市後期基本計画と実施計画の重点施策
2010年 12月 09日
新・市総合計画後期基本計画は、基本構想を実現するため平成23年度から32年度まで10年間の行政の基本的な施策を体系的に定めるものです。
今回、はじめて行財政改革大綱と一体化し、まちづくりと行財政運営について、5つの目標数値と181の具体的成果指標を掲げたのが特徴と説明されております。
市民参加の計画づくりとして、市民意識調査や地区懇談会などを行って策定されたましたが、果たして市民ニーズはどの程度反映されたのか。市民の行政に寄せる期待は施策として盛り込まれたのか。実施計画の重点施策と取り組みを含めて、以下伺います。

⑴新・市総合計画後期基本計画への市民ニーズ等の反映について
ア 市民意識調査で優先度が高かった市民ニーズと地区懇談会で出された主な意見は、まちづくりと行財政運営の重点施策の中に、目標数値や成果指標として、どう反映されたのか。
—答弁(行政経営部長)
後期基本計画の策定に当たりましては、平成21年度に実施した市民意識調査や、去る7月に開催した地区懇談会での意見等を踏まえ、今後、重点的に取り組むべき施策といたしまして、地域医療体制の充実などを図る「安全で安心な社会の形成」や、子育て支援の充実などを図る「次世代を担う子どもの育成」、地域内における産業連関の構築や起業・創業の育成支援などを図る「地域資源を活用した産業力の向上」などを位置付けたところであります。
また、これらの施策の成果指標といたしましては、地域医療の確保・充実に関し、「人口10万人当たりの医師数」を、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに関し、「乳児保育受入れ可能児童数」を、企業誘致の推進に関し、「工場立地件数」などの具体的な数値目標を設定したところであります。
イ 昨年の市長選における市長公約は、後期基本計画に具体化されたのか。
—答弁(市長)
昨年の市長選におきましては、市民の皆様に、「安全安心のまちづくり」や「産業に活力あるまちづくり」など、6本の柱からなる施策をお示ししてきたところであります。
今回の後期基本計画の策定に当たりましては、これらの施策を念頭に置くとともに、まちづくりに関する市民の皆様からのご意見等を踏まえながら、本市を取り巻く社会経済情勢の変化への適切な対応、さらには、本市の将来を展望したまちづくりの観点に立ち、本市の振興発展に向け必要不可欠な政策・施策を取りまとめたところであります。
公約の実現に向けた具体的な施策等としては、「新エネルギー活用のまちづくり」においては、「新エネルギー利用の推進」や「省エネルギー対策の推進」など、「安全安心のまちづくり」においては、「地域医療の確保・充実」や「市立病院における安全で安心な医療提供」など、「人がいきいきと輝くまちづくり」においては、「安心して子どもを生み育てられる環境づくり」や「地域福祉を推進するネットワークづくり」、「地域で暮らすための支援体制の確立」、「男女共同参画社会の実現」など、「未来を担うまちづくり」においては、「学校・家庭・地域の連携による教育力の向上」や、「小・中学校教育の充実」、「生涯スポーツの振興」、「芸術文化の振興」など、「産業に活力あるまちづくり」においては、「多様な連携による新事業の創出支援」や「市民ニーズに応える商業の振興」、「企業誘致の推進」、「多様な雇用機会の創出」など、「行政効率一番のまちづくり」においては、「庁内分権の推進」や「事務・事業の整理合理化」などであります。
⑵ 新・市総合計画後期基本計画実施計画の重点施策と取組について
後期基本計画のうち、来年度から3年間の実施計画が公表されています。
ア 新・市総合計画後期基本計画実施計画3年間の財政収支見通しはどうか。
—答弁(財政部長)
景気の状況や国の地方財政対策等の経済情勢の変化や、人口減少・少子高齢社会の進行等の社会構造の変化などの影響により、歳入面では、市税収入や地方交付税が減少傾向にあるものと見込まれる一方、歳出面では、社会保障関係経費の増加や、公債費が依然として高い水準で推移するものと見込んでおります。
以上の前提に基づく、収支見通しにおきましては、平成23年度から平成25年度までの3年間で、財政調整基金を約32億円取り崩して対応せざるを得ない状況となっており、依然として市財政は厳しい状況にあると考えております。
イ 行財政運営の重点施策「公共施設の適正化」のうち「公共施設の維持管理の適正化、公共施設の再編」の「公共施設の適正化」はどうすすめるのか。
—答弁(行政経営部長)
公共施設の適正化につきましては、具体的には、平成23年度におきましては、公共施設の老朽化の度合いや修繕の状況、管理運営コスト、利用状況など基礎的情報を整理し、今後の見通しも含めた分析調査を行い、本市の公共施設に関する現状や課題等を明らかにし、公共施設に関する方向性を取りまとめて参りたいと考えております。
また、平成24年度以降におきましては、当該方向性を具現化するための取り組みを行い、着実に公共施設の適正化が図られるように努めて参りたいと考えております。
ウ まちづくりの重点施策「安全で安心な社会の形成」のうち「地域医療の確保・充実」の「大学医学部寄附講座開設事業」はどう進めるのか。
—答弁(保健福祉部長)
寄附講座開設事業は、地域医療の中心的役割を担う市立病院の医師が不足している診療科について医師を確保するため、市が医学部を有する大学に寄附講座を開設し、市立病院への医師招聘につなげようとするものであります。
具体的には、市立病院との協議を踏まえ、医師派遣に係る優先診療科の選定を行い、それに対応可能な複数の大学を選定し、市と市立病院が共同して大学関係医局との協議により、寄附講座名、寄附講座の設置期間、研究拠点、寄附金額等について合意をしたうえで、大学と本市との間で寄附講座の設置に関する協定を締結することとしております。
エ 行財政運営の取組の柱「市立病院事業経営の健全化」について、改革プランの収支計画は共立病院の自己評価でも不十分としており、再び赤字が累積する中で従来通り収益増加策と費用削減策を一体的に行うとしているが、経営目標である平成25年度の経常黒字、平成23年度の運転資金確保に向けて、どのような具体策をとるのか。
—答弁(病院事業管理者)
今後の取組みといたしまして、まず、収入におきましては、市立病院改革プランに基づき、これまで実施してきた7対1看護体制などの改善策の継続に加え、病床の見直しやベッドコントロールの強化等による病床運用の効率化、地域医療機関との更なる連携強化等により、医業収益の増加を図って参る考えであります。
また、支出におきましては、医薬品、診療材料等の在庫管理の適正化、医事業務などの委託業務の見直しなどに加え、職員の定数管理の適正化による人件費の抑制を進めて参る考えであります。
さらには、平成24年度の診療報酬改定を見据え、組織体制の整備を図るなど、これまで以上に、収益増加策と費用削減策を一体的、かつ、積極的に実施することにより、平成23年度の運転資金の確保、さらには、平成25年度の経常黒字の経営目標の達成に向け、全力を挙げて取組んで参りたいと考えております。
オ 行財政運営の取組の柱「外郭団体の見直し」について、本市が支援する23の外郭団体の経営上の検証を行い設立目的の機能が十分に果たされているか精査して統廃合を検討するとされているが、具体的にはどう進めるのか。
—答弁(総務部長)
外郭団体見直しの具体的な取組みといたしましては、各団体の経営状況の点検評価を毎年定期的に実施し、抜本的な改善が必要な場合には、経営改善計画等の策定を求めることとしております。
今後におきましても、団体との緊密な連携のもと、経営の健全化などへの適切な指導を行うとともに、公益法人制度改革に向けた対応を進めていく中で、必要に応じて、外郭団体の統廃合について検討して参りたいと考えております。
【まとめ】
10年間の後期基本計画と来年度から3年間の実施計画の重点施策などのポイントをいくつか伺いましたが、「計画のための計画」になっているのではないか、との疑問も出されております。
世界経済危機が続き失業と貧困が拡大する中、何より、市民の優先度が高い「医療の充実や子育て支援」などの市民ニーズに十分応えることと、情勢の変化に柔軟に対応する行政運営をしていただくよう、市長のリーダーシップをあらためて要望致しまして、次の質問に移ります。
*最後まで、ご覧頂きありがとうございました。
