11月30日、摂氏4度、曇天の肌寒い中、鮫川村青生野地区を訪ねた。
いわき市の水道水源である四時川の源流部を確認するとともに、環境省が進める放射性物質に汚染された稲わらや牧草などの焼却実験施設の建設状況を視察するためだ。
いわき市の水道水源保護地域の上流域、鮫川水系四時川の源流部の放牧地にある、放射性物質に汚染された稲わらや牧草などの農林業系副産物の焼却実証実験施設の工事現場を、わたくしを含めいわき市議会創世会の3人が、いわき市水道局とともに視察した。
鮫川村の担当者の方との合流時間前に到着、工事現場のゲートは閉鎖中だ。しばらくして車両が到着し降りてきたのは、環境省廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課指定廃棄物チームの課長補佐さんら環境省の農林業系副産物処理班の方達3人。そして鮫川村の担当者の方。聞けばわざわざ霞ヶ関の本庁から来たと。事前のアポは鮫川村さんだったが、この放射性廃棄物の焼却実証実験が環境省指定廃棄物チームの事業なので当然といえば当然。
放牧地の頂上部分の施設付近からゲート方向を望むと、アプローチは長い。
施設は、鮫川水系四時川の源流部の水源涵養地にある。ここは、標高700m以上、真冬は氷点下20度近くになるとされる風化花崗岩地帯だ。放牧地の頂上部分の分水嶺の西側に建設中で、東側は四時川の源流域。11月17日から始まった建設工事、手前の白いシート部分が前処理する建屋の基礎コンクリート。奥のブルーシートの手前に焼却炉の基礎を打つための鉄筋を入れる工事が進む。敷地面積1600㎡程度。1時間199kg/1日1.5tの処理能力という、小型焼却炉ということで環境アセスメント調査もなく、近隣自治体に連絡もなく工事は開始されているが、焼却するのは放射性物質に汚染された稲藁や堆肥、落ち葉。燃やせば排ガスも焼却灰も出る。
環境省の説明では、施設は、責任者1、運転員1、作業員3の5人体制で運用、平成25年1月末に試運転、2月から平成26年9月まで20カ月間で、鮫川村内の廃棄物など約600tを焼却し、120tの焼却灰に減容化する実証実験。汚染濃度は、600tのうち572tが8,000bq/kg以下、28tが8,000bq/kg超のものと見込む。焼却炉の煙突の高さは6m、バグフィルターを設置、ダストモニターで排ガスを監視、施設周辺で空間線量の週1回の測定と村内5カ所のモニタリングポストで監視体制をとる、排水は出さない構造、作業員の被曝対策とる、などと説明。視察団は、バグフィルターの性能問題、敷地内はもとより周辺での常時モニタリング体制、鮫川村村内ばかりでなくいわき市・塙町・北茨城市など隣接地でのモニタリングポスト設置の必要性などを指摘。
焼却炉隣りのこの場所で、セメント固化体にした焼却灰を、フレコンパックに詰め、遮水シートで覆い30センチ覆土をして保管する場所。中間貯蔵施設に搬入するまで5年程度保管するという説明に、決まらぬ中間貯蔵施設の現状を見れば5年の保障はないと問うと、民間の最終処分場への搬入もあると環境省。8,000bq/k超の指定廃棄物は本来国が責任を持って処理することになっており、混焼して廃棄物を民間に持っていくというのは如何か。また、視察団は、セメント固化体の劣化対応、保管場所の地質などの調査の必要性を指摘。
視察団は、環境省に対し口頭で、焼却実験計画及び施設について、丁寧な情報開示、隣接自治体への説明及び周辺住民への説明会の開催などを実施するよう求めました。また、隣接自治体を含む周辺モニタリングポストの配置、施設全体図、焼却灰セメント固化体の保管方法などの情報公開を求めました。
施設近くの鮫川水系四時川の源流部のひとつ。水田の水路は水が豊富。水田の持ち主の農家は、施設が裏山にできることになって、不安を漏らす。この辺りの空間線量は、0.2〜0.3μSvだと話していた。
施設建設中の放牧地の分水嶺の東側の沢から勢いよく流れる四時川の源流。いわき市の水道水源である四時川の源流のひとつだ。これを汚染させるわけにはいかない。