効率優先の原発検査間隔の延長
2011年 01月 28日
福島第二原発3号機は、運転開始以来25年の老朽炉で、これまでの生涯設備利用率は平均以下の66.7%です。しかも、1989年には再循環ポンプ大破損事故を起こし、破損した金属が炉心はじめ原子炉内に流入したにもかかわらず100%回収しないまま、住民の反対を押し切って運転を再開したいわくつきの原子炉です。
申し入れでは、福島県民の立場から、稼働率アップによる原子力発電所の採算性の確保を目指す新検査制度を批判し、昨年の度重なる自動停止事故や保安規定違反事件によって、福島原発の安全管理の脆弱性と危うい運転状況、事業における効率優先、下請けいじめなど東京電力の抱える企業体質を改めて浮き彫りになったとして、安全軽視、効率優先、国民無視の東京電力の企業体質の改善がないまま、新検査制度によって16ヶ月も原発の運転を延長することは、安全よりも効率優先の運転延長のため反対しています。
● 福島第二原発3号機おける原発運転延長に反対する申入書
東京電力株式会社 社長 清水 正孝 殿 2011年1月28日
貴社は、福島第二原子力発電所3号機において、原子力発電所の新検査制度に基づき、今年5月頃から予定の第17回定期検査終了後、次の定期検査までの間隔を、従来の13ヶ月以内から16ヶ月以内にするため、2月上旬を目途に、電気事業法に基づく保全計画届出および原子炉等規制法に基づく変更認可申請などの手続きを実施して、国の審査・確認を受ける予定としています。
稼働率アップによる原子力発電所の採算性の確保を目指す新検査制度は、平成21年1月1日に施行されました。新検査制度では、事業者が重要機器の点検および検査の間隔の妥当性を技術的な見地から評価して、国の審査・確認を受け、その評価結果に応じて、定期検査間隔を従来の13ヶ月以内から18ヶ月以内、24ヶ月以内(制度導入から5年間は18ヶ月以内に限定)にすることが可能ですが、先例はわずか1件のみです。
貴社は、昨年の第16回定期検査で福島第二原発3号機について、収集した機器毎の点検データ等をもとに、点検機器について技術的評価を行い、燃料交換間隔も含め評価した結果、定期検査間隔を現状の13ヶ月以内から16ヶ月以内としたといいます。
福島第二原発3号機は、運転開始以来25年の老朽炉で、これまでの生涯設備利用率は平均以下の66.7%です。
しかも、1989年には再循環ポンプ大破損事故を起こし、破損した金属が炉心はじめ原子炉内に流入したにもかかわらず100%回収しないまま、住民の反対を押し切って運転を再開したいわくつきの原子炉です。2000年以降みても、2001年シュラウド下部リングの全周ひび割れ、2002年シュラウド及び再循環系配管ひび割れ、2003年制御棒及び制御棒ハンドル部ひび割れ、同年制御棒1カ所入れ忘れたまま燃料装荷、同年圧力抑制室でスパナなどの異物回収、2004年ECCS配管接合部から水漏れ、2006年取り外し配管で定検時に見逃した全周のひびを発見、2007年制御棒駆動装置の弁が6日間開放されていたことが判明、同年低圧注水系の逆止弁の動作確認試験時に弁が開固着して原子炉手動停止、2008年制御棒動作試験中に1本が定位置より深く挿入される事故と、毎年毎年の事故報告が絶えません。
福島原発における昨年の度重なる自動停止事故や保安規定違反事件は、福島原発の安全管理の脆弱性と危うい運転状況、事業における効率優先、下請けいじめなど東京電力の抱える企業体質を改めて浮き彫りにしました。安全軽視、効率優先、国民無視の貴社の企業体質の改善がないまま、新検査制度によって16ヶ月も原発の運転を延長することは、誠に遺憾な行為と言わざるを得ません。このような福島県民の合意のない、安全よりも効率優先の運転延長に反対します。
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