志田名荻地区放射能汚染からの復興を考える会
2011年 09月 24日
夕方、福島原発30キロ圏内の川前町荻志田名地区に向いました。荻志田名地区の皆さんが立ち上げた「志田名荻地区放射能汚染からの復興を考える会」の役員のみなさんと懇談するためです。
荻志田名地区への道路は、21日の台風の影響で、あちらこちらで土砂流出や倒木があり、県道市道とも一時寸断され、この日は既に開通していたものの流水や路肩の損傷が見られました。志田名の集会所に着く頃には、車のフロントガラスが曇るほど、外気はすっかり、ひんやり、としています。
川前町志田名・荻地区は、福島第一原発の30キロ圏内に位置し、4月22日、国の避難区域等の設定見直しにより、屋内退避区域から解除されたものの、「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」に指定されませんでした。事故から半年後の今も放射線量が高く、住民は放射線汚染の脅威にさらされながら、健康対策や農林畜産業等への補償などを東京電力、国、県、いわき市に求めてきました。その結果、国や県、市の空間線量や土壌汚染などのモニタリングは始まりましたが、住居等の除染も仮置き場の設置が確定せず開始されておりません。農地の土壌汚染は手つかずのままです。
地区住民は、『このままでは、時の流れの中に埋没して、放射線汚染の脅威にさらされている地区の存在は、目を向けられないまま、忘れ去られてしまうのではないかという危機感がある』として、『市、県、国にこの現状をわかってもらい、しかるべき政策の下で当地区の安全安心が回復できるよう』「志田名荻地区放射能汚染からの復興を考える会」を、9月7日に結成したのでした。
「志田名荻地区放射能汚染からの復興を考える会」は、地区46世帯から農地を所有し耕作を行っている農家40人が参加して、「東京電力、行政への要望書提出。地域住民への原発事故に関する情報の提供。かかる一連の諸問題に関する損害賠償の要望」などを行うとし、地区の原発被害が収束するまで、組織を存続するとしています。
依然として高い放射線量、農地の土壌汚染の中で、「志田名荻地区放射能汚染からの復興を考える会」では、結成と同時に、木村真三さんの指導のもと放射能汚染マップの作成に入りました。残暑の中、1週間にわたって延べ60人の農家が参加し、地区内の放射線の空間線量の測定に取り組み、土壌汚染の測定と専門機関の分析を合わせて、このほど『志田名荻地区放射能汚染マップ』を完成させました。近く、報告会でこのマップが公表される予定です。