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表土改善事業の充実を図る修正案否決

28日に開会した、いわき市議会の7月臨時会は、会期を1日延長した上、日をまたいで29日未明午前3時過ぎに閉会しました。
議案は、条例案がいわき市国民健康保険税条例の改正案が1件、補正予算案が公共施設災害復旧事業費約30億円、住宅応急修理事業費約27億円、原発事故対策事業費約20億円、災害対策事業費約20億円などあわせて約121億円の一般会計など補正予算案7件、ゲルマニウム半導体検出器の財産取得2件でした。

このうち焦点となったのは、原発事故対策事業費約20億8千万円のうち、空間線量が0.3μSv/hを超える校庭・園庭の表土を除去する約10億円の表土改善事業でした。
この事業について、これまで、いわき市は6月議会で「表土を取るというような対応はいわきにはそぐわないのではないか」(教育長答弁)としていましたが、国の第二次補正予算で「福島県 原子力被災者 子ども健康基金」が創設され、特別緊急除染事業として学校・公園等の公共施設や通学路等の線量低減事業等の表土緊急改善事業費がついたことで 福島県による半額補助制度が創設されたこと等から、今回の提案となりました。

この事業の実施のために、いわき市は独自に行政目標として、空間線量0.3μSv/hという値を決めました。市は、当面の目標としていますが、内部被曝の拡大と長期的な低線量被曝という環境にあるいわき市民にとっては、このような「しきい値」の設定は好ましくありません。我が国の一般公衆の年間許容限度は1mSv、毎時0.11μSvであることからも、許容基準としても認められるものでもなく、むしろ、行政としては、年間許容限度1mSv、毎時0.11μSv以下をめざして、市民の被曝をより低く抑えることを市政執行の基本とすべきです。

このため、わたしたちいわき市議会創世会は、26日、伊東副市長を通じて市長に「表土改善事業に関する緊急要望書」を提出し、子どもや保護者、市民の安全・安心を最優先にして、問題のある「しきい値」にとらわれず、すべての児童・生徒に公平に対処するために、いわき市内全ての校庭・園庭の表土除去を含む除染を実施すべきと、市内全施設での実施を申し入れておりました。

28日の本会議で、わたくしがは表土改善事業について、以下のような質疑を行いましたが、結論として、提案の表土改善事業の実施率は、保育施設は約59%、市立幼稚園は約67%、私立幼稚園は約34%、市立小学校は約61%、市立中学校は約57%となり、全体で約55.6%にとどまりまることが明らかになりました。また、すべての児童・生徒に公平に、いわき市内すべての校庭・園庭の表土を除去することについても、「更なる線量低減に向けて、様々な取り組みを一体的に推進してまいる考え」という答弁にとどまりました。

ア、空間線量が毎時0.3μSvを超える校庭・園庭の表土を除去する表土改善事業は、6月定例会での「表土を取るというような対応はいわきにはそぐわないのではないか」とする教育長答弁から大きく踏み出すことになるが、方針転換した理由は何か。
イ、本事業費の福島県からの補助は、内容や条件など概要どうなっているか。
ウ、本事業費は1,011,515千円を計上しているが、該当する保育所、幼稚園、小・中学校などそれぞれ積算根拠とした校庭・園庭の数は、いくらか。
エ、該当する保育所、幼稚園、小・中学校などそれぞれ積算根拠とした校庭・園庭の数は、それぞれ全体の施設数の何パーセントになるのか。
オ、該当する保育所、幼稚園、小・中学校などそれぞれ積算根拠とした校庭・園庭の面積は、いくらか。
カ、表土除去は、業者発注、教職員や保護者の協力等実際にどのように行うのか。
キ、積算根拠としている除去単価を極力抑える手法は考えているか。
ク、空間線量毎時0.3μSvを「しきい値」にすることは、毎時0.3μSvに近い毎時0.299μSvなどの施設の不満や除去した施設と除去しない施設が存在する教育環境の整備の不公平感が生まれるのではないか。
ケ、利用する児童・生徒はじめ保護者の理解と合意を受けにくく、安全・安心の観点から問題のある「しきい値」にとらわれず、すべての児童・生徒に公平に、いわき市内すべての校庭・園庭の表土を除去する考えはないか。

市の答弁を踏まえて、わたしたちいわき市議会創世会は、表土除去の実施対象を拡大し、表土除去した施設と除去しない施設が存在する教育環境整備の不公平感を極力防ぎ、表土改善事業の充実を図るため、予備費5億円を組み替えて同事業にあて事業費を拡充する修正案を提案しました。自民党系の志道会からの質疑にも、全体で約55.6%の実施にとどまる市の原案に対して、保育施設、市立幼稚園、私立幼稚園、市立小学校のすべてで100%(市立中学校のみ約57%)、全体で約91.4%の実施になることを説明しましたが、残念ながら7対25の少数否決となりました。

創世会は、3月30日に原子力災害対応に関する要望書を市長に提出し、「市民の放射線被曝の低減、放射線モニタリング地点の拡大、正しい情報の開示・提供」や「一般人の総被曝線量が年間許容限度1ミリシーベルトを超える時期に対応し、妊婦や乳幼児をはじめ自主避難希望者の支援と対応策の確立」などを積極的に求めてきました。
3.11以来すでに4ヶ月が過ぎ、内部被曝の拡大と長期的な低線量被曝といういわき市の環境下で、市長及び行政は市民の被曝をより少なくすることを最優先にして、市政執行にあたるとともに、あらためてスピーディな対応とすべての市民に対する公平・公正な行政サービスの提供が求められています。
by kazu1206k | 2011-07-29 09:26 | 議会 | Comments(0)