3.10パネルディスカッションの速記録
2012年 03月 15日
パネラー:秋元理匡(日弁連・東日本大震災原子力発電所事故等対策本部原子力PT事務局長)
石丸小四郎(双葉地方原発反対同盟)
中手聖一(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)
宇野朗子(ハイロアクション福島)
コーディネーター:佐藤和良(脱原発福島ネットワーク、福島原発震災情報連絡センター)
佐藤:国も県もあてにならない。この法が意味があるのか、という根源的問い。
国家と事業者の棄民政策。国は国民を守らない、という根源的な面に直面している。
歴史的な意味。広島・長崎、ビキニ、チェルノブイリ。そして福島。
一人一人の命、生活再建、健康を確保していく。
秋元;
被害を一つ一つ明らかにしていく。重大な健康被害、だけではなく、社会的な被害、行動制限等々、事故前と比べて、明らかにしていく。
人の生活、人間らしい生活を奪われたものと認識。人間が人間らしくい来ることを国が守る。国が責任を取る。国が進めてきた原子力政策の結果なので、漏れがあってはならない。
法を制定することは、利権、被害者攻撃ではなく、社会が責任を取る。何の落ち度がない被害者が責任を取るというおかしなことにさせない。
核が人間の生活を破壊するものだと思い知らされた。
原爆被爆者のたたかいは、自分を曝しながら、これからの社会を守っていくことと言う。
自分を守ることに留まらない、社会的合意を作る。
石丸;
第1原発と第2原発の間10kmの間に50年住んできた。
圧倒的な力を持つ放射能。5感ではわからない。ここに差別が潜む。
御用学者がひどいことを言っている。
文科省・福島県航空モニタリングの写真。避難選定基準からいえば、福島県の2/3が管理区域に入る。
小学生のモニタリング実施結果。
脱原発の精神を入れることが不可欠。
2度とこのような被害を起こしてはならない。
重大な国家と事業者の瑕疵が追求できる。
中手;
子どもたちを放射能から守ろうという活動。
法制定が必要と感じたきっかけ。
3/28に妻子を避難させ、一ヶ月後会いに行った。
福島の話題に触れてもうつむいてしまう子どもの姿。友達、クラスメートがいる。
託された課題として活動してきた。
国の救済なんか待ってられるか。あんなものに頼っていては間に合わない。
誰一人救わなくて良い子どもはいない。全部の子どもを大人に責任として守って行くには、どうしても国に動いてもらわなくてはいけない。
当事者。障害者の自立生活運動の団体で働く。差別の被害の当事者が、自分たちが参画して作るんだ、と言うことを学んだ。
支援者であっても、当事者でなければできないことがある。
当事者として関わっていく。助けてもらう、支援してもらう客体ではなく、私たちが作る。自分たちの権利を法的にも勝ち取って作っていかなければならない。
うの;福島市に住んでいた。11時間後に母子で友人と緊急避難。娘を連れて帰る決断ができないまま、3カ所目の福岡に暮らしている。
ハイロアクションとして活動。
避難したものと留まった人たちの分断が複雑に 深い痛手となって、悲しみ。
事故の被害者として、国内避難民として、国際法上も権利を保障すべき存在として国が守ることを求めたい。
私たちの力になる法律を。
ようやく事故の被害者として、自らを当事者として名付ける。
避難しても定住ができている人が少ない。何度も移動している。尊厳が守られる状況ではない。
その中で、避難する人も、留まる人も、選択得きる条件、状況を作られなければならない。
いっしょの支え合っていけることを求める。
政府にお願いをするのではなく、主体として動くことを社会に表明すること。沢山の当事者が加わり、この状況を乗り切っていきたい。
佐藤;法制定に向かう問題意識を伺った。
被曝の現実。そこの暮らし、なりわい、生き甲斐を奪う現実の中で、どう続けていくのか。
被害者の現状。各地の状況の報告があった。現状をどうとらえ、国や行政の対応の問題点はなにかを。
秋元;被害者の現状。福島大学2人の研究。双葉郡の半分へのアンケート。
避難者のほとんどが2重生活。職を変えるまたは無職。
仮払い金や保証金で生活している人が多い。
区域外に避難、留まっている人の声は同じ。困難な状況は一致。
行政の対応は「ごまかす」。正確な情報を伝えない。住民を分断し、混乱させ、責任をごまかす。
福島・山下は、「不安の払拭」という。
本当の安心は、検診等々データを元にしたもの。
そういうことをしたら、核の危険性を知らしめることになるので、抵抗勢力がでる。
『疫学調査」をするなという通達を出している。被害者への負担だからというが、
多面的調査をさせない。学問の自由の制限。
被害者が声を上げにくい状況、悪循環を、断ち切るためには、国の責任を明確に。
援護立法が必要な状況だということ
石丸;双葉郡の住民が受けた扱いと今日的な状況。
ベントした。海側への風、北西へ風が変化。国道を北西へ濃密な放射能が流れていった。
双葉郡の北側の人たちは、114号線を福島市の方へ避難した。対馬。そこに330μ?が降り注いだ。日常と変わらない外での作業をしていた。
浪江町長は、情報を非開示したのは、殺人と同じといった。
双葉町長は、中間貯蔵所を拒否。東京電力が無主物といっているのをなぜ双葉が引き受けるのか。
これからじわじわと健康被害が出ないではいられないだろう。
今までの基準と、今回の基準、ダブルスタンダード。事故後の2重基準。
当事者は揺れ動いている。揺れ動かない、県民と共に戦う。
中手;健康管理の現状等々。
国の対応で前向き評価できるのは、国の賠償基準で自主避難者を含めたことのみ。
後は福島棄民政策のみ。
子ども20mSvまで、被曝させるんだ。スクリーニングの基準。等々。ルーズないい加減なことをやってきた。
結局のところ、お金なのか。補償したくないのか、自分たちの利益を守りたいのか?
「事故終息宣言」なぜあのときか。
あの日を境に時効を迎えるようなものがあるのか、と疑う。
健康診査;福島ではなく、国がやることだろう。
予防のため、被害を未然に防ぐためにほしいデータなのに渡さない。
専門家アドバイザー。山下は福島県知事が招聘したといわれているが、県庁内で検討した形跡がない。自分から名乗り出てきたんだと県職員が言う。誰が決めたのか?
甲状腺調査も、なりようがないような検査のみ。
患者調査。3年ごとの国の基礎調査は、福島は除外した。本当は全国との比較ができる調査なのに。
宇野;被害の現状。今は九州にいる。その前は山口といたが、避難者同士つながることが困難。
傷ついたり、健康被害があってから避難した人、ネットワークを作ることが困難。
京都、北海道などでは始まっているが。
九州は関東からの避難者はいる。佐賀にも
何百人いても、沈黙。法制定等で声を上げることは困難。
公的支援等に格差があるので、
離れるときに、送り出してもらうのではなく、捨てて行くような形でひっそりと避難。
知らないところで生活を立ち上げるのが大変。心身症状を抱える人も多い。
避難者の姿が、互いにも見えない。福島の暮らしぶりも見えない。孤立感。
母子避難。
子どもがどんな風にこの1年を経験したのか。どういう意味をもつのか。つらいけれど、意味のあるものとして経験してほしい。
幼児にとっては、日常から全て引き離された。
様々な発達の過程での課題。そのときの突然の経験。
子ども自身の当事者の声を集めること。大人たちが考え対応すること。
国は完全犯罪をやろうとしている。全て隠す。データがない。ないことにして安全なものとし、自己責任として私たちに追わせてきた。
内部被曝を軽視するのは最初から一貫している。これを核心の問題としてやっていくべき。
佐藤;被害者の分断、混乱の中で、心は折れそうだ、というのが実感。心を折って、なかったことにしてしまおう。というのが、国のやってきたこと。
基本情報を出さないのは、日本政府とIAEAの契約によるそうだ。
国家補償を求める。
長崎・広島のたたかいを継承発展させる。
次は、私たちの望む法内容とは。
秋元;被曝者の国家補償。法律の名文に書かれたことはない。実を取る。国家補償でなければ説明付かないような内容を被曝者は獲得している。
理念が大事。性格を実施させる。
国の社会的責任;損害賠償 法が入っている。法の段階では前提となっている。
実態に即したものにすべきと。
力が試される。
被害の全体像を全て把握する。体、心、暮らし、総体として犯された。
国が調べたものはアクセスできなければならない。
具体的政策が必要。
ふるさとを奪われた人たち。土地を奪われ、汚された人の要求をどう紡ぎ出していくのか。
これからの社会のためにも受け止めること。
石丸;放射能の持つ理不尽さ。
具体的な障害が出るのに時間差。苦難をもたらす。
終息宣言、風化政策。延長線上に、肉体的な症状が時間差を持って現れることに対する、運動をたゆまず続けていく必要。
忘れてならないのは、原発の事故に伴い、避難の中でどれだけ命を奪われたのか。
震災関連死;県担当者が判定。631人認定。
病院30km圏内に1000人の入院患者。双葉病院333人。精神科併設。100人の介護施設。209人の自立歩行者がいた。50人が死亡。
原発が爆発して、白い粉塵が降る中で、スタッフが問われた。家族はどうするのか、職務は70時間が経過して、50人が死亡した。他の病院も精査すると共通した問題があった。
高齢者介護施設12施設800数十人中77人が三ヶ月以内に死亡。
自殺が福島では、4月2割、5月4割増加。原発さえなかったらと農家の自殺。
3500頭の牛。3万頭の豚。 鶏。安楽死の同意文書。でもほとんどが餓死
救える命なのに救えなかった訴訟5名。浪江町で提起。
高齢者。自立した生活できた人が急にだめになる。暴力的言動、痴呆、等々。今までの3倍。
過程の中での被害をきちんと告発する運動も不可欠。
中手;放射能被害者が広範囲と実感。
法案には3つ求めたい。
本当は、『被曝者・被害者」基本法として、権利を定めることが必要。
他の国民と平等に生きている。差別禁止という理念が先行すべき。
でも、ぐずぐずしてはいられない。拡充していく必要。
権利;健康管理と医療を受ける権利
避難の権利・・帰郷もふくめた一時退避、疎開、移住、等々。
留まっている人の保養・防護。被曝最小化する権利
宇野;3.10権利宣言。
命に関わる正しい除法にアクセスする権利。調べ得る制度的保証。採取から得るところまで、当事者が関わる。第3者機関。
子どもの被害。子どもの対する特別な権利。原発政策に対する罪がない。子どもたちに影響がいく。たくさざるをえない。守らねばならないときに、大人の判断で子どもが左右されてしまう。無権利状態の子どもたちをどうしていくのか。
佐藤;国会での特例法の議論は、基本法、恒久法としての足がかりとして見据えていく。
福島県民を始め、全国から議論を始める。
法制定の取り組みについて。
中手;福島県民は10基もの原発を作らせ、止め切れてこなかったことに反省。
1年間でここまでこぎつけた。生まれ変わろうとしている。子どもたちに誇りを持って語り継げるかなあ。全国の市民団体が、動いてくれた。繋がりを作ることができた。
これが、当事者が権利を実現する法律を作るために大きな力に育っていくもの。
6月に札幌に移住する予定。福島から避難者の仲間。福島のために一緒になってやっている仲間がいる。当事者として法制定も大きなテーマに掲げた活動をしていきたい。
子どもたちに顔向けできないような活動はしない。
おまえも福島人として堂々と生きていくんだと言える生き方をしていきたい。
宇野;今、声を上げずに必死に生き延びている仲間たちといっしょに、新しい当時者性を獲得していく。
原発事故の被害者の当事者として声を上げることで、尊厳を回復していく。
水俣の運動は息の長い運動。今やっているのは当時子どもたちだろう。
子ども体に今始めた運動を引き継いでいく
石丸;放射能におののくのは、本人の感性。
ホットスポットを調査していたら。
「そんなことしてっから、風評被害なくなんないんだべ」
受け止め方によって、大きな違いが出てきている。そこを乗り越えて制定していく。
パワーをどこから持ってくるのか。
科学とはなにか。市民のものである。勉強し、現状を訴え、共感を得て、組織して、法制化していく。科学は誰のためにあるのかを考えながら、運動を引き継いでいきたい。
秋元;公害運動の合い言葉『被害に始まり被害に終わる」
被害を知ること、知ってもらうこと。放射能をどうやって見えるものにしていくか。言葉にしていく。想像力。『核時代の想像力』被害の事実を共有することで、被害実態を語ることで孤立させない。繰り返さないことのために社会のこととして共有する。
被害者が安心して生活すること。救われたと思えるような社会にすること。
佐藤;この被害とは何か。「被曝」。公害事案と違うところ。公害処罰法には放射性物質の放出というのはない。
被曝後の世界の運動、たたかい。
日本全体が、「被曝後の世界」に入った。
多くの福島県ばかりではなく、時代の不安。放射線被曝の不安にさいなまれている。諸外国も。
「被曝後の世界」で、どう生き何をたたかいとっていくのか。
昨年8月、日弁連に相談した。
チェルノブイリで4年後に子どもたちの病気が出てきたが、
大人たちにも様々な疾病がでてくるだろう。それをIAEAが隠してきた。
世界相手のたたかい。
被曝者としてどう生きていくのか。放射線にまけないで生きていく。子どもたちは疎開。命をつないでいくために、大人たちは、援護法を作っていきたい。さらに議論を広げて、被害から始まり、被害を顕在化させる、これから起こりうる事態に備えるためにも、あらたな被曝の世界、新しい世界を生み出していく運動にしたい。