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三菱重工へ談合の損害賠償請求

12月定例会の総括質疑のご報告です。
2回目は、議案第17号 訴えの提起について、です。
以下、やりとりをご紹介します。

一つは、入札時の受注調整行為により被った損害につき賠償を求める訴訟について、です。

1点目、南部清掃センター建設工事談合事件による三菱重工株式会社に対する損害賠償は、市民による住民訴訟で談合が認定され、契約金225億5400万円の5%相当額約11億円と延滞金約5億円が確定しているが、本市が新たに損害賠償請求を行う理由は何か、お尋ねします。
 —答弁は、すべて生活環境部長。
 住民訴訟における原告の取組みに対しては、敬意を表するものでありますが、損害の回復については、なお、市として、自ら主張するべきであると判断したものであります。

2点目、平成20年1月の住民訴訟の福島地裁判決で「いわき市が、公正取引委員会の審決の確定まで、損害賠償請求権の行使を控えるのは、「民法709条に基づく損害賠償請求権を有しているのに違法にその行使を怠っている」と指摘され、今回提訴は遅きに失した感があるが、「訴えの提起は、これまでの一貫した市の基本姿勢に基づく」とはどういうことか、お尋ねします。
 —答弁
 市は、誓約書の徴収や他の都市の事例ではなかった協定書の締結など、その時点、時点で適切な対応を図ってきたと考えておりますが、こうした取組みについて、主張の機会を与えられないまま、福島地裁の判決に至ったものであります。
 これを受け、市は、住民訴訟控訴審において、補助参加し、附帯控訴を行いましたが、三菱重工業株式会社の訴えの取下げにより、市の主張について判断を頂けないまま、住民訴訟が確定したところであります。
 住民訴訟の確定後における、市の取り得る法的手段は、独占禁止法に基づく損害賠償請求でありましたが、この訴えは、審決の確定を要件としているため、従いまして、最高裁において審決が確定した平成21年10月6日以降でなければ行動を起こせなかったものであります。

3点目、本市の損害賠償請求額はいくらか、お尋ねします。
 —答弁
 基本的な考え方といたしまして、損害賠償請求額につきましては、当該南部清掃センター建設工事における落札率、99.86%と公正取引委員会により認定された談合5社以外の事業者が受注した21件の工事の平均落札率、89.76%の差である、予定価格の10.1%を基本として、先に支払われた損害賠償額を控除し、さらに弁護士報酬などの費用を加え請求することとしておりますが、詳細につきましては、今後、代理人弁護士と協議のうえ、決定してまいりたいと考えております。

4点目、本市は、市民による住民訴訟の確定により、三菱重工株式会社が本市に支払った損害賠償金と延滞金併せて約16億円を、昨年6月末すでに受納し決算しているが、損害賠償金額の多寡を争うのであれば、受納せず法務局に供託して本件損害賠償請求訴訟を提起するのが道理ではないのか、お尋ねします。
 —答弁
 住民訴訟が確定した段階で、市から三菱重工側に対して損害賠償請求書を送付したところでありますが、その文書には、将来の独占禁止法に基づく法的対応も視野に入れながら、法律専門家の方とも相談のうえ、協定書に基づく請求を行う場合があることを付記したところであります。

5点目、三菱重工株式会社は住民訴訟による損害賠償をもって義務の完全履行としているというが、住民訴訟の確定により損害賠償金等を受納した自治体が、再度損害賠償請求した事案で、勝訴して再賠償金が支払われた事例はあるか、お尋ねします。
 —答弁
 本市以外では、多少事例は異なりますが、静岡県熱海市が住民訴訟での敗訴を受けて、本年8月に、独占禁止法に基づく訴えの提起をし、現在、係争中でありますが、それ以外の事例は承知しておりません。

6点目、本件損害賠償請求に勝訴できると判断している理由は何か、お尋ねします。
 —答弁
 これまでの基本姿勢に基づき、市は、自ら行動を起こすべきとの判断に至ったものであります。
 訴えの提起の議決をいただければ、司法の場で、市の主張が認められるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

7点目、弁護士の成功報酬など本件訴訟費用は、どの程度と見込んでいるのか、お尋ねします。
 —答弁
 本件訴訟費用につきましては、本定例会に補正予算案として提案しておりますものとしては、訴訟提起時に弁護士への着手金105万円、裁判所へ納付する手数料358万円、計463万円を見込んでおります。
 その他として、訴訟活動に伴う実費、また勝訴した場合の成功報酬などがありますが、これらは今後の裁判の推移によるものであります。

8点目、入札時の受注調整行為により被った損害について、本市は、市長はじめ幹部を含む官製談合の疑惑がもたれた事態について究明したのか、お尋ねします。
 —答弁
 市は、こうした事案を所管する公正取引委員会の審決の確定という、事実に基づいて、今回、訴えを提起しようとするものであります。
 なお、住民訴訟においては、当時の公人としての市長及び収入役に対しましては、工事代金の支出命令差止め等の請求、また、私人としての元市長及び元助役に対しましては、三菱重工業株式会社と連帯し、契約額の約31%に相当する69億9,000万円程度を支払えとの損害賠償請求がなされましたが、平成19年4月までに、これら、公人、私人に対する訴えは、すべて取下げられたところであります。

9点目、本市は、官製談合疑惑の説明責任を果たしたのか、お尋ねします。
 —答弁
 今回の事例における公正取引委員会や裁判所のように、公共の仕事は、立法、司法、行政、あるいは、国と地方の適切な役割分担のもと行われている訳でありますが、市は、地方自治体として、成すべきこと、成し得ることについて、取り組んできたものと考えております。

*最後まで、ご覧頂きありがとうございました。


by kazu1206k | 2010-12-13 08:29 | 議会 | Comments(0)