いわき市立総合磐城共立病院にかわる新病院建設に向けて、宇和島市の市立宇和島病院の改築事業を会派視察した。
会派の調査項目は、大きく次の3点。
1、改築事業の経緯について
2、新病院の基本方針・設計コンセプトについて
3、市立宇和島病院の運営状況について
市立宇和島病院の改築事業の経緯は、老朽化に伴い平成2年に整備計画調査委員会、同8年に病院建設委員会、平成10年に病院改築準備室を病院内に設置。同11年、移転改築の是非が賛否同数のまま病院建設委員会が解散、議会が「病院改築調査特別委員会」を設置。同13年に当選した現市長が「市立病院の改築は、現在地と隣接地を利用して行う」と方針を示し、同14年基本調査委託契約を締結、同15年プロポーザル方式により基本設計業者を選定。同16年に病院改築準備室を対策室に名称変更、住民説明会を実施。同17年本体工事の入札を執行、工事に入り、同18年モックアップの公開、同20年に本館引き渡し、移転し、新病院として開院。同21年北棟引き渡し、グランドオープンしたもの。
●基本設計への病院職員等現場の意見の反映については、院長が本部長となって副院長、医監、医局長、看護部長、事務局長らの改築推進本部をおき、その下に管理運営部会、医療部会、機器物品部会、情報システム部会、コメディカル部会などをおいて、検討を依頼してその結果を協議決定していった。
●工事入札および業者選定の透明性の確保については、一般競争入札の上で、過去の同規模同工事の実績を条件に資格を限定。3社JVの中に地元1社も条件とした。
●建設費用および1床あたりの単価については、市長が「中の中で」200億円という建設費用の指示で、仕上がりは194億円となった。平米あたりの単価は40万円で、総事業費に対する1床あたりの単価は4,400万円、工事費のみで1床あたりの単価は3,200万円。
●新病院の基本方針・設計コンセプトは、救命救急センターとの共存、防災ヘリへの屋上へリポート、「広さの確保」で国の療養型の基準で一般病床より広い。
災害発生時の拠点病院としての機能確保のため、地下にアイソレーターとダンバーという免震装置を設置して揺れを吸収する免震構造。
「自然との関係性」で屋上緑化を2カ所で行い、1カ所をリハビリテーション用の庭園とした。
●宇和島市の病院局は、3病院、2老健施設を抱え、市立宇和島病院南伊予救命救急センターで3次救急を担う。公立病院改革ガイドラインへの対応として、当初、独立行政法人化をめざしていたが、市長再選後は、独法化せず地方公営企業法の全部適用でいくとして、この4月1日より適用された。メディカルスタッフを増員しながら、医師を減らさぬ努力を継続している。426床でベッドコントロールを行い、回転率が高い。