23年度予算編成と会派要望への対応
2010年 12月 15日
大きな3項目のうち「平成23年度予算編成について」のやり取りを以下、紹介します。
いまだ世界は100年に1度の経済危機のただ中にあり、本市の地域経済と市民生活は、依然として厳しい状況が続いております。
本市は、税収の落ち込み、雇用情勢の悪化という状況下で、少子高齢化への対応、地域医療の再生、地域社会の復元など、当面の課題に対する対応が迫られています。
「市総合計画後期計画」10年間の初年度である平成23年度当初予算編成に臨んで、市民が置かれている厳しい環境を念頭に、財政の健全性確保を基本として、市民生活を守る市民本位の予算を編成されるよう切望し、以下伺います。
1点目は、平成23年度予算編成に関する基本的な考え方について、です。
ア 必要な市民サービスの確保や新・市総合計画後期基本計画の財政目標の達成など、財政の健全性を担保しながら市民本位の予算編成をどうすすめるのか、お尋ね致します。
—【答弁:財政部長】平成23年度当初予算の編成につきましては、大変厳しい財政状況が想定されるところではありますが、「新・市総合計画後期基本計画」に基づき、事業及び施策を着実に推進する必要がありますことから、行財政の簡素・効率化や経費の節減・合理化に努め、将来にわたり持続可能な行財政運営を目指し、市民福祉の増進と将来世代への責任を同時に果たしつつ、収支の均衡を図ることを基本としてまいりたいと考えております。
具体的には、歳入面では、市税等の徴収対策の強化による自主財源の確保に努めるとともに、歳出面では、市民サービスの現場にある各部等が、市民の皆様のニーズを的確に捉えたものとするなど、事業の重点・選別化を推進してまいりたいと考えております。
なお、経常的経費につきましては、これまで4年連続で実施してまいりましたマイナスシーリングを行わず、ゼロシーリングでの枠配分を行ったことや、平成17年度から実施しておりました、基金原資の取り崩しを行わないこととするなどの見直しをしております。
2点目は、創世会の平成23年度予算要望について、です。
創世会は、11月に平成23年度予算要望書を渡辺市長に提出いたしました。
予算要望書の大きな柱は、「地域医療など市民生活を直視した施策の実施」「子育て支援、障がい者・高齢者福祉の充実」「経済、雇用環境の改善」「農水商工、産業の振興と連携強化」などの八つでありますが、新規項目を軸に、いくつか伺います。
ア まず、創世会の平成23年度予算要望を、本市の平成23年度予算編成にどう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:財政部長】平成23年度の予算編成にあたりまして、いわき市議会創世会からいただきましたご要望につきましては、「市民生活を直視した施策の実施」など、8本の柱で重点的に取り組むべき施策を示されておりますが、いずれの施策も市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支えるものとして大変重要なものであると受け止めております。
現在、平成23年度当初予算の編成作業を進めておりますが、会派のご要望を十分に念頭に置きながら、新・市総合計画後期基本計画に基づく事業・施策の着実な推進を実現するための予算案を取りまとめてまいりたいと考えております。
イ 次に、子宮けいがんへの正しい知識の啓発とワクチン助成について適正に対応するとの子宮けいがん対策については、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:保健福祉部長】本市における子宮けいがん対策につきましては、街頭キャンペーンや大学キャンパスでのチラシ配布、成人式資料への折込や市内医療機関窓口でのチラシ設置を行うとともに、検診対象者への無料クーポン券送付時に「女性のためのがん検診手帳」を同封し啓発に努めているところであり、引き続き、これら事業を実施して参りたいと考えております。
また、子宮けいがんワクチン接種にかかる助成につきましては、国県の動向を見極めながら、適切に対応して参りたいと考えております。
ウ 次は、市立総合磐城共立病院の抜本的改善を進め、新病院建設を5年の目標として実現することについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:病院事業管理者】新病院建設につきましては、本年4月に定めた取組方針において、平成23年度末までに、まず、新病院の基礎となる基本構想を策定するところであり、「新病院建設に係る基本構想づくり懇談会」において、十分な検討が図られるよう、必要な予算を確保して参りたいと考えております。
基本構想を策定した後の進め方については、はじめに、開院までを見通した全体工程を組み立てる必要があるものと考えており、その中で、新病院の一日も早い建設に向けて取り組んで参りたいと考えております。
エ 本市は、簡素・効率的に市民ニーズに柔軟に対応できる組織とするため、組織機構を見直すとしていますが、「子ども部」を新設し、子育てを全面的に支援できるシステムを構築することについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:総務部長】「新・市総合計画後期基本計画」の重点施策に位置づけた「次世代を担う子どもの育成」を推進し、子育て支援に向けた体制の充実を図るため、平成24年度4月を目途として、組織の見直しに取り組んで参りたいと考えております。
オ 次に、過剰な下水道投資を抑制し、市民負担の軽減を図るため、市町村設置型合併処理浄化槽の導入を検討することについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:生活環境部長】市では、現在、人口減少など来るべき時代を展望し、持続可能な新たな生活排水対策の仕組みを構築するための工程表として、下水道中期ビジョンの策定に取り組んでおります。
このビジョンのおいて、下水道と合併処理浄化槽の適切な役割分担をどう進めていくかにつきましても、重要なテーマの一つとして位置づけており、その一環として、合併処理浄化槽の効果的・効率的な普及促進策につきましても、取りまとめていく考えであります。
カ 公民館や教室への空調設備導入を図ることについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:教育部長】公民館は、現在、36館のうち11館に冷房設備を設置しておりますが、今後の導入については、施設の老朽化の度合いや利用状況、更には財政状況等を総合的に勘案しながら、検討して参りたいと考えております。
また、教室については、コンピュータ室や一部の特別教室に導入しているところでありますが、施設数が膨大であること、最も劣悪な環境の時期には、夏期休業等の長期休業があることなどから、窓の開放による自然換気やグリーンカーテン等により対応しているところであり、今後とも快適な施設のあり方について検討して参りたいと考えております。
キ 1200公共施設のうち約4割が耐用年数を超えているという老朽化を踏まえ、維持管理と整理統合や有効活用のための方向性を決め再編に取り組むとしていますが、施設の現状を分析整理し、一元的に管理する公共施設マネジメント計画の作成を検討することについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:行政経営部長】公共施設の適正な維持管理を計画的に実施するためには、まず、本市の公共施設に関する現状や課題等を明らかにし、公共施設に関する方向性を取りまとめることが必要であると考えております。
このことから、平成23年度におきましては、当該方向性を取りまとめることにしておりますが、その上で、本市の実情に即し、どのような手法等がもっとも計画的に実施することができるのかなど、今後、議員お質しの点につきましても、調査検討して参りたいと考えております。
ク この項の最後に、競争入札の激化、ダンピングと雇用不安、自治体業務の外部委託がもたらす官製ワーキングプアの増加などを背景に、税金を支出する公契約に野田市が2009年公契約条例を制定し、全国で初めて公契約に「最低賃金」を明記した上、下請けにも適用するとしましたが、公契約条例の導入を検討することについては、どう反映させるか、お尋ね致します。
—【答弁:財政部長】いわゆる公契約条例につきましては、他の自治体における取組状況や、国における法制化の動き等に注意を払いながら、情報収集に努めて参りたいと考えますが、本市におきましては、入札制度の見直しの中で、工事契約の入札時に工事費内訳明細書を提出させ、また受注者に対しては、更に詳細な内訳書の提出を求めることとして、適正な積算がなされているかについて検証できるようにしたところであります。
3点目は、本市の予算編成過程の透明化・可視化について、です。
昨年来、創世会は予算要望にあたり、自治と分権を市民とともに創り上げていくために、行財政運営の透明化をさらに図るよう求め、予算編成過程の透明化・可視化について、今後どう取り組むのか、昨年12月定例会でお尋ねしたところです。
ア それに対し、財政部長は、昨年12月定例会で「予算編成過程の透明性を確保し、市民の皆様への説明責任を果たすために、どのような手法が有効であるか、今後、研究してまいりたい」と答弁されました。そこで、研究の結果はどうなっているのか、お尋ね致します。
—【答弁:財政部長】予算編成過程の透明化につきましては、事業仕分けや編成過程の公開などの手法があり、他団体における導入事例を参考にしますと、市民の皆様への説明責任を果たすものとしては、効果的なものと認識しております。
しかしながら、予算の編成作業は限られた期間内で膨大な作業量を要する事務でありますことから、本市において、これらの新たな取り組みに着手することは、現時点では困難であると考えております。
イ 市民や議会に対する説明責任を高め、予算編成プロセスの透明性を確保するため、予算編成過程における情報を、各部の要求や財政部査定、市長査定など、各部予算原案の段階から適宜公開すべきではないか、あらためてお尋ね致します。
—【答弁:財政部長】予算編成作業に取り組む、概ね2カ月間の限られた期間の中で、予算編成過程の情報を公開するためには現行の財務会計システムの更新が必須であり、今後のシステムの更新時期にあわせて、研究してまいりたいと考えております。
予算編成過程の情報公開は、各地の自治体で実施が進んでおりますので、本市としても是非、実現するよう要望致しまして、次に移ります。
*最後まで、ご覧頂きありがとうございました。