自治体議員政策情報センターの「地方×国政策研究会」が4月16日、衆議院議員会館で開催され参加した。テーマは「若者雇用と新しい雇用」と「公共施設の更新計画(ファシリティマネジメント)」の二つ。
(1)若者雇用と新しい雇用について
厚生労働省職業安定局若年者雇用対策課の高西課長補佐が「若年者雇用対策について」、また、派遣・有期労働対策部の吉田課長補佐が「多元的な働き方の普及・拡大」「望ましい働き方ビジョンの概要」、認定NPO文化学習恊働ネットワークみたか若者支援事業部の高橋統括責任者が「みたか地域若者サポートステーションの取り組みについて」を説明した。

厚生労働省は、失業率4.4%、若者失業率8%の現状で、若年者雇用対策として「大学生の就職支援」「フリータ・ニート支援」の二本柱で進めており、ハローワークでの新卒者の就職支援、「3年以内既卒者の新卒扱い」の普及の取り組み、フリータ等に対する支援として3ヶ月間の試行雇用を行う「トライアル雇用」等の助成制度の活用、地域若者サポートステーションとの連携による就職支援などを強調。
いわき市としても、いわき若者サポートステーションと連携して、不登校・引きこもり・フリータ・ニート等の若者のための相談・就労支援の実施を検討すべきではないかと考えるところだ。
また、派遣・有期労働では「多元的な働き方の普及・拡大」とされるものの、正規・非正規の二極化の解消につなげるために、短時間労働者の正規社員への転換や有期労働契約の無期雇用化の促進に向けた労働法制の改正を、いわき市・いわき市議会としても国と国会に働きかけていくことが重要である。
(2)公共施設の更新計画(ファシリティマネジメント)について
総務省自治財政局財務調査課の村田課長補佐が「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査結果(抄)」、総務省行政評価局の楠原総括評価監視調査官が「社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視<調査結果に基づく勧告>」を、さらに、根本東洋大学教授が「社会資本老朽化とシティ・マネジメント」、秦野市政策部公共施設再配置推進課の志村課長補佐が「秦野市の公共施設更新問題への挑戦」をそれぞれ説明した。

総務省は、社会資本のうち「港湾施設」「空港施設」「上水道施設」「下水道施設」及び「河川管理施設」の適切な保全対策の実施により国民の安全・安心を確保するとともに、ライフサイクルコストの縮減に向けた効果的かつ効率的な維持管理を推進する観点から、これらの施設の維持管理及び更新等の実施状況等を調査し、その結果を取りまとめ、必要な改善措置について、平成24年2月勧告を公表した。
いわき市の社会資本も高度経済成長期に集中的に整備したものが多く、この老朽化が急速に 進行する一方で財政的な制約が厳しい中で、効率的かつ計画的な維持管理・更新等が重要な課題となっている。

秦野市は、根本東洋大学教授の提言を受け、公共施設白書を作成し公共施設再配備計画を実施中であり、将来の市民に負担をかけない事を前提に、新規建設はなし、義務教育・子育て支援・行政事務を優先し、広域化・多機能化と公民連携を進め、施設面積と費用減少をはかっている。

『市役所も公設公営である必要はない』など、個別議論ではなく全体の議論、トータルな全体像を見せて考えることを、市民に財政を含め、将来にわたってどうするのかを示ししていくことや普段見せないような情報も開示して、市民の意見を聞き、コンセンサスを得る努力をするという、秦野市の明確な方針は学ぶべき先駆的事例。いわき市としても的確な対応ができるように、省インフラの観点から、インフラの予防保全マネジメントを準備して、公共施設再配備計画を立案していく必要がある。