東京電力の回答1ー事故対応と廃炉
2013年 05月 31日
その際、5月15日に廣瀬代表執行役社長宛に提出した「福島原発における事故対応と廃炉、賠償等に関する公開質問状」に対する東京電力の回答が示されました。東京電力は市民グループの事前の要請を受け、交渉開始20年来初めて、メモという形で文書回答を行いました。
その回答文を二回にわたって掲載します。大きく3点30項目の内、今回は以下の1〜2です。
1、東京電力福島第一原発事故の現状と今後の対応について
2、東京電力福島第一原発及び第二原発の廃炉について
3、東京電力福島第一原発事故の原因及び責任と損害賠償について
1、東京電力福島第一原発事故の現状と今後の対応について
(東北地方太平洋沖地震・津波の影響、敷地形状)
①東北地方太平洋沖地震・津波による非常用復水器の破損をはじめとする原子炉機器配管への影響を明らかにされたい。
弊社として事故調査報告書を取りまとめ公表しており、以下のように考えています。(H24.6.20)
●今回の事故の直接的な原因は、1号機では津波襲来によって早い段階で全ての冷却手段を失ったことであり、2・3号機では津波による瓦礫の散乱や1号機の水素爆発により作業環境が悪化したため、高圧炉心注水から安定的に冷却を継続する低圧炉心注水に移行出来ず、最終的に全ての冷却手段を失ってしまったことであります。また、想定した津波高さを上回る津波の発生までは発想することができず、事故の発生そのものを防ぐことが出来ませんでした。このように津波想定については結果的に甘さがあったと言わざるを得ず、津波に対抗する備えが不十分であったことが今回の事故の根本的な原因であります。また、現場調査においては、地震後のプラントデータの分析による評価、ならびに、可能な範囲で主要な設備の外観を確認し、耐震クラスの低い機器であっても配管等に地震による損傷が無いことを確認しています。また、地震の観測記録を用いた地震応答解析を実施し、今回の地震に対して、安全上重要な機能を有する主要な設備の耐震性評価の計算値が、すべて評価基準値以下であること確認したことから、これらの設備の機能については、地震の影響はないと考えています。
②福島第一原発は東日本大震災において海側に5メートル余りせり出したと聞き及んでいる。そのため地形全体が隆起、陥没により地下水脈や地形に大きな変化が生じていると推測されるが、福島第一原発の敷地形状に関する調査の結果を示されたい。
●東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の地盤変動を詳細に把握するため、SAR解析(人工衛星等に搭載した特殊なレーダーにより地表面の詳細を調査するもの)により確認しています。
その結果、福島第一原子力発電所の地殻変動については、敷地全体の平均で約0.66mの水平な沈下が起こったものと考えています。
(原子炉格納容器の現状と対策)
③1~3号機がメルトスルーに至り原子炉格納容器までデブリが流れ落ちていると聞きおよんでいる。デブリが格納容器のどこまで流れ落ち、沈み、形状や温度分布などどうなっているのか、明らかにされたい。
●炉心の状態についての推定は、平成23年11月30日、平成24年3月12日に公表していますが、1号機では燃料はほぼ全量が下部プレナムに落下し、その大半が格納容器ペデスタルに落下しているものと考えられること。2・3号機は、1号機と比較して損傷の程度は小さく、事故後溶融した燃料のうち一部は元々の炉心部に残存し、一部は原子炉圧力容器下部プレナムまたは格納容器ペデスタルに落下している状態であると考えられるとしていますが、詳細については直接確認ができていないため分かっていません。なお、水位・圧力・温度などプラント関連パラメータについては、ホームページにて公表しています。
④格納容器に落ちた燃料の取り出しは前例がなく、高度な技術的開発が必要と聞くが、今日的技術がそこまで到達しているのかどうか、明らかにされたい。
●平成23年12月、原子力災害対策本部の下に「政府・東京電力中長期対策会議」が設置され、同会議により決定された「中長期ロードマップ」に基づき、弊社は実際の廃炉作業を実施し、政府は弊社が実施する廃炉作業の進捗管理や、廃炉に必要となる研究開発を実施していますが、H24年度実施の各研究開発プロジェクトについて、実績及び評価、H25年度計画の見直しの方向性について4月12日に公表されています。
その中で燃料デブリ取り出し準備として、建屋内の遠隔除染技術の開発、総合的線量低減計画の策定、格納器漏えい箇所特定技術の開発、格納容器補修技術の開発、格納容器内部調査技術の開発などについて取りまとめられています。
⑤冷却水は約400㎥/日と聞き及んでいるが、1号機から3号機まで1日何トン投入され、漏れ出ているのは何トンか、また投入された冷却水は全量回収されているのか、明らかにされたい。
●毎日”福島第一原子力発電所の状況”を公表しており、5月16日(木)11:00時点では、1号機:約4.3㎥/h、2号機::約5.6㎥/h、3号機:約5.5㎥/hとなっています。これより24倍すると、1号機:約103.2㎥/日、2号機::約134.4㎥/日、3号機:約132.2㎥/日となり、1号機から3号機全体で約370㎥/日となります。ちなみに冷却は循環ループで行われています。
⑥格納容器が一部破損し、投入された冷却水が漏れ出て地下水と混ざり、その一部が地下水脈に当たり、放射性物質が直接海に流れ出ている危険性はないかどうか、明らかにされたい。
●弊社としては、港湾内の海水中の放射性物質濃度測定を実施し、追加放出、港湾外への影響がないことを確認しています。
また、建屋側からの放射性物質の海域への漏えい継続の可能性を調査するため、1~4号機スクリーンポンプ室内海水濃度および、ボーリング調査による海側地下水の放射性物質濃度等を確認していますが、継続して監視している開渠内の測定点の濃度変動に対して、影響を与えていないものと評価しています。
(再臨界・再溶融の想定)
⑦ 1号機~3号機及び4号機燃料プール等における再臨界・再溶融の想定及びその防止策を明らかにされたい。
●福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に基づく施設運営計画を定めています。
その中で、使用済燃料プールは”臨界が防止されていることを適切に確認し、臨界を防止できる機能を有すること。”を基本的対応方針の一つとしており、保守管理(使用済燃料プールの維持管理のために、使用済燃料プール水の水質管理、水質に異常があった場合の水質改善、漏えい監視、使用済燃料プール内への異物落下防止対策等を行う。)、異常時の評価(使用済燃料プール循環冷却系の機能が喪失した事故時や非常用注水設備が機能喪失したシビアアクシデント相当を想定した場合においても、使用済燃料の冠水は確保され、使用済燃料から発生する崩壊熱を確実に除去することが可能である。)等に則って管理してまいります。
(汚染水処理対策)
⑧ 汚染水対策として2015年まで70万トンの容量を確保するとしているが、廃炉作業が40年~50年とした場合、約2年後には貯蔵タンクの容量が不足する見込みである。汚染水及び処理済み水の全量を貯蔵できる容量を継続して確保できるよう、タンクの増設問題や耐用年数を十分考慮しているのか、長期的な汚染水処理の計画及び実現可能な対策を明らかにされたい。
●弊社は、国の指示に基づき、半期毎にタンク増設計画を報告しています。
淡水化装置(以下、「RO」という。)により発生したRO濃縮水の発生量を抑制し、RO濃縮水受タンクの貯蔵容量確保のため、現状の水処理装置の運転は、第二セシウム吸着装置(SARRY)(第二セシウム吸着装置の計画停止時はセシウム吸着装置(KURION))を主体に約36㎥/h(建屋への流入量が多い期間は40㎥/h)で運転するとともに、RO再循環運転(約25㎥/h)を行う運用としています。
現状(H25年3月19日現在)の処理水の貯蔵量は約27万㎥であり、タンクの貯蔵容量は約32.5万㎥となっています。
至近の貯蔵タンク増設実施及び計画としては、RO濃縮水を貯蔵するタンクとして、合計10,000㎥の鋼製円筒型タンクの増設をH25年3月に行い、多核種除去設備(以下、「ALPS」という。)の処理済水等を貯留するタンクとして、80,000㎥の鋼製円筒型タンク設置工事をH24年度下期から開始し、H25年度上期中に設置完了する予定です。
また、さらなる増設として、46,000㎥の鋼製円筒型タンクをH25年度上期中に設置する計画です。
なお、敷地南側エリア(面積:約10万㎡)は、現在、地質調査、地形測量を進めており、最大約30万㎡(総容量約70万㎥)のタンク増設検討を継続実施中です。
詳細は、「福島第一原子力発電所1~4号機における滞滞留水貯蔵タンク増設計画について(平成25年3月時点)」を参照願います。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu13_j/images/130328j0301.pdf
⑨地下貯水槽と漏洩した汚染水について、モニタリング、周辺環境への影響評価を的確に行っているのかどうか、明らかにされたい。
●地下貯水槽の漏えい検知孔水、ドレン孔水、および漏えい後に地下貯水槽周りに掘削した観測孔水を毎日サンプリングし、放射性物質濃度、塩素濃度を分析して、漏えいが環境まで影響していないことを確認しています。(結果は当社HPにて公表しています。)
また、最新の漏えい量推定結果では、ベントナイトシート(最外周のシート)外側で、No.1貯水槽で約9リットル、No.2貯水槽で約1.5リットル、No.3貯水槽では有意な漏えいはないものと考えています。
⑩汚染水タンクのパッキンの耐用年数が5年程度の評価と聞き及んでいるが、その長期的対策と手法を明らかにされたい。
●現在、福島第一原子力発電所内に設置されている汚染水の貯蔵タンクのうち、ボルトで接続するフランジ接合部を有する鋼製円筒型タンクにおいて、フランジ接合部に挟むパッキンの劣化を考慮した耐用年数が5年程度であることは事実です。
このボルトで接続するフランジ接合部を有する当該タンクは、短期間で調達・製作することができ、必要な容量を保管できることから選択したものです。
当該タンク本体は十分な耐久性を有していますが、フランジ接合部を点検・補修することにより、長期間、適切に使用できるものと考えていいます。
また、それ以外の貯蔵タンクについては、溶接によりタンク本体の部材を接合していることから、問題なく長期間使用できます。
フランジ接合部を有する当該タンクについては、フランジボルトの定期的なトルク確認を行うとともに、長期的な使用に対するパッキンの劣化を考慮したフランジ接合部の止水等補修方法について検討を進めているところです。例えば、タンク外面からフランジ接合部の補修を行うことなどにより、止水機能を維持し、保全を行っていくことを考えています。
⑪トリチウムは現段階では、科学的にも物理的にも、普通の水と分離することは難しいとされているが、今後の方針を明らかにされたい。
●高濃度のトリチウムを分離する技術はありますが、福島第一の液体廃棄物に含まれるトリチウムはこれよりも遥かに低い濃度で、分離することは難しいと考えていますが、トリチウムの除去技術について、今後とも、世界の知見を含め、調査を続けてまいる所存です。
除去できないトリチウムについては、我々が普段飲む水道水等にも含まれているものであり、非常に弱いβ線しか出さないものであるが、福島第一における液体廃棄物を多核種除去設備で処理した際の処理済水に含まれるトリチウム量は多いため、適切に取り扱っていかなければならないと考えています。具体的には、関係省庁等にご指導いただきながら、今後も検討してまいる所存です。
⑫ 地下水バイパス効果により、どの程度の量の地下水流入を抑制できるのか、明らかにされたい。
●実際に稼動してみないと具体的な効果の程度はわかりませんが、約100㎥/日程度の流入量抑制となると推定しています。
⑬海側遮水壁の設置について検討していると聞き及んでいるが、今後、地下水流入抑制の抜本策とあわせ、長期的は海洋汚染防止対策の進め方やスケジュールを明らかにされたい。
●海側遮水壁についてはH24/4より工事を開始しており、来年秋完成目途に工事を実施中です。その他地下水流入抑制のための対応方策については、経済産業大臣指示により設置した「汚染水処理対策委員会」にて検討中です。
⑭多核種除去後の処理水及び地下水バイパス水などの海洋放出について、漁業者の同意を得られない場合の対応を明らかにされたい。
●現状、他各種除去後の処理水を海洋放出する計画はありません。地下水バイパス水の海洋放出については、当社としては、関係者の皆さまにきちんとご理解いただくことが重要であるため、地下水バイパスの必要性や地下水を事前に分析して周辺河川と同等以下である許容目安値(セシウム137:1ベクレル/リットル)を下回っていることを確認すること等、丁寧に説明して参るとともに、地下水バイパスの稼働について、資源エネルギー庁、規制庁に報告しご了解いただきたいと考えています。
(原子炉及び使用済み燃料)
⑮1号機から3号機の原子炉及び1号機~4号機の使用済み燃料の処理が最優先課題と「IAEA」が提唱しているが、その問題解決の諸方策は何か、明らかにされたい。
●1号機から3号機の原子炉及び1号機~4号機使用済み燃料の処理については、「東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(議長:茂木経済産業大臣)」において決定及び進捗管理している「東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置に向けた中長期ロードマップ」で今後実施する主要な現場作業や研究開発等のスケジュールを可能な限り明示しており、この目標達成に向けて、政府•東京電力は各々の役割に基づき、連携をはかり取り組みを進めています。
4号機使用済み燃料については、今年11月から取り出しを開始し、26年中に共用プールに移動することとしています。
(参考)
○4号機使用済燃料取出しに向けた主要工事
燃料取出し用カバー工事を継続中(H25年度中頃完了予定)
基礎工事に加え、1/8より鉄骨建方を開始し、原子炉建屋5階上部に突き出す部分を残して鉄骨建方が完了(4/10)。鉄骨建方は平成25年6月頃完了予定。
○3号機使用済燃料取出しに向けた主要工事
構台設置作業が完了(3/31)し、現在、原子炉建屋上部ガレキ撤去作業を継続中。使用済燃料貯蔵プール周辺を整備し、プール養生(プールを覆うための蓋)の設置作業を実施しており、5月に完了した後、オペレーティングフロア上部のガレキ撤去を実施していく。
⑯使用済み燃料のプール貯蔵から乾式貯蔵への転換の見通し及び期間を明らかにされたい。
●使用済み燃料プール貯蔵から乾式貯蔵へ転換することの具体的計画はないが、将来的に使用済燃料プールの燃料を共用プールに搬送するにあたり、共用プールに必要な空き容量を確保するため、共用プールに現在貯蔵中の燃料を乾式キャスクに充填し、発電所外へ搬出するまでの間の乾式キャスク仮保管設備を設置し、本年4月12日より運用を開始しています。
(作業員の被ばく管理、要員計画)
⑰作業員の被ばく管理の現状及び放射線防護対策、要員計画を明らかにされたい。
●外部被ばく線量については、作業者にはアラーム付ポケット線量計(APD)を着用させ、日々の外部線量を測定及び管理するとともに、このAPD値を弊社システム内にて保存しています。
また、作業者に積算型線量計を装着させ、日々の線量管理をAPDで行い、1ケ月間の線量として積算型線量計にて評価しているところもあります。なお、こちらの線量値についても弊社システム内にて保存しており、適切に線量管理を実施しています。
内部被ばく線量については、定期的にホールボディーカウンター(WBC)により測定・評価を行っています。
なお、作業員には、今後ともそれぞれの専門性や役割に応じて業務を分担するとともに、作業環境に応じた適切な防護装備の着用を徹底し、労働者の安全確保に努めてまいります。
要員計画については、従事者登録されてる協力企業作業員及び当社社員の人数は、昨年12月〜今年2月の1ケ月あたりの平均が約8,600人、実際に業務に従事した人数は平均で約5,900人であり、ある程度余裕のある範囲で従事登録者が確保されています。
(放射能汚染及び除染、汚染物の管理貯蔵)
⑱ 福島県内外に及ぶ広範な放射性物質の放出による食品及び農地の放射能汚染に対する対策を明らかにされたい。
●食品については国の支援の元、地方自治体でモニタリング検査を継続して実施しています。この検査で基準値を超える放射性物質が検出された食品については、状況に応じて、出荷や摂取の制限が行われています。また、放射性物質により汚染された農地の除染については「市町村による除染実施ガイドライン」(平成23年8月26日原子力災害対策本部)3の(3)に基づき、農地の除染の適当な方法等が定められております。
⑲ 放射能汚染地の除染対策及び除染による汚染物の管理貯蔵について、明らかにされたい。
●放射性物質により汚染された土壌等の措置、放射性物質により汚染された廃棄物の処理については、「放射性物質汚染対処特別措置法」が2012年1月1日より全面施行されており、この法律に基づき、国が中心となり取り組んでおります。
当社は事故の当事者として、事業所内の廃棄物の処理並びに土壌等の除染の措置等を実施すると共に、国が実施している除染モデル実証試験や市町村の除染計画策定を支援する専門家派遣事業に社員を派遣するなどの取り組みを実施しています。
(参考)
「放射性物質汚染対処特別措置法」において、国、地方公共団体、事業者の各責務は、以下の様に示されています。
国:原子力政策を推進してきたことに伴う、社会的責任に鑑み、必要な措置を実施。
地方公共団体:国の施策への協力を通じて、適切な役割を果たす。
関係原子力事業者:誠意をもって必要な措置を実施するとともに、国または地方公共団体の施策に協力
(バックアップ体制、その他)
⑳1号機〜3号機での原子炉内の「温度計信頼性評価結果」の「監視対象」の略語記号を明らかにされたい。
●「温度計信頼性評価結果」の「監視対象」温度計の略語記号(Tag No)名称については「福島第一原子力発電所第1号機、第2号機及び第3号機の原子炉内温度計並びに原子炉圧力容器内温度計の信頼性評価について」のP5〜10「RPV/PCV温度計信頼性評価対象および評価結果」のサービス名称欄を参照願います。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu13_j/images/130501j0501.pdf
2、東京電力福島第一原発及び第二原発の廃炉について
(廃炉の工程)
①第一原発及び第二原発における廃炉の工程とその見通しを明らかにされたい。
●福島第一1〜4号機については、平成24年4月19日付けで廃止手続きを完了しています。
福島第一5,6号機及び福島第二ついては、安定した冷温停止状態にあり、プラントの冷温停止維持に係る設備の復旧を進め、さらなる信頼性向上に努めているところです。
今後の扱いについては、今後の国のエネルギー政策の具体的な議論を踏まえて検討したいと考えており、現時点では「未定」です。
廃止措置を決定した福島第一1〜4号機については「東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(議長:茂木経済産業大臣)」において決定及び進捗管理している「東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置に向けた中長期ロードマップ」に廃止措置終了までの今後実施する主要な現場作業や研究開発等のスケジュールを可能な限り明示しており、この目標達成に向けて、政府・東京電力は各々の役割に基づき、連携をはかり取り組みを進めています。
本ロードマップについては、現派の状況や研究開発成果等を踏まえ、継続的に見直すこととしており、進捗状況等は経済産業省および東京電力ホームページで公開しています。
② 廃炉工程における高レベル放射性廃棄物の「暫定管理」と「総量管理」について、明らかにされたい。
●高レベル放射性廃棄物対策の「暫定管理」と「総量管理」については、原子力委員会からの依頼(2010年9月)に応えて、日本学術会議は2012年9月に回答を公表した「高レベル放射性廃棄物の処分」の中で以下の提言をしています。
○地層処分の安全性について専門家間の十分な合意がないため、自律性・独立性のある科学者集団による専門的な審議を尽くすべき。そのための審議の期間を確保するとともに、科学的により優れた対処方策を取り入れることを可能とするよう、今後、数十年〜数百年の間、廃棄物を暫定的に保管(暫定保管)すべき。
○高レベル放射性廃棄物が無制限に増大することを防ぐために、その発生総量の上限を予め決定すべき(総量管理)。
○科学的な知見の反映の優先等立地選定手続きの改善、多様なステークホルダーが参画する多段階合意形成の手続き等を行うべき。
これに対し、原子力委員会は「今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組みについて(見解)」(2012年12月)で、高レベル放射性廃棄物の処分方法として、地層処分は妥当な選択とし、政府の今後取り組むべき方向性を示しています。
○地層処分の安全性について、独立した第三者組織の助言や評価を踏まえつつ、最新の科学的知見に基づき、定期的に確認すべき。
○最新の科学技術的知見に基づき、処分計画を柔軟に修正・変更することを可能にする可逆性・回収可能性を考慮した段階的アプローチについて、その改良改善を図っていくべき。
○原子力・核燃料サイクル政策に応じた放射性廃棄物の種類や処分場規模について、選択肢を示し、それらの得失について説明していくべき。
○立地自治体をはじめとするステークホルダーと実施主体が恊働する仕組みの整備など、国が前面に出る姿勢を明らかにするべき。