日弁連の福島原発事故被害者援護の特別立法意見書
2012年 02月 18日
以下は、その概要です。
本意見書の趣旨
政府は、今国会に提案された「福島復興再生特別措置法案」又は今国会に提出を目指すと報道されている「被災者保護法案(仮称)」に下記の施策を盛り込むなど、早急に被害者の生活再建支援、健康確保及び人権擁護のための施策を行うべきである。
1 被害者に対する生活給付金又は一時金等の生活再建支援制度を創設すること。
2 警戒区域設定された地域に住居を有する被害者に対する損失補償制度を創設すること。
3 国による被害者の健康管理調査と無償医療を実施すること。また、これらの施策の目的は「健康上の不安の解消」ではなく、「健康被害の未然防止、早期発見、治療」にあることを明記すること。
4 国は、被害者自らがどの程度被ばくしているかを知る権利があることを認め、被害者が希望する場合は、ホールボディカウンター等により内部被ばくの有無を測定し、そのデータから現在までの被ばく量を推計の上、当該被害者に開示することとし、また、その費用は国が負担すること。
5 居住地から避難するか、残留するかなどの意思決定に当たっては、被害者に対し、放射性物質による現在の汚染状況と今後の除染計画や風雨などに伴う放射性物質の移動などを予測した上で、中長期的な汚染状況の変化を適切に予測し、その正確な情報の提供をするとともに、被害者の自己決定権を尊重し、どのような決定を下した者に対しても、その状況に応じて十分な支援を行うこと。
6 福島県民に対するいわれなき差別を防止するとともに、とりわけ、子ども、妊婦、乳幼児を持つ母親、障がい者及び高齢者等の災害時要援護者に対して特別な保護を与えることを内容とする施策を行うこと。
7 警戒区域設定解除に当たっては、公正な判断がなされるよう専門家と市民の代表から構成される第三者機関を設置すること。一方で、警戒区域設定解除を機械的に適用して援助を打ち切るような扱いはしないこと。
8 上記の各施策に伴って支出された国費について、国から東京電力に対する求償等の措置を検討すること。
9 遠隔地避難者に対する支援に万全を期するため、被災者台帳を全国の自治体で整備し、正確な所在を把握するため積極的に情報共有すること。また、避難場所について公益活動を行う団体に開示すること。
10 国は避難によって別々に生活せざるを得ない家族に対し、家庭の維持のための支援を行い、避難者の受入れ自治体は住居の提供や雇用の創出・斡旋に努めること。
※本文はPDFファイルをご覧ください。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120216.pdf
県内外の 公・私各団体・個人の賛同が寄せられることを期待したいものです。