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東京電力の回答2ー事故原因・責任と損害賠償

 脱原発福島ネットワーク、双葉地方原発反対同盟、ハイロアクション福島など市民グループ8団体が5月27日に再開した東京電力との交渉。
 その際に行われた、5月15日に廣瀬代表執行役社長宛に提出した「福島原発における事故対応と廃炉、賠償等に関する公開質問状」に対する東京電力の回答の報告、第2回目です。
 大きく3点30項目の内、今回は以下の3です。
1、東京電力福島第一原発事故の現状と今後の対応について(前回5月31日掲載)
2、東京電力福島第一原発及び第二原発の廃炉について(前回5月31日掲載)

3、東京電力福島第一原発事故の原因及び責任と損害賠償について(今回)


3、東京電力福島第一原発事故の原因及び責任と損害賠償について

(事故の原因及び責任)
①本件事故の根本原因を、明らかにされたい。

●今回の福島原子力事故は、3月29日に発表した「福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン」の最終報告書で、「全電源喪失という過酷な状況を招き。多数の安全設備を機能喪失させてしまった」こと、そして「過酷事故の備えが設備面でも人的な面でも不十分であった」ことと、総括しました。過酷事故への備えが、設備面でも人的な面でも不十分であったことから、防ぐべき事故を防げなかったと深く反省し、その上で事故への備えが不足していた点について、対策をまとめ「原子力安全改革プラン」として公表しております。

②本件事故の責任の所在を、明らかにされたい。
●法的責任の有無については、司法の場で審理等がなされ、判断がくだされるものと認識しております。

(健康と人権)
③本件事故による被曝者の健康管理及び医療支援についての対応を明らかにされたい。

●弊社は、福島県ご当局と協議のうえ、昨年1月、「福島県民健康管理基金」に対して250億円を拠出させていただいており、健康被害対策に充ててただけるものと伺っております。さらに、将来、事故と因果関係が認められるような健康被害があった場合には、その損害等につきまして、誠実かつ適切に対応してまいる所存です。

④本件事故による被災者及び避難者への生活支援についての対応を明らかにされたい。
●弊社は、福島第一原子力発電所の事故発生以来、同発電所周辺自治体の災害対策本部への駐在や避難先、仮説住宅へのご訪問などを通じ、発電所の状況のご説明や皆さまのの生活のご支援・お手伝いなどをさせていただいております。
今後とも引き続き。国や自治体にご相談しながら、皆さまへのご支援などに誠意をもって取り組んでまいります。

(損害賠償)
⑤本件事故の損害賠償についても、そもそも貴社が国策により原発を稼働させ事業を行っていたものであり、加害者である貴社や国が一方的に賠償範囲を示すこと自体、損害賠償の在り方として不正常だが、これを改善する考えがあるか、対応を明らかにされたい。

●弊社は、原子力損害賠償支援機構法(以下、機構法)を含む原子力損害賠償制度の枠組みの下で、損害を受けられた極めて多数の方々に対し、公正かつ迅速な対応を実施するため、政府に設けられた公正・中立的な立場である原子力損害賠償紛争審査会(以下、紛争審査会)による中間指針等を踏まえ、本件事故との相当因果関係が認められる損害につきまして、引き続き、損害を受けられた方々のご事情をよくお伺いし、親身・親切な賠償に取り組んでまいります。

⑥本件事故による被害者には、放射線被曝による健康管理・避難・医療・除染など生活上、生業上、健康上など全ての物質的身体的精神的な損害はじめ、全産業における風評被害など現実に被っている全ての損害を賠償の対象とすべきものの、現状では被害に見合った十分な賠償に至っていないが、今後の対応を明らかにされたい。
●弊社は、機構法を含む原子力損害賠償制度の枠組みの下で、紛争審査会による中間指針等を踏まえ、被害を受けられた方々への公正かつ迅速な賠償金のお支払いに取り組んでおります。
本件事故との相当因果関係が認められる損害につきましては、賠償の対象と認識しており、引き続き、被害を受けられた方々に対しまして親身・親切な賠償に取り組んでまいります。

⑦本件事故による被害者には、被害に見合った十分な賠償を受けることが確保されるべきであり、本件事故の損害賠償請求権について消滅時効を援用しないことを確約すべきであるが、対応を明らかにされたい。
●弊社は、原子力損害賠償に関して、時効が完成した場合でも直ちに消滅時効を援用するということは考えておらず、被害を受けられた方々が時効によって適切な賠償を受けられなくなることはあってはならないと考えております。
今後も、弊社本賠償手続きをご請求いただいていない被害者の方々に対し、ご請求をお願いするダイレクトメールの送付や、個別訪問や説明会を実施させていただくなど、より丁寧な情報発信を行って、円滑な賠償のお支払いに万全を期し、被害を受けられた方々が不利益を受けるような事態が生じることのないよう、真摯に対応をしてまいります。

⑧本件事故による不動産、財物賠償について、現行の方式では被害に見合った十分な賠償とはいえず、公共事業の立ち退き補償並みの賠償を求める声など、被害者が自立した生活再建、新たな生活への転身が可能となる賠償額の保証が求められており、少なくとも被害前と同等の住宅を再取得することが可能な賠償が必要である。今後の対応を明らかにされたい。
●宅地・建物、家財に係る財物の賠償につきましては、中間指針等を踏まえ、帰還された上での生活再建や新たな土地における生活の開始など、それぞれのご選択に賠償が影響を与えないよう同一の賠償基準とすることとされており、可能な限りそれぞれの選択に資するような賠償の枠組みとしております。
具体的には、宅地・建物に関し、本件事故発生当時の財物価値を算出する際に、固定資産税評価額に宅地係数や建物係数を乗じることにより、償却期間について固定資産税評価により期間の長い公共用地収用時の耐用年数を基準とするとともに、残価率の下限を20%とすることで、建物毎の個別性も配慮しながら、再取得を行うことも考慮した公正な額になると考えております。
なお、賠償金額の算定にあたっては、昨年の賠償基準公表以降も、住民の皆さまからいただいた数多くのご要請を真摯に受け止め、可能な限り被害を受けられた方に寄り添った賠償を行えるよう検討・準備を進めてまいりました。例えば、建物の賠償額算定に用いる係数については、住民の皆さまからいただいた数多くのご要請を踏まえ、より実態に則した評価となるよう検討した結果、「定型評価」で算定する一般的な木造住宅の時価相当額は平均的に2割程度の上積みとなっています。
以上
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by kazu1206k | 2013-06-02 09:47 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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