誰のため?!「原子力安全福島閣僚会議」
2012年 11月 07日
10月21日、共同通信は、日本政府筋の話として次のように配信した。
『政府とIAEAが12月15日から福島県郡山市で開く「原子力安全に関する福島閣僚会議」に合わせ、福島県の佐藤雄平知事とIAEAの天野之弥事務局長の間で協力文書の署名を目指す。県は当初、IAEA福島事務所の設置を求めていたが、IAEAは行財政改革を進める中、十分な予算を確保できず実現は難しかった。
共同プロジェクトは今後、数年間実施する計画で、除染や廃棄物処理の研究のほか技術面での助言・評価を行い、住民の健康管理も目的にする。政府は福島県の協力を得て来年1月までに県内に建物を確保、機材を準備し、IAEAを通じて研究者を受け入れることを検討している。
政府は既に2011年度の第3次補正予算から9億3千万円を、IAEAと調整して事業を行うための特別拠出金に割いており、この中から数億円を共同プロジェクトの費用に充てるようIAEAと協議している。
プロジェクトは将来、県が15年度に開所する予定の環境創造センターに機能を統合することも視野に入れている。』
『佐藤知事は8月31日、ウィーンのIAEA本部を訪れ、天野事務局長に除染活動などでの協力を要請。研究者の派遣を求める考えを示していた。』
『住民帰還へ共同事業 政府とIAEA、福島に拠点』(中国新聞)と見出しもあるように、日本政府とIAEAの共同プロジェクト拠点を福島県内に設置し、除染や廃棄物処理の研究・助言を行い、放射性物質に汚染された地域の復興や避難住民の早期帰還を目指すとされ、IAEAがチェルノブイリ原発事故に対応してきたベラルーシ、ウクライナ、ロシアの研究者チームを結成して福島に派遣、調査研究を実施して、住民の早期帰還を促進しようという狙いだ。
そもそも、国際原子力機関(IAEA)は、1953年、アイゼンハワー米国大統領の国際連合総会演説「平和のための核」を契機に、1957年に創立された国際連合傘下の原子力推進機関だ。
12月15日から郡山市で開く「原子力安全に関する福島閣僚会議」が、原子力の安全性を謳い上げ、福島原発事故の被害者の早期帰還を強調するという、被害者の健康や権利を軽んじ生存権をないがしろにするものとなってはならない。
被曝を強制されたのは、私たち福島県民はじめ国民である。誰のための「原子力安全に関する福島閣僚会議」の開催か?!被害者に更なる被曝を強制する企てなら、見過ごせない。
(参考)原子力安全に関する福島閣僚会議
目的
原子力安全に関する福島閣僚会議は,国際的な原子力安全の強化に貢献することを主な目的としている。本会議は,東京電力福島原子力発電所事故から得られた更なる知見及び教訓を国際社会と共有し,更に透明性を高め,そして,国際原子力機関(IAEA)行動計画の実施を含む原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論する機会となる。
日程・開催地等
(1)日程:2012年12月15日(土曜日)~17日(月曜日)
(2)開催地:福島県郡山市
(3)会場:福島県産業交流館「ビッグパレットふくしま」
(4)主催者:日本国政府
(5)共催者:国際原子力機関(IAEA)
(6)参加者:IAEA加盟国,関係国際機関等