国保税値上げに反対
2010年 06月 18日
値上げの理由は、平成22年度の事業運営に約6億円の収支不足額が見込まれ、厳しい経済情勢下で被保険者の所得が減少しているため国民健康保険税の追加負担は極力抑制されるべきとして、昨年に続き国民健康保険基金約2億6,900万円から約1億6,000万円を取り崩し繰り入れを行うものの、必要最小限の税率改正で値上げが必要というものだ。
この値上げについて、わたくしは本会議で質疑を行い、国民健康保険事業の中期見通しと改善策、全国市長会の政府に対する国民健康保険制度に関する重点要望についての実現状況、国民健康保険制度改革の考え方などをただした。
市民恊働部長の答弁は、国民健康保険事業の中期見通しについて、後期高齢者医療制度の平成24年度末廃止に伴う国の抜本見直し議論の状況で中期見通しが立たないこと、改善策としては国保事業の安定運営のため何よりも医療費を適正化することとしレセプト点検、適正受診の呼びかけ、ジェネリック医薬品の利用促進、ナイト検診による特定検診率の向上と約83%まで落ちた収納率の向上などを挙げた。また、全国市長会は医療保険制度の一本化と国保制度の当面の財政措置拡充などを国に要請しているが、医療保険制度の一本化は5月の法改正で市町村の国保事業運営に対して将来地域保険として一元的運用を図るとの観点から、都道府県が広域化に向けて支援方針を策定できることになり、財政措置拡充は、高額医療費共同事業などの財政基盤強化策が4年間延長されることになった。今後の改革は、県の国保事業の広域化の検討に市として参加して積極的に提言していくというものだった。
これらの答弁を受けて、会派としては、以下の諸点を確認して反対した。
・基金取り崩しも限度であり、厳しい経済情勢と高齢化による給付費増の傾向が続き来年度の値上げも想定されるが、1984年からの国が国庫助成金を45%から38.5%へと削減したのが要因であること。
・国庫負担の削減で、国保税の値上げ、滞納世帯の増加、国保税収納率の低下、国の交付金削減、国保会計赤字の拡大という悪循環に陥り、国保財政は自治体だけの努力では解決できない危機的状況で、国民皆保険制度を維持するためには、国民健康保険財政への国庫負担割合を段階的に1984年当時の医療費総額の45%に戻すことが必要であること。
・国民健康保険事業の中期見通しが立たない中、国民健康保険制度自体、医療保険制度の一本化にむけた制度改革を急ぐ必要があること。
・本市としては、給付と収納に対する全庁的な取り組みと特別体制が必要であり、庁内の真剣な努力なしに税額の値上げで乗り切ろうとする手法はとるべきでないこと。