「原発事故子ども・被災者支援法」へのいわき市の対応
2012年 07月 31日
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1 「原発事故子ども・被災者支援法」に関するいわき市の対応について
(1)「原発事故子ども・被災者支援法」について
(2)「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく具体的施策の早期実現について
2 いわき市復興事業計画の進捗状況と今後の取り組みについて
(1)小名浜港周辺地域の一体的な整備・再生プロジェクトについて
(2)被災他自治体との連携強化プロジェクトについて
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のうち、「1 「原発事故子ども・被災者支援法」に関するいわき市の対応について
(1)「原発事故子ども・被災者支援法」について
(2)「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく具体的施策の早期実現について」のやり取りを、以下に紹介します。
●20番、創世会の佐藤和良です。
今議会定例会はわたくしどもの任期中最後の定例会となります。
4年前に市民のみなさまに市議会に送り出して頂いて以来、わたくしは、無所属市民派として、公約にかかげた「市立病院と地域医療、子育て支援・高齢者と障がい者福祉の充実、21世紀の森産廃処分場中止・原発震災防止、地域経済の再生、行政のムダ排除、財政健全化、市政への市民参加」などの実現のため、全力で活動してまいりました。
このうち、建設中止に至りました21世紀の森産廃処分場問題では、最終局面で山一商事の融資元であるスルガ銀行の株主総会に出席して処分場への融資中止を訴えました。
一方、度重なる警告を無視した東京電力が福島第一原発事故を引き起こし、国はじめ行政の原子力防災対策の不備と相まって、市民は放射能汚染と放射線被曝にさらされることになりました。
東日本大震災、福島原発震災から1年4ヶ月をへて、いわきの再生を想うと、大切なことは、人間の尊厳を起点に生存権を保障する人間の復興であります。
ひとり一人の命が大切にされ、命をつないでいくことができれば、人々の生活と仕事を再建し、地域と産業の再生が可能であると確信します。
それでは、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、「原発事故子ども・被災者支援法」に関するいわき市の対応について、であります。
いわき市議会は、昨年12月定例会で「(仮称)原発事故被曝者援護法の制定を求める意見書」を採択し、市民の長期的健康管理について、特例法の制定による健康管理手帳の交付及び定期通院・医療行為の無償化・社会保障などを国の責任において行うことを要望してまいりましたが、6月21日、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が国会で成立しました。
いわき市議会の先駆的提案が具体化したことは誠に喜ばしいかぎりです。
本法律は、本件事故により放出された放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと(第1条)を認めたこと、被害者が被災地に居住するか、避難するか、又は避難した後帰還するかについて、被害者自身の自己決定権を認め、そのいずれを選択した場合であっても適切な支援を受けられることを認めたこと(第2条第2項)、さらに国がこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を負っていること(第3条)を認めた点において、画期的なものです。そこで、以下伺います。
1点目は、「原発事故子ども・被災者支援法」について、です。
①「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」について、本市は被害自治体としてどのように評価しているか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長):いわゆる「原発事故子ども・被災者支援法」につきましては、被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的として、子どもに特に配慮した被災者の生活支援等に関する施策の基本となる事項が定められており、本市を含む被災自治体の市民生活を守り支えるための施策が推進されるものと期待しております。
2点目は、「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく具体的施策の早期実現について、です。
本法律は、被害者支援の基本法的な位置付けをした理念法であり、具体的な施策については、今後国の計画や政令等で定められます。
本法律により実効的な被害者支援が実施されるためには、国が策定する基本方針や支援計画など具体的施策に被害自治体・被害住民の声が反映されることが必要です。
②まず、本市の支援対象地域指定について、第8条の「支援対象地域」については「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう」とされているところから、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告の一般公衆の被ばく限度量である年間1mSvを超える放射線量が検出される地域を「支援対象地域」とすべきです。この点を踏まえ、国に対する働きかけをどう進めるか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長):「原発事故子ども・被災者支援法」に係る県の対応について確認したところ、「国に、法律に関する説明会の開催を要請しているものの、所管官庁が正式に決まっていないことから、開催の見通しが立っておらず、今後の対応についても、不透明な状況にある。」とのことでありますが、市といたしましては、法の趣旨に照らし、市全体が支援対象地域の指定を受け、本市市民が適正に支援を享受できるよう、県及び双葉郡8町村をはじめとした県内他市町村と連携を図りながら、働きかけて参りたいと考えております。
③次ぎに、国の基本方針と支援計画の策定前に、医療費の減免措置が子ども・妊婦に限定されておりますが、医療費減免対象の全被害者への拡大、健康管理手帳の交付、被害者の意見反映を制度的に保障することなどについて、政府の基本方針と支援計画に組み入れるよう、被害自治体として国に働きかけるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(保健福祉部長):先程答弁いたしましたように、市といたしましては、本市市民が適正に支援を享受できるよう、県及び双葉郡8町村をはじめとした県内他市町村と連携を図りながら、働きかけて参りたいと考えております。
いわき市は被害自治体として、市民の声を適切に迅速に国にあげていくことが肝要かと思いますので、周りも見ていくことも当然ですが、本市として主体的な取り組みを、要望活動を含めて強く求めていただきたいと、改めて要望致します。