岩手県北上市の北上コンピュータ・アカデミーを7月15日会派で視察した。
これは、2008年厚生労働省が、いわきコンピュータ・カレッジをはじめ全国に11校ある情報処理技術者養成施設(2008年4月時点)を2010年4月時点で定員充足率70%を下回る施設は2011年度以降廃止すると通知して廃止問題が、いわき市においても大きな課題となっているためだ。
政権交代後、民主党は2010年度入学生が卒業する2011年度までは暫定措置を検討、施設の譲渡を円滑に進めるとし、今年5月厚生労働省は、施設譲渡は公共目的を条件に、譲渡価格は時価(鑑定評価額)から取り壊し費用を差し引いた額とする、との通知を出していた。いわき市は国による施設の継続運営を求めている。
北上市は、東北新幹線、東北縦貫自動車道、東北横断自動車道秋田線など高速交通体系の要として、岩手県内最大の工業都市として発展してきた。北上市は、国の情報処理技術者養成施設の施策を受けて、工業団地等の企業集積が進み、産業の高度化、情報化に対応する情報処理技術者の育成のため、岩手県と連携し国に設置要望を行い、1991年に北上コンピュータ・アカデミーが設置された。北上市は、用地取得、運営する「職業訓練法人北上情報処理学園」の設置と市長の理事長就任、体育館やグランド、テニスコートの整備、市からの事務職員の派遣と人件費補助、訓練生の就職補助とキャリア研修等の支援を行ってきた。
北上の特徴は、1.市長が自ら北上市内はじめ奥州市、花巻市のすべての高校を春と秋に訪問する旺盛な入学生勧誘・確保活動。2.北上市職員の採用はじめ、公務員講座や医療事務などを課外授業にいれ、カリキュラムに自動車産業の高度化に係る組み込みソフト実習の採用、福島県にも出かける年4回の就職ガイダンスなど徹底した就職活動支援の実施。3.奨学金制度はもとより、学生寮の30部屋の完備と補助制度の確立。こうしたことにより、北上コンピュータ・アカデミーは、入学定員100人に対し2008年に47人だった入学者が、2009年には96人、2010年には123人という実績を確保するに至っている。
北上コンピュータ・アカデミーは、2009年度全国11のカレッジの中で70%の充足率をクリアした2校に入り、現在は、施設継続の方針のもと、岩手県との政策協議を重ね、内部調整を進めているところだ。