東電、原発耐震評価誤りを隠蔽
2010年 04月 20日
東京電力の発表によれば「平成21年4月3日および6月19日に提出した中間報告書等において使用した解析用数値について再確認をしていたところ、福島第一原子力発電所1~3号機、6号機および福島第二原子力発電所1~3号機の原子炉建屋の鉛直方向解析モデルに使用した解析用数値の一部に誤りを確認したことから、当該中間報告書等の修正を行い、本日、原子力安全・保安院に提出しました」「誤りが確認された当該箇所について、正しい数値を使用して再解析を実施した結果、すでに報告している当該号機の原子炉建屋および安全上重要な機能を有する耐震Sクラスの主要な設備等について、耐震安全性評価等に影響を与えるものではないことを確認いたしました」としている。
しかし、昨年9月に耐震安全性評価の誤りを確認していながら、7ヶ月間もこの事実を隠蔽し、福島県に報告せず、福島県民にも公表してこなかったことは、極めて由々しき事態であり、情報隠しそのものだ。
2002年の不正事件以来、東京電力は盛んに情報公開をいい、企業体質の改善を声高に主張しているが、7ヶ月間も耐震安全性評価の誤りの事実を隠すということは一体何なのか。言っていることとやっていることが違いすぎる。言葉があまりにも空虚だ。
東京電力は、肝心な点になると秘密主義が徹底する。これは誠に一貫している。中越沖地震での柏崎原発の震源断層もその情報を隠し続けてきたことが発覚している。情報公開の原則と県民の安全・安心の軽視、基本的な認識の欠如は明らかではないか。まさに県民無視そのものだ。
しかも、この7ヶ月間は、福島県エネルギー政策検討会や県議会で東京電力福島第一原発3号機でのプルサーマルをめぐって議論が行なわれていた時期だ。そこに、耐震安全性評価の誤りを出したくなかった。故意に公表しなかったのではないかという疑念が残る。
福島県のプルサーマル受け入れの技術的3条件に耐震安全性があげられていることをみても、事は重大だ。このような東京電力の耐震安全性評価が果たして信用できるのか。
プルサーマル受け入れの際、立地町は、東京電力の情報公開が進み、東京電力への信頼が回復したと言った。それがプルサーマル受け入れの背景として説明された。しかし、今回の事件でその判断が甘いものであることがはっきりしたのではないか。
この問題は、立地町にとっても、福島県にとっても、決して小さな問題ではない。
福島県民は、県民無視、安全・安心をないがしろにする東京電力の姿勢を認めない。この問題は曖昧にできない。