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福島原発の汚染水海洋流出で決議と意見書

いわき市議会の7月臨時会が7月31日開かれ、冒頭、緊急案件として、議員提案の東京電力に対する「福島第一原子力発電所の汚染水海洋流出による対策の徹底を求める決議」と内閣総理大臣と原子力規制委員会などに対する「福島第一原子力発電所における汚染水流出問題について政府の直轄による危機管理を求める意見書」を満場一致で可決した。
以下に、全文掲載。

●福島第一原子力発電所における汚染水流出問題について政府の直轄による危機管理を求める意見書

 東京電力は、7月22日、福島第一原子力発電所で、放射性物質を含む地下水が海に流出していることを初めて認めた。
 地下水の汚染が発覚して以降、汚染水が海に流出している可能性は指摘されていたが、東京電力はこれまで、汚染水の海への流出を「判断できない」としてきた。
今回、東京電力は、潮位などの変化と地下水の変動が連動していることから、海水と地下汚染水が水面下で行き来していると判断したものであるが、判断が遅れた理由については、海への汚染水流出を防ぐ壁を整備する部門が、潮位と地下水位の連動を示すデータを持っていたにもかかわらず、汚染水に対応する部門との情報共有を怠ったためとしている。
 この直前、本市では、福島県地域漁業復興協議会において、いわき沖で9月から始める試験操業について話し合い、計画の見通しが立ったばかりであり、原子力発電所事故以来、放射性物質による深刻な海洋汚染の事態を受け、自主的な操業停止という苦渋の決断を強いられ続けている本市の漁業者にとって、漁業の操業再開に向けた第一歩を踏み出そうとしたところであっただけに、この汚染水流出は甚だ遺憾であり、憤りを感じざるを得ない。
 今回の汚染水の海への流出及び判断の遅れを含め、これまで東京電力が繰り返し行ってきたトラブルへの場当たり的な対応や情報公開の遅れからは、反省の色が全く見られないばかりか、原子力発電所事故の当事者としての誠意と責任が感じられず、いわき市民の東京電力への不信感は増幅し続けており、今後、東京電力が自らの自助努力によっていわき市民からの信頼を回復し、不安を払拭することは極めて困難であると言わざるを得ない。
 よって、政府においては、今後、福島第一原子力発電所における事故収束に向けた取り組み及びトラブルの処理について、原子力規制委員会を初め政府自ら前面に立って現場を指揮することとし、全てのデータを政府において把握・管理・評価し、危機管理を政府が直轄するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成25年7月31日

 内閣総理大臣  安 倍 晋 三 様
 経済産業大臣  茂 木 敏 充 様
 復興大臣    根 本   匠 様
 原子力規制委員会委員長  田 中 俊 一 様


●福島第一原子力発電所の汚染水海洋流出による対策の徹底を求める決議

 東京電力は、7月22日、福島第一原子力発電所の海側に設置した観測用の井戸で採取した地下水と海の潮位データとの関係を分析した結果、放射性汚染水を含む地下水が海へ流出している、との見解を公表した。
 東京電力によると、汚染は放射性物質の流出を防ぐシルトフェンス内部に限られ、沖合への影響はない、との説明をしているが、原子力規制委員会より7月10日に、汚染水が海に漏れ出ていない、とする東京電力の説明に対し、トレンチと呼ばれる地下トンネル下に敷かれた砂利の層を経て漏れた可能性があることを指摘され、海洋流出を認めている。この一連の東京電力の姿勢を見ると、汚染水の流出という事態が、福島県の住民に及ぼす影響の重大さを理解しているとは到底思えない。
 本年3月には、停電で使用済燃料プールの冷却システムなどが停止する事故の発生、さらに、6月には、福島第一原子力発電所の海側に設置した観測用の井戸で採取した地下水から、海への排出基準を上回る高濃度の放射性ストロンチウムとトリチウムを検出したことの公表を、2週間あまりが経過した後に行うという不誠実な対応があった。これらの事態に当たり、本市議会は再三にわたり体制の整備や、速やかな情報公開を求めてきたが、この度も再びその要請と期待を裏切る結果となっている。なおかつ今回の事故については、原子力規制委員会より指摘を受けた上で初めて汚染水の海洋流出を認めるという、隠ぺいの疑いさえ抱かせかねない対応に、憤りを感じざるを得ない。
 事故から2年4カ月を経過しても汚染水問題の収束が不透明な状況にあり、本市市民は風評被害の払拭のために奮闘しているにもかかわらず、このような事態が繰り返されるたびに風評が再発・拡大し、奮闘の努力を水泡に帰させている。本市では、福島県地域漁業復興協議会において、いわき沖で9月から始める試験操業について話し合い、計画の見通しが立ったばかりであり、本市の漁業者にとって、漁業の操業再開に向けた第一歩を踏み出そうとしたところであっただけに、今回の汚染水流出は甚だ遺憾であり、漁業者を初め関係者や観光産業など本市に及ぼした損害の大きさを、改めて重く認識すべきである。
 よって、いわき市議会は、東京電力に対し、汚染水の海洋流出への対策を速やかに行い、汚染水の管理・監視体制の一元化と充実強化及び速やかな情報公開に、全社を挙げて徹することを強く求める。
 以上、決議する。

  平成25年7月31日
             い わ き 市 議 会

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by kazu1206k | 2013-07-31 17:56 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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