荻・志田名地区、スピーディな対処を
2011年 06月 23日
今回わたくしは、原発震災をとりあげ、いわき市を一変させてしまった放射能汚染とわたしたちがどう向き合い、日々の放射線被曝をより低く抑えながら、くらしの再建といわき再生をどう果たして行くのか、いわき市がどこに進むのか、ともに考えて行きたいと思いました。
今回は、「いわき市の原発震災対応の問題点と課題について」
(1)なかった原発震災想定の地域防災計画と初期対応について
(2)放射線量の高い福島第一原発から30キロ圏内地区への対応について
(3)市民の放射線被ばくをより低く抑えるための対策について
(4)原発震災による被害補償と損害賠償について
のうち、(1)と(2)のやり取りを、以下紹介します。
●大きな第一点は、いわき市の原発震災対応の問題点と課題について、であります。
私は、原発事故を防ぐために、地震対策や東京電力との安全協定の締結など、いわき市ができることは何か、万一、事故が起きた場合、いわき市の防災対策が果たして役に立つのかなど、これまで何度となく質問し提言してきました。
その中で、4年前の2007年9月定例会では、「原子力防災対策について」、以下のように質問しました。
「原発震災」とは、原子力発電所が地震で大事故を起こし、通常の震災と放射能災害とが複合増幅する災害のことです。
原発震災では、最悪の場合、炉心溶融などの過酷事故、水蒸気爆発による炉心の放射性物質が環境中に放出されることも想定されます。
いよいよ市地域防災計画の事故想定に、「原発震災」の想定を追加して対応すべき時であります。
・原発震災を想定し、季節・天候別に緊急時の避難の心得、避難手段、避難ル−ト、避難場所、汚染検査、治療、除染施設の場所など、緊急時の行動基準マニュアルをつくり、判り易く市民に広報すべきではないか。
・原発震災を想定し、風向きに直角に、より早く遠くへ行くという避難の基本など、いわき地方総合防災訓練の中で原子力災害訓練を行うべきではないか。
・原子力防災対策を重点的に充実すべき地域=EPZを30キロまで拡大することを、国・県に改めて要望すべき時ではないか。
・南北の市境に放射線モニタリングポストを設置して、原発からの放射線を常時監視すべきではないか。
以上の4項目でしたが、結局、いわき市は原発震災を想定した原子力災害対策を立てませんでした。
原発震災が発生した現在、はたして、市民の生命・身体・財産の安全は確保されたのか。市民が放射線被曝の脅威にさらされている今、いわき市はこれまでの対応をどのように検証、総括するのか。まず伺いたいと思います。
1点目は、なかった原発震災想定の地域防災計画と初期対応について、です。
①先程述べました通り、原発震災は、地震・津波に伴い原子力発電所事故が発生し、通常の震災と放射能災害が複合増幅する災害ですが、いわき市はなぜ原発震災を想定した原子力災害対策をたてなかったのか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)原子力防災対策は、国の所管であり、また、本市は、原子力発電所立地自治体ではなかったことから、事故を想定した計画は策定しておりませんでした。
②原子力防災対策を重点的に充実すべき地域=EPZに入っていなかったことが、避難指示などの対策がなされず、市民の放射線被曝を拡大する結果になったのではないか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)避難指示などの対象区域については、そもそも事故の状況などを総合的に判断し、国が指定したものであります。
③いま原発震災と市民の被災という現実に直面して、2007年9月定例会でのわたしの原発震災に関する質問への執行部答弁について、どう総括しているのか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)今回の事故につきましては、市といたしましても、原子力発電所の安全に対する認識を新たにしたところであります。
③−2基礎自治体として、国・県に追従してきた不明を恥じるべきではないか。
—答弁(行政経営部長)今後は、この事実を検証しまして、国・県にもの申していく考えです。
④次に、原子力安全・保安院は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム=SPEEDIの解析で3月11日の午後10時半に総理大臣に第一原発2号機の「燃料溶融」を報告しましたが、この予測が国民に公表されたのは3月27日でした。事故情報が隠されたのですが、いわき市は原子力災害対策特別措置法によって国の指示待ちになり、初期対応の判断を誤ったのではないか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)国・県から正確な情報が示されない中で、市が独自に判断することは、非常に困難な状況にありました。この様な状況下、市といたしましては市民の皆様の安全を最優先に考え、3月13日には、久之浜・大久地区、小川町戸渡地区、川前町志田名・荻地区の皆さんに自主避難を促すとともに、3月18日には、安定ヨウ素剤の配布を行ったところであります。
—答弁(市長)SPEEDIについても、3キロ、10キロ、20キロについて一切いわき市に話がなかった。30キロの屋内退避も国から話もなかった。今回の震災対応について何を判断して対応したか、それは人の動きだけ。自衛隊の動きがおかしい、双葉郡の避難されている方の動向がおかしい、その判断だけだった。
市民の安全・安心の確保が市の第1の行政としての使命だと思っておりますから、ない中でも自主避難をお願いしたり、ヨウ素剤の配布についても基礎自治体は自ら配布するのは国の要綱にない中で、市民の生命財産を守るということであれば、仮に市が原子力災害の要綱がないとしても首長として判断するのが責務だと思っています。
⑤いわき市は原発震災を想定した地域防災計画をたてず、初期対応も国の指示待ち状況でした。市民の生命・身体・財産を守るために、地方公共団体は、災害対策基本法の趣旨に則り、国の指示を待たずに迅速に住民に対して必要な指示等を行うことが可能とされていますが、今回の事態を反省して、今後は、住民に対して必要な指示等を迅速に行なうべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)市といたしましては、このような危機事象が発生した際には、当然、住民に対して、適時適切な指示を行うべきと考えております。
そのためには、正確な情報を迅速に入手することが、必要でありますことから、引き続き国及び東京電力に対して、正確な情報を速やかに開示するよう求めてまいりたいと考えております。
2点目は、放射線量の高い福島第一原発から30キロ圏内地区への対応について、です。
福島第一原発から30キロ圏内のいわき市川前町荻、志田名地区にある川前町第10区と第16区の区長さん連名で、5月23日、市長に対して、要望書が提出されました。両区長は、地域住民が安心して生活できるよう、早急な回答と対応を求めました。
福島第一原発から30キロ圏内の川前町荻、志田名地区はじめ、小川町上小川、大久町、久之浜末続など屋内退避地区に指定された地区住民に対する対応が適切であったのか。地区住民からの要望にどう応えるのか。1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域にどう対応していくのか。伺っていきます。
⑥原発から半径20kmから30km区域の屋内退避地区について、川前町荻・志田名、久之浜末続地区の住民には説明がなかったといいますが、対象住民へ適切な説明が行なわれなかったことをどう考えているか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)国・県から正確な情報が示されない中で、市が独自に判断することは、非常に困難な状況にありましたが、市としましては、3月13日には、久之浜・大久地区の皆様に対し、
また、15日には、小川町戸渡地区及び川前町志田名・荻地区の皆様に対し、それぞれ自主避難を促したところであります。
⑦市内の半径20kmから30km区域が「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」に指定されませんでしたが、外れた理由は何か、お尋ね致します。
—答弁(市長)経済産業省の松下副大臣が、災害対策本部に国を代表していらして、一つには、第二原発が冷温停止している、第一原発が最悪の状態を脱した。もう一つは、いわき市が放射線量が比較的低いということで屋内退避を解除したいという説明でありました。国の判断がそうであれば、私は国の判断にゆだねると返答させてもらいました。
⑧指定から外れた際に、内閣官房長官の「いわき市からの要請があった」旨の発言をめぐり市長とのやり取りがあったが、事実関係はどうなっているのか、お尋ね致します。
—答弁(市長)4月22日、内閣官房長官の記者会見で、「本市からの要請があった」旨の発言があり、事実と全く異なることから、私名で、翌23日、内閣官房長官宛に発言の撤回を求めたところであります。 その結果、官房長官から、早々に、私に対して「あくまでも区域の設定は国の判断でしたもの」との発言の訂正とお詫びの文書を送付いただくとともに、官房長官記者会見でもその旨、発言しております。
⑨国は、事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域を「計画的避難区域」に設定しましたが、いわき市は、積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域を把握しているのか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)川前町の一部の地区において、比較的線量の高い箇所があることは把握しております
⑩積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域を「計画的避難区域」に、今後なお緊急時に屋内退避や避難の対応が求められる可能性が否定できない状況にある区域を「緊急時避難準備区域」に、それぞれ設定するよういわき市として国に求めるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(行政経営部長)国は、計画的避難区域以外の地域で、放射線量が局地的に高いいわゆるホットスポット、積算放射線量が1年間で20ミリシーベルトを超える地点を新たに「特定勧奨地点」として指定するとして現在調査している所です。局地的に高いと住民の皆さんが心配しているため、14日に意見交換に行って参りました。いずれにしても、市と致しましては、放射線量の測定結果をもとに、住民の意思を尊重し、対応して参りたいと考えております。
⑩−2ここは市長が行ってきちんと対応していただくのが、一番ホットスポットで苦労されている所ですから、必要なのではないかと思うが如何ですか。
—答弁(市長)ホットスポットについて、国が解除した時の全体を掌握していなかったという意味では、国が十二分に全体を掌握してそういう話をされたのだと認識しておりました。特に合庁含めて当時は各支所の放射線量も川前の放射線量も承知しておりましたが、全く違う数字であったということでありますから、新たな形の伊達市のような個別対応なのか、あるいは地区対応なのか、志田名・荻地区のお子さんのいる方からも要望もありました。少なくともこの部分は、先駆けてどうしても同地区から避難されたいという方は、市としてしっかり受け止めてやっていこう。第2段階として議員お質しの部分については、県に定点のモニタリングを要請し、県もやるということですから、その時に、地域にするか、個別にするのか、全体的にどういう実態かの詳細な測定値を把握し、それでやっていきたい。
この荻、志田名地区は、5月16日以来、北海道大学の木村真三先生が調査に入りました。空間線量ばかりでなく、地権者の同意を得て、土壌や植物を採取して、長崎大学、広島大学に送り分析した結果、チェルノブイリ原発事故の被災3カ国が法律で指定している避難対象地域、移住義務地域、移住権利対象地域の放射能濃度にあたる数値が検出されたことが、地区住民に報告されました。
5月24日に市長に要望を出されてから1か月になろうとしている訳ですから、モニタリングという話もありますが、土壌調査の資料も提供されると思いますので、早急にスピード感を持って対処していくべきだと思います。
特に、桶売小学校校庭の土壌については、木村真三先生の調査で、245kbqすなわち245,000bq/㎡という放射能濃度が検出されました。これ表土を表層から5センチはいだ方がいいというと指摘もありました。これは、スピーディに対処して頂きたいと要望して、次に移ります。