人気ブログランキング | 話題のタグを見る

鮫川村焼却施設で環境省に要望

 1月16日、鮫川村に建設中の放射性物質の焼却実証実験施設問題で、いわき市内の市民グループ「いわきを変えるゾ市民の会」「いわき母笑みネットワーク」「いわきアクション!ママの会」「「いわきの未来をつくる市民の会」などの代表約20名と鮫川村、塙町、茨城県北茨城市の住民6名などが、東京霞ヶ関の環境省で、環境大臣宛要望書『福島県鮫川村焼却実証実験施設について』を提出しました。環境省からは指定廃棄物対策チームの高澤計画官など3名が対応し、申入れは約1時間半に渡りました。
鮫川村焼却施設で環境省に要望_e0068696_9274446.jpg
 要旨は、『鮫川村に建設中の焼却実証実験施設の工事を中止すること』『鮫川村に建設中の焼却実証実験施設について、事業主体である環境省の担当者を鮫川村隣接8市町村(福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市)及び鮫川水系を水道水源として利用している各地方自治体へ派遣し、その住民に対し説明会を開催する等して焼却施設の必要性・安全性について説明責任を果たすこと』の2項目。
鮫川村焼却施設で環境省に要望_e0068696_9282668.jpg
 環境省の高澤計画官は、「鮫川村からいち早く焼却してといわれているので、中止は考えていないが、安全な施設をつくりたい」「市としての説明会の要望は検討したい。やり方を含めて市と相談して対応したい」と応えました。
 市民の皆さんは「環境省は説明してから焼却して欲しい」「何かあった際はどうするのか」「不測の事態とは何か、止められるのか」「何を実証する実験施設なのか」「焼却炉のデータを出して欲しい」「焼却物は東電敷地内に持っていって欲しい」「回答は文書で出して欲しい」などと訴えました。
 環境省側は、「焼却前に説明する」「震度6の地震、台風大雨に耐えられるが、万が一の連絡体制をつくる」「焼却灰は10万ベクレルを超えないように処理する。飛散対策を行い、火災の際に水を使わない」「安全なデータはあるので安全を確認するために試験を行う」「北茨城市、いわき市とも説明について相談中である」などと応えました。
 最終的に、『試運転も含めて焼却は2月以降』『焼却前に説明会を行う』『データの開示を含めて要望書に対する文書回答を1月28日までに行う』ということになりました。
 いわき市議会創世会は2名が同行しました。

●以下、要望書の内容をご紹介します。

環境大臣  石原 伸晃 様 

要 望 書(福島県鮫川村焼却実証実験施設について)   平成24年1月16日
     
(要旨)
1、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設の工事を中止すること。
2、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設について、事業主体である環境省の担当者を鮫川村隣接8市町村(福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市)及び鮫川水系を水道水源として利用している各地方自治体へ派遣し、その住民に対し説明会を開催する等して焼却施設の必要性・安全性について説明責任を果たすこと。

(理由)
 現在、福島県鮫川村青生野地区で環境省を事業主体とする放射性廃棄物を焼却する実証実験施設が建設されている。この施設により、8000Bq/kg以上という指定放射性廃棄物28tを含む農林業系副産物の放射性廃棄物、総量600tを平成25年2月から平成26年9月まで焼却される計画である。試運転は平成25年1月から開始される予定である。
 鮫川村は福島県南部に位置し、福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市に隣接している。また、焼却施設建設地は四時川・鮫川の源流が集中する水源地である。このような場所で8000Bq/kg以上もの高濃度の指定放射性廃棄物を含む放射性廃棄物が焼却されれば、放射性物質の飛散、水源汚染を招くおそれがあり、鮫川村のみならず周辺住民にも重大な影響が及ぶ危険がある。もとより、焼却施設自体が公害施設との指摘もあり、放射性物質の飛散は自治体の境を越えて広がることに鑑みれば、焼却施設工事が始まる前に建設地の鮫川村及び隣接市町村に事業主体である環境省が周辺住民に対し説明を尽くすべきである。
 それにもかかわらず、環境省は2012年11月15日に工事に着工してから1ヶ月以上経った12月25日になってやっと建設地の鮫川村にて住民説明を行っている。しかも村民の安全性への不安や手続きの不当性を訴える声に対し真摯に対応することなく、安全であることを繰り返し述べるのみであった。工事元請け業者の日立造船も焼却炉自体の構造、バグフィルタ、へパフィルタ等の安全性に関する説明を自ら行っておらず、質疑にも応えず、十分な対応をしているとは到底いえない。住民の生命・健康に関わる重要な事柄であって、企業の社会的責任を明確化したISO26000を批准し、JIS Z 26000を採用している日本において、このような杜撰な説明は許されないことである。
 鮫川村での住民説明が極めて不十分である上、近隣市町村では一切の説明がなされていない。鮫川村での住民説明会実施すらいわき市は把握しておらず、いわき市に送付されている焼却施設に関する資料も施設の概要を示しただけのもので、施設やフィルタの構造に関する資料が極めて不十分である。 
 さらに、公害防止協定に類する環境省と鮫川村の取り交わし書についても、環境省からいわき市に説明はなく、いわき市が独自に鮫川村から取り寄せるという状況である。市町村ですら本件焼却施設について十分な情報を有していないのであり、住民に至っては、独自に調べなければ情報は無きに等しい。このような状況で、万一焼却施設に不足の事態が発生した場合、情報が近隣住民まで行き届き、適切に対処し得るものかは甚だ疑問である。
 一昨年3月11日の原発過酷事故を経験した私たちは、放射性物質の飛散はひとつの自治体に留まることなく、近隣市町村へ甚大な影響を与えることを学んでいる。もし、鮫川村焼却施設から放射性物質が漏れ出せば、鮫川村隣接市町村はもとより、さらに広範に水道水源が汚染され、住民の健康が害される危険性が高い。川や海の汚染により農業や漁業従事者にも大きな影響が及ぶことが考えられる。
 このように鮫川村焼却施設について重大な利害関係を有する私たち近隣市町村の住民には、事業主体である環境省による住民説明が必要不可欠である。また、住民説明を尽くさぬうちに焼却を始めるようなことがあれば、住民の生命・健康を軽視し、民主的手続きを踏みにじるものであって許されることではない。
 よって、私たちは、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設の工事を中止すること及び、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設について、事業主体である環境省の担当者を鮫川村隣接8市町村(福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市)及び鮫川水系を水道水源として利用している各地方自治体へ派遣し、その住民に対し説明会を開催する等して焼却施設の必要性・安全性について説明責任を果たすことを求めるものである。

 注 動画:IWJ 福島1ch 「鮫川村焼却処分場に関する住民説明会」
http://www.ustream.tv/channel/iwj-fukushima1#/recorded/28051203
以上

<要望団体>
いわきを変えるゾ市民の会(いわき市)
いわきアクション!ママの会(いわき市)
いわき母笑みネットワーク(いわき市)
いわきの未来をつくる市民の会(いわき市)
by kazu1206k | 2013-01-17 09:33 | 環境保護 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k