共立病院のPET導入、新生児集中治療室
2010年 09月 09日
共立病院では肺がんの手術ができない、里帰り出産が困難だ、皮膚科の入院施設がないなど、いわきで受けられなくなってしまった医療について、いわきの地域医療を守っていく上で、市が現状打開のためにどんな努力をしているのか、市民は市の取り組みを厳しく見つめています。そこで、以下伺います。
1点目は、地域医療と共立病院の現状改善について、です。
ア、PETなど高度医療機器の導入について、です。
がんの早期発見、治療前の病気の広がりの診断、また治療後の再発発見に絶大な威力を持つポジトロン断層撮影装置PETの導入について、本市は「新病院建設の基本的な構想を策定する中で、新病院が担うべき機能とあわせ、高度医療機器の導入等についても検討していく考え」と慎重です。これは新病院ができるまでお預けと受けとれ、市民の医療を守る立場からは本末転倒です。
PETなど高度医療機器の導入を計画的かつ早急に推進すべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)医療機器の導入につきましては、各診療科からの要望を集約し、院内に設置しております器械備品整備委員会において、機器導入の必要性や緊急性、また、現有機器の老朽化の度合い、さらには、費用対効果などを総合的に勘案し、計画的に行ってきたところであります。
加えて、ポジトロン断層撮影装置などの高額な高度医療機器の導入につきましては、その効果等を慎重に見極める必要があること、現在、安定した経営基盤の確立に向け、短期的に収支改善を図る必要があること、さらには、新病院の建設が予定されていることなどから、慎重な対応をせざるを得ない状況にあるものと考えております。
ア-2 現在、市民は、わざわざ他市に出かけPETによる受診を受けており、市民から「何とかならないか」と要望が寄せられています。早急に対応すべきと考えますが如何でしょうか。
—答弁(病院事業管理者)慎重な対応をせざるを得ない。
イ、共立病院医師の時間外労働について、
平成20年度及び21年度上期に毎月100時間を超える時間外労働をしていた消化器科、循環器科、整形外科、未熟児・新生児科、産婦人科、心臓血管外科の6診療科の21年度下期の実態を伺います。6診療科は改善の方向に進んでいるのか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)整形外科をはじめとした6つの診療科において月平均100時間を超えて時間外労働をしている医師の数は、平成21年度上期が13名で、平成21年度下期は14名となっており、上期と下期がほぼ同様の状況となっております。
これらの診療科は、勤務時間外に救急患者や入院患者の急変に対応することが他の診療科に比べ多いため、時間外労働が多くなるものと認識しております。
ウ、共立病院の医師住宅について、
真冬にマイナス2度になる部屋やムカデが出るというお話も聴きました。築後30年以上で老朽化が懸念される医師住宅の改善をどうすすめるのか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)医師住宅につきましては、毎年、居住している医師や家族の要望を聞き取り、計画的に修繕を実施しております。また、建築年次の古い一部の医師住宅につきましては、新規入居には提供しないこととし、賃貸物件へ切り替えるなどの対応をとっております。
2点目は、共立病院の周産期医療と新生児集中治療室(NICU)について、です。
ア、市長公約の周産期医療センターの早期立ち上げについて、
12月定例会で共立病院の地域周産期母子医療センターの医師確保を最優先の課題として取り組むとの議会答弁でありましたが、この公約実現にはどう取り組んでいるか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)医師招聘の取り組みといたしましては、市長、病院長、私などが様々な機会を捉え大学医局や福島県への働きかけを継続的に行っているほか、市が実施している病院勤務医師就職ガイダンスに参加するなど様々な取組みを実施しております。こうした取り組みの結果、本年4月には、産婦人科医師1名の増員が図られたところです。
今後とも、診療体制のさらなる充実を図り、地域の中核病院として市民の皆様に安全、安心の医療提供をしていけるよう医師招聘に取り組んで参りたいと考えております。
イ、新生児集中治療室(NICU)の利用は、いわき市内の新生児のうちどのくらいの割合になるか。1990年のNICU開設以来の傾向をお尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)新生児集中治療室、いわゆるNICUの入院患者総数には市外の患者さんも含まれておりますが、いわき市内の新生児数と比較しますと、開設当時は4.1% 155名であり、以降20年間、約3%から5%の間で、人数的には110名から170名の間で推移しております。直近3年間で見ますと、平成19年は 4.0% 120名、平成20年は 4.4% 126名、平成21年は 4.0% 110名 であります。
ウ、新生児集中治療室(NICU)の平均在院日数はどの程度か、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)NICUにおける平成22年4月から7月までの平均在院日数は、37.9日となっております。ただし、超低出生体重児の場合は、4ヶ月から半年程度の入院期間を要しております。
エ、新生児集中治療室(NICU)は、現在6床で満床となりますが、受け入れられない患者さんを市外に出す事例が発生して以降、年間どのくらいの患者さんが市外の病院で受診しているのか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)総合磐城共立病院では、平成2年のNICU開設以来、市内の新生児の受け入れ要請につきましては、これまでお断りしたことはありません。
しかし、市外の妊婦及び新生児につきましては、平成14年に初めて、5名の受け入れが困難となり、市外の医療機関への受診をお願いせざるを得ない状況となりました。その後もNICUが満床の場合に、市外の妊婦及び新生児ならびに市内の妊婦が市外の医療機関で受診しており、その人数は、
平成15年 10名、平成16年 5名、平成17年 0名、平成18年 11名、平成19年 6名、平成20年 13名、平成21年 5名となっておりますが、いずれの場合におきましても、当院の未熟児新生児科の医師が受け入れ先を確保した上で対処いたしております。
オ、NICUのベッド増床について、です。
現場では1990年のNICU開設以来9床に増床する要望をしていると聴きましたが、増床して受け入れ拒否をなくし診療報酬も増加させる考えはあるか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)NICUは、早産児や低出生体重児、または何らかの疾患のある新生児を集中的に管理・治療する部門であり、現在、2名の未熟児新生児科の医師が診療を担当いたしております。担当医師は6床のNICUのほかに14床の後方病床も管理しており、24時間、365日、常時対応しなければならず、膨大な業務量のもとでの勤務を余儀なくされております。したがいまして、現状の医師数のままで、NICUの増床をはかるとした場合、患者さんへの安全な医療提供体制に支障を来たすことが懸念されますことから、まずは、医師の確保を最優先の課題として取り組んで参りたいと考えております。
カ、NICUの機器の整備について、
保育器やモニター、呼吸器など機器類の更新は計画的かつ適切に進めるべきではないかと思いますが、如何でしょうか。
—答弁(病院事業管理者)NICUにおける医療機器の整備につきましては、他の診療科と同様に要望を集約し、院内に設置しております器械備品整備委員会において、機器導入の必要性や緊急性、また、現有機器の老朽化の度合い、さらには、費用対効果などを総合的に勘案し、計画的に行ってきたところであります。なお、平成21年度には、超音波診断装置を購入したほか、本年度は、小児用脳波計を購入する予定であります。
キ、共立病院NICUの母乳育児支援、ファミリーケアは外部からどのような評価を受けているか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)当院のNICUは、全国に先駆けて母子同室の部屋を併設し、母と子のスキンシップを積極的に図る母乳育児支援を行っております。その具体的な取り組みとしては、入院直後から、赤ちゃんのそばで搾乳することで、母乳の出が良くなり、また搾乳した母乳を赤ちゃんに飲ませることで、母と子のふれあいが図られると喜ばれております。さらに、ファミリーケアの取り組みとしては、病院における通常の面会時間を超えて午前11時から午後4時まで、午後5時から午後9時まで、面会時間を拡大したことで、利用者からは、面会回数や時間が増し、親子の絆が深まったとの評価をいただいております。
地域医療と総合磐城共立病院の改善は、市民の切実な願いでありますから、本市として、一歩一歩、確実な取り組みを行うこと改めて要望して、次に進みます。
