原発事故子ども・被災者支援法を推進するフォーラム記録
2013年 02月 16日
1.開会挨拶 中山均さん
2.基本方針及び予算関連について 復興庁水野参事官
・来週には参議院で予算委員会。支援法はその場で大きな議題となる。今日の私の発言は、事務方の非公式な見解と受け取ってほしい。
・6月に超党派で成立した。
・政権交代後、地元郡山の根本匠が復興庁大臣。浜田副大臣が本件の担当。亀岡政務官が3役。
・復興大臣の中では最大の関心事であり、浜田副大臣はこの法の経緯に詳しい。
・どのように定めるのか、支援対象地域をどう決めるか。連日議論している。
・一定の基準(支援対象地域)→被災者支援団体や国会議員は「年間1ミリ。福島は全域」という人が多い。
具体的にどの地域を指定するのか、線を引くのが難しい。健康不安を抱えている人。簡単に決められない。ICRPは平時では年間1ミリSv。非常時は年間20~1ミリSv。
・健康不安はお気持ちの問題だ。
・基本方針がなければ動かないのかというとそれは違う。24年度は予備費執行。施策は結構あるので取りまとめたい。
・大臣の指示もあり、昨日から、関係省庁で担当官を集めて、関係省長会議を開いた。座長は浜田副大臣。政策パッケージをとりまとめる作業を開始した。
・自主避難者中心で、子どもがメイン。こう言った施策を考え公表して行く。政府が何をやっているかわからないことが不安をあおっている。なるべく不安に思わないよう講じて行く。
3.法律家の立場から 大城聡弁護士(市民会議事務局、SAFLAN)
・避難を選択した人と、残る人のどちらもが守られる法律を。昨年2月に院内集会。300人の当事者が立法を求める動き。6月にスピード成立。全会派一致。9月か10月に基本方針がきまり、予算も決まるだろう。しかし、総選挙があり、基本方針が決まっていない。スケジュールもない。確かに法律としては成立しているが基本方針が定まらない。
・避難する人と残る人、それぞれの選択を尊重して、国がそれを支援するということが全体像の一番のキモ。
・屋内のプールの予算はついたが、避難した人も国が支援することが大事。
・大阪では国交省の予算で支援、愛知では、新しい公共という形式で市民団体を支援する形。この3月でそれらの予算が終わってしまう。そこを正面から、この法で被災者を支援することが大事。基本方針がつかなければ予算がつかない。
・基本方針をしっかりきめなければならない。被災者から期待する声。「この支援法は最後の希望です」
・住民の不安を何とかしようと直接対処するのではなく、避難先の住居の確保など、不安に基づいて行動した人を支援するのが本来のありかた。
・参議院選挙の前に成立するかどうか。不作為の状況は許されないだろう。
・被災者には「忘れられるのではないか、見捨てられるのではないか」と言う思いが強い。
・昨年、福島市の調査では、80%が健康不安を訴えた。家族への不安は90%に達する。。
・福島県が昨年末、新規の借り上げ住宅助成を打ち切った。
・相談に来る人は「私はおかしいのか?」と自問自答している。多くの方が思っていても言えない状況にある。
・地元の経済を支えることと、避難者を支援することは矛盾しない。一人一人の生活を支えるのがこの法の最大の意義。
・線引きは必ずできる。柔軟な対応が必要だ。そのときに20ミリSvから1ミリSvとか水野さんが話したが、1ミリSvを水野さんの口から聞いたのは始めて。われわれの声が復興庁に届いているのは確か。
・各自治体から1ミリSv地域を対象にするようにとの意見書をあげているところがある。議員はぜひ意見書を採択してほしい。東村山市、武蔵野市、守谷市、福岡市、などが支援法に関する意見書を採択している。
◆田嶋要衆議院議員;議連の副会長。あいさつ
◆福島みずほ;顧問。基本方針案を早く出してくれるよう。何とか予算をつけられるよう、にじり寄って訴えたい。復興庁として、今日は「これやるよ」と言って!
4.被災地に住む住民の立場から 佐藤和良(いわき市議、当センター共同代表)

・当センターから11月20日に要請書を出した。
・根本復興大臣は地元郡山市。議連には、いわき選出、福島選出の議員がたくさんいる。
・県外避難は今も7万人。県は除染帰還路線をいまだにとっている。20ミリSv、5ミリSv以上のところに帰れということか。5ミリSvはチェルノブイリでは強制移住区域。
・年間1ミリSv以上のところの地域指定を速やかにすること。福島県全域他ホットエリアのところも。
・自分も含め疲弊、日々、被曝して免疫系が少しずつやられている。持病の悪化、子どもの鼻血が続いている人も。個体差がある。
・避難した人の交通費、高速道路料金の無料化、住宅の確保。とどまった者にも、避難した者にも、定期的な健康診断を担保するべき。
・とどまっている子どもには保養を!リフレッシュするし、取り込んだ放射性物質を体外に排出できる。チェルノブイリでは40日間の保養が保証されている。保養の制度化が大事。
・山下俊一氏が行っている「福島県民健康管理調査」で、平成23年度3人が小児甲状腺がん、手術等している。7人ががんの疑い。山下たちは「福島原発事故由来ではない」と言っている。この健康調査は法律に基づいていない。国が福島県にお金を出し、基金で健康調査をやっているが、国が責任の肩代わりをさせている。
・自分で自分の健康管理ができ、全国どこでもがん検診ができ、治療ができるということを保証してほしい。
・今のままでは棄民政策だ。法治国家としては認められない。新しい「政府の行政不作為」。意見書だけではなく、街頭でのデモンストレーションも必要。泣き寝入りしないということを全国に発信しなければならない。表面上は何事もないように進んでいるが、人間の復興なくしては本当の復興はない。参議院選挙の前には基本方針を作ってほしい。
5.広河隆一(フォトジャーナリスト)

・プリピヤチの映像;20ミリSVの地域。医学者はジャーナリストに「不安をあおるな」と対立。お母さんたちが救援運動を行った。
・プルトニウムやストロンチウムは測れない。
・子どもたちは首の傷跡を見せたくない。差別されるのがいや。
・200人の村民のうち、数年で6人がなくなっている。「知見」が発見を遅れさせている。IAEAのやったこと。何倍にも甲状腺癌が植えるまで、何もやらない。こうした医療機関や人材が日本の医学会をリードしているという事実。
・10年後に甲状腺癌が発見され、手術をして、その後のケアが重要。
・子供たちの微笑みを取り戻させるのは医者ではなく、我々ができること。
・検査を受けても、異常なし、異常ありという紙だけ渡される。データは県立医大が渡すなと言っている。国は最初は10%でもいいから助成して。
・エコーカードには所見を書いている。
・日本のNGOによる保養の運動実績があれば、国が半額を支援するべき。今すでにやっているところに対しバックアップ。
・沖縄久米島;スタッフの増員が必要。
◆大河原雅子;民主党は「2030年までに原発ゼロ」を日本で最初に宣言した。残念。政権交代で、原発の方針もゼロから見直すことになるのか。自民党の本来の姿を感じている人も多い。野党になったけれど、原発ゼロの日本を作る。その第一に子ども支援がある。多くの子供達を救っていかなければならない。そのためにも民主党を育てていただきたい。
◆阿倍ともこ;本法案は川田さんと阿部が超党派の議員に呼びかけて成立した。10万人が甲状腺癌の検査。3人が手術を受けた。チェルノブイリでは4~5年後に甲状腺異常が頻繁に見つかりだしたので、わずか1年後というのはフクシマ由来ではないと、推進派は説明している。私は小児科医だが、10万人に一人という小児甲状腺ガンは一度も見たことがない。現代の医療技術で早いうちにわかるようになったのだ。ガンだけが問題ではない。キエフ報告ロシア小児科のお話。機能低下がさまざまな症状を出す。
次世代の子どもたちが置き去り。次世代を直撃している。現在の多くの人と共に犠牲になっている。地方議員の取り組みは国会議員にとってはありがたい。情報をオープンにさせること。
「ゼロの会」PC;霧のようになって散っていく放射性物質。久米島の「希望の家」、現在5月まで希望者がいっぱい。通年の施設はここしかない。10から20箇所ほしい。
6.資料の説明 (中山)
・p25の意見書は多数で可決
・新潟県は福島県の隣で、多くの住民が避難している。
・p26の意見書は全会一致で可決。二重生活の避難者、母子避難の人は交通費がかかる。
・p27 高速道路料金600万円の予算化。
・折り込みの借り上げ住宅支援一覧表;12月を待たずにいろんなところで終わってしまっている。
・西尾医師が「ウクライナ国際会議(公式会議)でも、色々な健康障害が報告されている」と証言している。
7.会場とのやりとり
Q:(自由報道協会;桜井)NGOの参加はどうなっている?基本方針に反映されていない。健康手帳のことは?
A;第5条2p;基本方針を定める。2項、3項、4p14条;意見の反映。法律の中には具体的に書いてある。NGOとかNPOとかは、結局は被災者の声を集めて届ける中で反映するのでは?
Q:政府が主催して公聴会を開いていない。福島県の受け入れ先の自治体で実施してほしい。
A;水野:健康手帳には特に動きはない。手帳を配ることはない。
Q(稲垣)取手の子供達の心臓健診に異常が出ている。福島の子供達は2年たっても甲状腺ホルモンの濃度を調べる血液検査はやっていない。尿検査もやっていない。国は手を打たないと取り返しのつかないことになる。「世界」の1月号に投稿した。山下俊一はのう胞基準を20ミリ(?)にしている。2次健診に回す数が少なくなっている。問題がないという形で振り分けられている。3万7千人の子供たちが放置状態。検査させないからくりを作っている。復興庁にうかがうが、診断項目の何を検討して、いつからやるのか。未検査の子供は26万人もいる。
A:水野;おっしゃっているのは環境省じゃないか。医学的判断が必要となる。医学的見地から判断しなければならない。環境省では職員が医者だったりするが、復興庁には医者はいない。
野村;この件に関しては、復興庁との話し合いでもお母さんたちが「不十分だ」と沸騰した。診断には統一見解がむずかしい。被災者は自費でやっている。
まき;復興庁ができた趣旨は何なのか?縦割りの責任ではなく、なぜできたのか考えているのか。
水野;医学の問題なので、
まき:ワンストップの組織じゃなかったのか!
8.まとめの意見 海渡弁護士

1条;「当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと」という文言が画期的。
2条2項、被災者一人一人が居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」とあり、どういう選択によるかで差別はしてはならないということ。
・子供の健康被害を未然に防止する。妊婦には特別な配慮を。
・政権交代で方針が決まらないのはわかるが、遅い。残念。
・3兆円の復興予算;帰還させるために多額のお金が使われている。二重生活や避難している人には平等になっているのか。
・基本方針案を充実させるために、水野さんは多くの人の思いを受け止めているはず。この法律の理念だけが希望の星なんだと、被災者は魂の叫びをあげている。
・日弁連の災害対策本部の副本部長としてこれからもがんばる。地方発でいろんな施策を出し、それにお金をつける柔軟な仕組みを作りたい。
9.閉会の挨拶(佐藤)
政治的には7月の参議院選挙前には決めてもらわないと、魂が入らない。意見書を出すとか、市民から請願を出すとか、地方発の動きをどうぞやってください。各地で実行しましょう。4月には当センターの総会を福島の現地でやる。ご参加を!
(文責;福島原発震災情報連絡センター事務局大野)