第五十八寿和丸事故、原因は「船体損壞」?!
2010年 04月 21日
4月19日、船主・酢屋商店の依頼によって原因調査を進める海事法律事務所は、現場に浮いていた燃油量を確かめる実験結果を、千葉県の銚子漁恊で生存乗組員3人と僚船乗組員1人にみせ、当時の燃油の流出量を確認しようとしたもの。
この写真は、日本海難防止協会の協力で、水槽中で浮いている重油の見え方などについて、油膜を0.0003ミリから2ミリの6段階で実験した写真。これをみた4人は、油膜の厚さ2ミリの写真が一番当時の状況に近いと話したという.
国土交通省運輸安全委員会は、昨年の事故経過報告で流出量は15〜23ℓで、現場の油膜は厚いところで0.01ミリ。油量は微量で船体に大きな損傷はなく大波が原因としている。
これに対し、船主・酢屋商店の海事補佐人の海事法律事務所の村上誠弁護士は、
1、落ち着きある気象・海象条件で、突然、船体が衝撃を受けた。
2、パラシュートアンカーで停留中にも係らず、一瞬で転覆した。
3、船体損壊の可能性を示す多量の油の流出があった。
として、運輸安全委員会のの経過報告書では解決できないと指摘し、気象・海象、船舶の停留、油流出の専門家三人から意見を聴くべきだと、意見聴取会の開催を求める上申書を提出していた。
今回の日本海難防止協会の協力による現場海域の燃油量を確かめる実験結果に対する生存者らの証言から、弁護士は「流出油量は単純な転覆による量を超え、安全委の見解は前提で間違っている。船体に何らかの損傷があり、一瞬の沈没につながったと考えられる」と話し、6月までに沈没過程の解析を進め安全委員会に対して、意見書を提出するという。
昨年1月に「波浪による単純な転覆事故ではない。寿和丸の船体を確認する必要がある」、水深5.800mの沈没地点を独立行政法人海洋研究開発機構所有の深海調査船によって潜水調査を行うようにと、第五十八寿和丸の遺族のみなさんのみならず、いわき市民、全国の漁業関係者14万5,683人の署名を添えて国に要望したが、まだ実現していない。