自治体議員政策情報センター「虹とみどり」 の5月政策研究会に参加した。テーマは「新しい公共についてーめざすべき理念とその担い方ー」。政府は、「新しい公共」円卓会議を開催しており、5月中に基本理念や制度整備の方向性などを取りまとめる方向。そこで、政府・行政によるNPOなどへの「安上がりの下請け化」促進ではなく、市民自治を進めるために今何が必要かを考えるために開催された。
講師は、政府の「新しい公共」円卓会議の委員でもある自治体議員政策情報センター長の福嶋浩彦さんと立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授の中村陽一さん。福嶋浩彦さんは、公共は「市民の公共」であって、「官の公共」など存在しない、政府・行政は市民の公共を作るための道具であるとして、「新しい公共」とは何かを語った。従来の公共は、主権者である市民の意思と乖離した官が、一方的な決定権を持って公共を支配し、自らの都合で民に下請けに出してきた。下請けに出す量を増やしても「新しい公共」にならない。「新しい公共」を実現するには、1)コミュニティを変え(強化し)、2)市場を変え、3)政府を変え(市民の政府を作り)、4)コミュニティ・市場・政府の相互の関係性を変える、こととし、三者の役割分担と連携の最適化を提言した。
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授の中村陽一さんは、コミュニティ・市場・政府の相互の関係性を変える社会革新の思考と実践を「社会デザイン」と呼び、「地域づくり」という文脈ではソーシャルビジネスの可能性を提唱している。経済産業省のソーシャルビジネス研究会報告では、2008年時点で、8,000の事業者、雇用規模-32,000人、市場規模約2,400億円という。半数はNPO。分野は、福祉、保健、医療、子育て支援、まちづくり、観光振興、安全安心、文化、スポーツ、国際交流と多岐にわたる。ソーシャルビジネスとは、「社会的課題の解決にビジネスの手法を持ってあたる事業体」とされる。コミュニティビジネスや社会的企業をも含む概念。いわば、今日の社会的課題の解決に向けた推進力として期待されている。大きくいえば、ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのユヌス氏のグラミン銀行。国内では昨年「ソーシャルビジネス55選」が選ばれている。