原発事故被災者支援法案の審議速報
2012年 06月 14日
正式名称は、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進関する法律案」 です。
傍聴席はいっぱいで、福島県大熊町から会津やいわきに避難している人や、郡山や福島市から札幌に避難している人など原発事故被災者当事者の方々がたくさん傍聴したとのことです。
グリーンピースの鈴木さんからは、次のようなメモを頂きました。
・支援対象地域について
支援対象地域については、ICRPなど国際基準は年間1ミリシーベルトとなっているが、国が一方的に線を引いてきた愚を繰り返してはいけない。タウンミーティングなどを開き被災者自身が決めていくようにしたい。
・医療の提供は妊婦・子どもだけか
医療の提供は、事故時に胎児、子どもであった被災者は一生涯にわたって実施される。
・医療の提供の範囲ーどこまでカバーされるのか
子どもが鼻血を出して診察、ストレスからくる障害も原則として支援し、被害者に立証責任を負わせない。
●以下、SAFLANのツイートより。
4時間 SAFLAN事務局 @SAFLAN_info
これより参議院復興特別委員会で行われる、いわゆる原発事故被災者支援法案の審議が行われます。本アカウントでも中継いたします。
玉置一弥新委員長による議事進行が続きます。与野党合意に基づき、与野党の合意した新しい法案が、改めて復興特別委員会に提出されました。これから趣旨説明です。
質疑が始まりました。民主党の米長議員が質問しています。「修正案のポイントを端的に。」
谷岡郁子議員が答えています。「与党案、野党案で力点が異なっていたが、これを統合した。子ども妊婦への特別の配慮(野党案)、指定地域からの移住・移動・帰還について、自らの意思で選択することを支援する、自己決定権を支える(与党案)。良いところを統合した。」
続いて質問。「福島特措法との違いは?」増子勝彦(引用者注:増子輝彦?)議員答弁。「特措法は福島という地域の再生支援。今回の法律は被災者そのものの生活の支援。」
質問「この法案の中で強調したいポイントは。」金子恵美議員答弁「被災者一人一人が、居住・移動・帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるということを法律で明確にしている点。健康上の不安・生活上の負担の軽減、異なる選択をした被災者の間の心の垣根を乗り越えるてだて。」
質問「医療費の減免は無限定に拡大しないか。」谷岡議員答弁「無制限な拡大ではない。現状、当然支払われるべきものが支払われていない。これをカバーする。」
佐藤信秋議員(自民)の質問に移りました。質問「本法案の重要な点は。」森まさ子議員(自民)答弁「子ども医療費の減免(13条3項)。大人になっても継続して減免の対象とする措置をとる。子ども(胎児含む)の医療費は当然、生涯無料とする趣旨。」
森まさ子議員答弁「これで十分とは思っていない。医療費減免については、大人についても求めていきたい。」
佐藤議員質問「今後の課題は」森議員答弁「被災者支援を充実させるための施策の具体化と財源確保が重要。法律を実際に実施するのは政府。政府がしっかり具体的な施策をうち出せるように、発議者や賛同する国会議員で議連を作り、更に、できれば、本委員会の中に小委員会を設けて実施を推進したい。」
森議員答弁「福島等でのタウンミーティングを実施していきたい。また、基本方針については、実施の前に国会で報告をしてもらうような形としてある。」
小熊議員(みん党)質問「基本計画を定めると書いてあるが、具体的にはどの部分について基本計画を立てるのか。」「放射線量の値の取り方はどうするのか」川田龍平議員答弁「行政がスケジュールを立てて予算を確保していくためには何らかの方針が必要ということで入れた。」
小熊議員質問「内部被曝と入っている趣旨は」川田議員答弁「外部被曝ばかりいわれるが、内部被曝も重要。強調するために法案に入れた。支援対象地域内での、学校給食等の食品の検査体制の整備を目指す。国が安全と言った医薬品で薬害エイズはおこった。私もその被害者。健康被害の未然防止が重要。」
川田議員答弁「医療費減免の対象を限定されないよう、ネガティブリストで定めるという画期的なことができた。健康被害を未然に防止する観点から、学校給食に限らず、保育園や、次世代に生まれてくる胎児の健康被害の未然防止を含めて取り組んでいきたい。」
川田議員答弁「被曝をしないための施策、放射性物質を取り込まなないための施策、健康被害の未然防止に取り組んでいく」
山下芳生議員(共産)の質問に移ります。質問「支援対象地域を「一定の基準」としてはっきり数値を書き込んでいない理由は何か。」「一定の基準を定める場合には、放射線による健康影響がはっきりと判明していないこと、しきい値がないことを前提に、被災者の個別の状況を踏まえるべきではないか。」
谷岡郁子議員(民主)答弁「ICRPは公衆の被曝限度を年間1ミリシーベルトとしている。」「もっとも安易に線を引くことで人々を引き裂いてはならない。さきほど触れた福島等でのタウンミーティング等で、被災者の方々と対話する中で議論を進めていきたい。」
山下議員質問「福島県・18歳以下の子ども医療費無償化助成との関係は。」増子勝彦議員(民主)「法的には影響ない。本法により、福島県の子どもの医療費助成制度が後退することがあってはならない。両者の関係については適切に調整されるものと考えている。」
秋野公造議員(公明)質問に移ります。質問「本法案13条2項の健康調査の意義は。既に行われている県民健康調査との関係は。」吉田忠智議員(社民)答弁「県民健康調査は福島特措法26条の健康管理調査(自治事務)に基づいている。本法案の健康調査は「福島県外の被災者」にも対象を広げている。」
吉田議員答弁。「また、少なくとも子どもの健康診断については、その生涯にわたって実施されることになる点で、範囲を広げたものといえる。」
谷合議員答弁「健康診断について、福島県の自治事務という現在の健康管理調査の位置づけの見直しも含めて検討されるべきとかんがえている。」
福島みずほ議員(社民)質問「1ミリシーベルト以下を目指してがんばりたい。」「チェルノブイリでは甲状腺がん以外の疾患の報告も多い。また血液検査の実施、試料の保存の要望も強い。被災者の意見の反映、透明性の確保の趣旨にのっとり、被災者の意見を適切に反映すべきと考えるがどうか。」
川田龍平議員答弁「ご指摘の通り。健康調査や健康診断の項目、手法等の具体的な内容を定めるにあたっては被災者の意見を反映し、その内容を定める過程を被災者に取って透明性の高いものとするために必要な措置を講ずる。」
福島議員質問「現在実施している子どもに対する甲状腺検査の結果を被災者に適切に提供する必要があると考えるが如何か」徳永えり議員答弁「ご提案のように被災者に検査結果を適切に提供する仕組みなど必要な措置を講ずる必要があると考える。」
福島議員質問「避難の権利を保障することを国が責任を持って行うべきと考えるがいかがか」谷岡議員答弁「おっしゃる通り。国は国民の持ち物だが、国民は国の持ち物ではない。私たちは自分たちについて自己決定を胃行う権利を持っている。それが避難の権利。それを実現したいと思っている。理不尽にそれを奪われてはならない。」
質疑終了。委員長提案で本会議に送られることが決まりました。引き続き平野達夫復興担当大臣の発言。「議員の方々の本法成立に向けた努力に敬意を表する。本法案の実施に向けて最善の努力をしていく所存。」
原発事故被災者支援法案は、明日の参議院本会議に上程され、可決見込みです。この法案は参議院で先に審議されていますので、この後で衆議院に送られ、衆議院での審議に進みます。