東京電力の騙しは許さない
2011年 07月 25日
本日の委員会では、まず東京電力が、冒頭の皷紀男副社長の陳謝にはじまり、福島原子力被災者支援対策本部の皆川喜満福島地域支援室副室長による「東北地方太平洋沖地震に伴う福島第1、福島第二原子力発電所の状況について」という事故報告と現況、事故収束への道筋の説明、さらに森重行福島原子力補償相談室福島補償相談センターいわき補償相談センター所長による「原子力損害賠償の進捗状況」の報告という説明を行いました。
しかし、東京電力は、いわき市議会に対して、福島第一原発の事故について事前に質問項目の提出を求めておきながら、説明を受けたい項目を提出した、わたしどもの創世会と共産党・公明党の3会派の質問には、わずか1項目のみ触れただけという、今更ながらというべきか、極めて信義に反する不誠実な対応をとりました。
このため、質疑の冒頭で、この前代未聞の放射能汚染事故を引き起こし、謝罪にも来なかった東京電力の対応を糾弾するとともに、事前質問に応えるよう求めてから、ようやく創世会の事前質問に答えるという始末でした。
質疑に対する応答も、3月11日の巨大地震と津波直後に過酷事故を発生させ、放射性物質で福島県内はおろか東日本を汚染したうえ、子供達から大人まで放射線被曝という塗炭の苦しみを強制しているにもかかわらず、この現実について、いわき市民に心から謝罪するでもなく、企業としての社会的責任を感じることができない、非常に危機感の欠如した態度に終始しました。ほんとうに、人間としての倫理感はどうなっているのかと思えるものでした。はからずも、東京電力の経済効率優先、住民無視、情報隠蔽の企業体質が如実に現れた質疑応答になりました。
事故の原因である地震による配管損壊については、「調査中で、これまでのところ安全設備の挙動に異常はない」と責任逃れの強弁を行い、市民全員へ損害賠償についても「事情、被害にあわせて」などと原子力損害賠償法の無限責任を回避しようという姿勢がありあり。連絡通報体制の確立については「法に基づき原子力事業者防災計画により実施している。今後見直しは考えられる」とし、双葉断層を延長37キロから70キロとして耐震評価をし直し耐震対策をすべきとしたのには「耐震設計指針の改訂の動向を注視したい」と国に責任をおしつけています。また、福島第二原発の廃炉は「技術的調査が未完であり、国と立地地域も意見を踏まえて対応する」、使用済み核燃料の早期撤去も「考えていない」と開き直りました。
さいごに、事故収束に向けた道筋では「炉心燃料がメルトダウンし、メルトスルーからメルトアウトまで懸念される中で、炉心燃料が健全な場合に使う『原子炉の冷温停止状態に持ち込む』等という表現は誤った表現であり、誤った情報である」と指摘して正確な情報公開と地下水汚染を防ぐ遮蔽矢板と放射性物質の拡散を防ぐため原子炉建屋コンテナの設置を求め、損害賠償の無限責任を回避しないことをあらためて求めました。
わたしたちには、取り返しのつかないものを取り返す権利があります。東京電力の騙しは許しません。