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20ミリシーベルト未満なら住めるというのか

12月26日、政府の原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)は、東京電力福島第1原子力発電所周辺の避難区域見直しに向けた考え方を公表しました。
それによると、同原発から半径20キロ圏で立ち入りが制限されている警戒区域と、同圏外で年間放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある計画的避難区域を、4月1日をめどに年間放射線量ごと、①50ミリシーベルト以上を「帰還困難区域」②20〜50ミリシーベルト未満を「居住制限区域」③20ミリシーベルト未満を「避難指示解除準備区域」の3区域を設定。
「帰還困難区域」は、少なくとも5年間は立ち入りも原則として禁止する。「居住制限区域」は、一時立ち入りや区域内の通過を認める。「避難指示解除準備区域」は、住民の帰還に向けて学校など子どもの生活圏での除染作業、道路や水道などのインフラの復旧状況を見極め段階的に縮小する。現時点で放射線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域については、域内の不動産買い取りも検討するというものです。
この問題で、読売新聞1月8日付朝刊は、「警戒区域と計画的避難区域の再編で、帰還まで5年以上かかるとみられる「帰還困難区域」が、福島県の関係11市町村のうち7市町村に設定される見通しであることが、政府関係者らへの取材でわかった。対象は避難者の約3割の約2万5000人に上る。大熊町と双葉町はそれぞれ人口の約9割、約7割の住む地域が含まれており、政府側が周辺自治体に合併を打診したことも判明した」と特報。
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11市町村の避難区域の避難者は約8万6千人に上り、文部科学省のモニタリング調査による年間積算線量で、年間50ミリシーベルトを超える地域は南相馬、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の7市町村。文部科学省が12月11日までに警戒区域の約3000地点で、地上1mの空間放射線量、土壌汚染を調査、約700地域で「50ミリシーベルト以上」を観測。福島第一の立地町の大熊町で1万人(人口の約9割)、双葉町では4800人(人口の約7割)が「帰還困難」となり、30キロ圏外の飯館村でも人口約1割強の約900人に上るといいます。

野田首相は原子力災害対策本部会合で「区域見直しにあたっては市町村や住民の意向を十分に把握し、きめ細やかに対応する。様々な課題に逃げることなく国が最後の最後まで責任を持って取り組む」と言っていますが、政府が高レベルの放射能汚染地帯に住民をムリヤリ帰そうとしていることは明らかです。20ミリシーベルト未満を「避難指示解除準備区域」とは、よく言えたものです。年間20ミリシーベルトは、一般人の年間1ミリシーベルトの被曝限度を20倍も上回ることであり、放射線作業従事者の年間許容限度です。(放射線作業従事者の限度は5年間で被曝総量が100 mSv 、年平均20 mSv、1年間の最大は50 mSv )
この国の政府は、子ども達を含む住民を、頼まれもしない放射線作業に強制的に従事させるとでもいうのですか。20ミリシーベルト未満の「避難指示解除準備区域」に住民の居住を強制することは、被曝の強制であり、明らかな生存権の侵害です。違法行為を政府が行うということです。これは「法治国家」として到底許されるものではありません。

避難住民は、困難な歳月を前に、苦悩の色が深く、津々と冷え厳しさが増す仮設住宅で先の見えない生活に喘いでいます。汚染された大地への帰還を迫る政府と行政の理不尽さ、利権化した除染への不信、破壊された日々の暮らし、怨嗟の声に悲しみが深まっています。政府の事故終息宣言なるものが如何に姑息で虚構であることか。人々はそれを既に見抜いています。

政府は、口を開けば「除染して帰還」「住民の帰還」を声高に叫んでいますが、役場や学校など除染し、道路や水道などのインフラが復旧したとしても、年間20ミリシーベルトの放射能汚染地帯で人々の生活が成り立つというのは、妄想に過ぎません。汚染された大地で農業はじめ産業がどう成り立つのでしょう。誰がどのように生産活動を行い、誰が流通させ販売し、誰が消費するのでしょう。避難している住民は、知っています。帰還しても生活が成り立たないことを。政府や行政の言うことを疑い、信用してはいません。政府や行政は、国民を騙すのをいい加減にやめねばなりません。
by kazu1206k | 2012-01-12 21:14 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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