興に関する組織体制や予算拡充などの貴重なご意見をいただいたところであります。
現在、市といたしましては、これらの提言などを踏まえまして、市水産業振興プランに基づいた施策を着実に推進していく必要があるものと認識しております。
また、その施策の具現化に向けましては、市役所の組織でございます当部の水産振興室において、全力をあげて取り組んで参りますとともに、庁内の組織横断的な取組みをさらに強化しながら、水産業関係者をはじめ、様々な機関・団体との連携を図っていくことにより、水産振興に係る施策並びに体制の充実・強化を図っていくことが必要であると認識しております。
先日、「カツオのまち 波に乗れ」という記事が新聞に掲載されました。
カツオの魅力を全国発信し、水揚げ量も増やすことで、新たな雇用や観光漁業にも繋がり、水産都市いわきの確立に貢献できるのではないかと思います。
そのために、市場の競争力を向上させることは重要です。小名浜魚市場、冷蔵庫・冷凍庫等の施設整備が大きな課題となります。本市が、これらの課題に積極的に取り組むことを要望致します。