いわき放射能市民測定室の調査報告
2012年 02月 26日
『測定器が4台。予約受付、結果説明、レポート作成など測定ばかりの仕事ではありません。実際に測定のご依頼を受けるまでに測定器についてよく知るために、馴らし運転をしました。いろいろの食材で測定の実験です。そのあいだ、放射能に関する知識を得ることも必要でした。』
『安全神話のなかにいたわたしたちにとって、放射能の危険にどう備えるか、その準備はお粗末でした。ホールボディ測定器をもっていたのは核施設だけです。にわかに取り寄せた数台で、どうやって逃げ延びた数万人を測るのでしょうか。わたしたちもまた全く知らなかったこの機械を使い始めました。わたしたちに預けられたのですから。馴らし運転から一般的な傾向をつかみました。それを基礎に測定を開始し、異常をチェックすることはできたのでしょうか』
『井戸水からはほとんど検出されません。地下に浸透するのは時間がかかるようですので見守る必要があります。比較的高い放射性セシウムを含有するもののほかはほとんど1キロあたり10ベクレル以下です。乳幼児をかかえるお母さんがたは限りなくゼロを求めます。お年寄りは、「60過ぎだがら、それにしても大変なこった」。数字に慣れてしまうと危ういです。汚染から誰も逃れられなくなっているのです。汚染が当たり前になっているのです』
『300ベクレル以上検出されたひとには二つのグループがありました。
①着衣がいくらか汚染され、それからのγ線が、体内から出たものとして計算され高めの数値が出てしまった。
②じっさいに体内にある程度のセシウムを取り込んでいる。
2番のひとは、食物による場合もありますが、ほとんどは野外の活動で防備をせずに吸引したと考えられます。聞き取りによって、そう判断できました。
1番からは別のことがわかります。衣類は洗濯をした方がよい。洗濯の乾燥は風のある日などは外に干さない方が良い。
すでに地表にある汚染が除去されないまま、風でかき回されたり、拡散したりしています。ちいさな工夫と防備で自分自身を守らなければなりません』
『ホールボディ検査はもう当初の意味合いが失われ変わってしまいました。2011年3月の被曝を復元するという狙いは、測定の遅れや不足で時期を失ってしまいました。国の政策施策の失敗です。もはや一般的な汚染のもとでの保健測定ということになります』
『わたしたちは、刻々と変化する汚染状況やひとの生活活動の要請に応じて測定のありかたを変えていくつもりです。食材の測定をつづけながら、食材の生育環境である耕作地や内水・海洋の測定。それは子供たちの遊び・成育の環境でもあるでしょう。身体放射能についても、より精確な測定を目指します』
『食材の基準については4月から新しくなりますが、新基準をふまえて、食材供給者、流通業界がどう対応するのか注目しています。たらちねは、わたしたちにできることで、心配な皆さんにとことんおつきあいします。よろしくご利用下さい。いっしょにがんばります』
たらちねの調査報告の詳細については、下記をご覧下さい。
http://www.iwakisokuteishitu.com/pdf/workreport.pdf
木村真三さんの報告は次の機会に。