小名浜魚市場整備と検討委員会の進め方
2010年 06月 14日
小名浜港は、産業港湾地区の整備がすすむ一方で、地域の産業である水産業の拠点施設・小名浜魚市場など関連施設の老朽化が進行してきました。こうした中で、水産業の振興と漁港区の新たなあり方を模索する動きも始まっています。そこで、以下伺います。
⑴ 小名浜魚市場の整備について
ア 小名浜魚市場の整備について、本市は基本的にどう考えているのか。
—答弁(農林水産部長) 基本的なスタンスについてですが、現在、水産業を取り巻く環境は、世界的に海洋資源の保存管理や国際規制の強化が進むとともに、水産物需要が増加する反面、国内では、資源や漁獲高の減少、魚価の低迷に加え、消費者の魚離れなどが進むなど、極めて深刻な状況にあります。
これら構造的な問題の解決に向けましては、まず第一義的には、時代潮流や諸情勢の変化などを的確に捉えた国や県レベルでの支援施策による対応が、今、強く求められているものと認識しております。
お質しにございました「いわき市地方卸売市場小名浜魚市場」につきましては、昭和41年度に旧磐城市が建設しました市所有の小名浜魚市場のほかに、小名浜機船底曳網漁業協同組合等が所有する東魚市場、西魚市場など、全体で5つの施設から構成されております。
このうち、市所有にかかる市場部分につきましては、これまで、地元漁協に払い下げることとして、鋭意、検討を重ねてきた経緯がありますが、この受け皿となる地元漁協の経営の面で、払下げの実現が困難な状況となりましたことから、市は、平成23年に市場施設が耐用年数を迎えることなどを勘案し、平成24年度を目安に解体することとしたところであります。
一方、小名浜魚市場全体といたしましては、水産物流通拠点としての極めて重要な役割がありますことから、市といたしましては、これまでの経緯なども十分に踏まえた上で、「民設民営」を基本に、市場機能の再編等も含めた代替機能整備の可能性などについて、当該市場の直接的な受益者である漁協等が中心となりまして、当該漁協自らの今後の経営の観点なども十分に踏まえながら、主体的に参画・検討を進めていくことができるよう、今般、「小名浜魚市場検討委員会」を設置したところであります。
イ (仮称)小名浜魚市場検討委員会準備会における検討内容について、平成21年度に市場関係者と小名浜魚市場の代替機能整備に関して、実施主体、整備手法、運営体制などを検討してきたとされますが、構成員、検討内容、明らかになった課題など、その概要はどのようなものか。
—答弁:「(仮称)小名浜魚市場検討委員会準備会」につきましては、小名浜機船底曳網漁業協同組合や福島県旋網漁業協同組合、小名浜水産加工業協同組合などの水産業関係者をはじめ、小名浜まちづくり市民会議などの代表者14名で構成し、昨年7月以来、3回にわたり開催して参りました。
当該準備会におきましては、設置することとなる委員会の役割や構成団体、さらには市場の将来ビジョンなどについて協議を行って参りましたが、いわゆる代替機能整備に当たっての実施主体や整備手法、運営体制等が課題として整理されたところであります。
⑵ 小名浜魚市場検討委員会と今後の進め方について
ア 小名浜魚市場検討委員会の設置について、小名浜魚市場の代替機能の整備とその他の必要な事項の調査審議を行うため設置されましたが、検討委員会の構成やスケジュールなど、今後の進め方はどのようなものか。
—答弁: 「小名浜魚市場検討委員会」につきましては、小名浜機船底曳網漁業協同組合や福島県旋網漁業協同組合、小名浜水産加工業協同組合などの水産業関係者をはじめ、いわき商工会議所や小名浜まちづくり市民会議、さらには社団法人いわき観光まちづくりビューローなど、まちづくり団体や観光関係団体等の代表者等々、幅広い参加の下で、去る5月27日に第1回の委員会を開催したところであります。
今後につきましては、他の市場の事例調査などを行うとともに、実施主体や整備手法、運営体制などの諸課題の整理を図りながら、「民設民営」を基本とした小名浜魚市場の代替機能整備の可能性などについて、まちづくりの視点も含め、来年秋ごろを目途に、一定の方向性を取りまとめて参りたいと考えております。
イ 小名浜魚市場の代替機能整備における市場機能・規模については、漁業生産性の向上が可能となる漁獲物・水産物荷さばき施設と漁獲物・水産物鮮度保持施設の整備が必要であります。漁業収益力と水産物流機能の強化につながる市場機能・規模をめざすべきではないか。
—答弁;市所有の小名浜魚市場の代替機能としての市場機能あるいは規模につきましては、今般設置いたしました「小名浜魚市場検討委員会」におきまして、流通拠点機能の強化による水産物の安定供給と産地価格の向上というものを念頭に置きながら、検討して参りたいと考えております。
ウ 小名浜魚市場の代替機能整備における事業費・整備財源について、水産庁の補助制度である「強い水産業づくり交付金」が要綱改正によって「認定漁恊」要件が削除となりました。
これを受け、漁業収益力・水産物流機能の強化に向けた漁業生産性向上対策として漁獲物・水産物荷さばき施設、漁獲物・水産物鮮度保持施設の整備支援メニューの利用を積極的に進めるべきではないか。
—答弁:市といたしましては、今、お話にありました施設整備の検討に当たりましては、事業主体にとって、最も有利な補助制度等の活用が不可欠であると考えておりますことから、国県等の制度の動向を的確に把握しながら、適切に検討して参りたいと考えております
エ 小名浜魚市場の代替機能整備における事業主体について、今後の協議・調整をどう進める考えか。
—答弁:小名浜魚市場の代替機能整備における事業主体につきましては、「民設民営」の考え方を基本に、卸売業者である小名浜機船底曳網漁業協同組合や市場利用者である買受人の皆様の意見などを幅広くお伺いするとともに、他の市場の事例なども十分踏まえた上で、「小名浜魚市場検討委員会」において、小名浜魚市場のあるべき姿の具現化に向けて、何よりも事業費や財源なども含めた事業実現の可能性というものを軸に協議・検討して参りたいと考えております。
オ 市所有小名浜魚市場の解体時期について、小名浜魚市場の代替機能の整備に関する本市の方針決定が平成23年度内であります。今後の代替機能整備の事業主体及び整備の状況に合わせ、平成24年度中の解体については柔軟に対処すべきではないか。
—答弁: 冒頭申し上げましたとおり、市所有の小名浜魚市場につきましては、平成24年度を目安に解体することとしておりますが、実施に当たりましては、本市最大の水産物の取扱量を誇る地域の拠点市場としての小名浜魚市場の運営に影響が出ないように、適切に対応して参りたいと考えております。