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破裂事故現場を調査、鮫川村焼却施設

 9月6日、いわき市議会創世会は議員4名が、8月29日に主灰コンベアのケーシング破裂事故を起こした鮫川村の放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設の現場を調査しました。
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いわき市民の水道水源の源流域にあたる鮫川村青生野地区に建設された同施設は、いわき市、塙町、北茨城市など周辺市町村住民や自治体の反対を押し切り、19日に本格運転を開始したものの、稼動9日目で2回の爆発音を伴う事故を起こしたものです。
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事業主体の環境省と施設運営者の日立造船などの説明によると、8月29日の事故当時は、貯留ヤードで放射能濃度404bq/kgの牧草を60%、放射能濃度5800bq/kgの稲わら40%を破砕混合し、放射能濃度2561bq/kgの処理物を、定量切出装置から定量ずつ傾斜回転床の焼却炉にいれて焼却していました。
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事故発生時、大きな破裂音は2度で14:33と14:36とされ、施設から500m程離れた家の住民が爆発音を聞き村役場に14:35に通報して施設のゲート前に駆けつけました。14:37運転の停止操作を開始し、14:53排風機が停止。しかし、環境省の緊急時連絡は遅く、鮫川村、いわき市、北茨城市など隣接自治体や県などへの連絡は15:10以降となりました。また、消防には事故発生6時間後の20:30棚倉消防署が環境省本省に問い合わせるまで通報せず、棚倉警察署には6時間半後の21:00連絡というもので、緊急時対応が全く機能せず危機管理能力の欠如を露呈しました。真っ先に連絡すべき周辺住民には、21:00に謝罪に歩いたという情報もありますが、緊急時の周辺住民に対する通報連絡も全く機能していません。
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事故の状況は、2度の爆発によって主灰コンベアが垂直に立ち上がる部分のコンベアのケーシング(コンベアを囲む枠)の溶接部が破裂長さ3m、最大幅0.5mが破断。ケーシング上部や点検口の蓋も変形、ストッパーも破損し、主灰コンベアは、大きなダメージを受けているようです。日立造船の目視点検では、主灰の飛散はないとされ、施設内外の空間線量率の異常はないとしています。一方、施設周辺の土壌モニタリングで東西南北120m地点の土壌の放射性セシウム濃度に若干の変化がある可能性があり、精査が必要です。
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環境省は「主灰を排出する際に開放するゲートシリンダを閉め忘れたため、焼却炉を回転させる軸の隙間から可燃性ガスが少しずつ漏れ、主灰コンベア内に滞留し、着火したのが原因」と説明しています。
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そもそも、おわん型の炉を回転させて処理物をかき混ぜながら燃やす傾斜回転床炉は、全国でもあまり普及していないと言われ、ゴミがうまく混ざらないと炉の底にゴミがたまり不完全燃焼しやすいと構造的問題も指摘されています。
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事故発生後の経過を見るかぎり、日立造船、環境省による緊急時対応が全く機能しなかった事実が明るみにでています。いわき市議会創世会は、あまりにお粗末な環境省と日立造船の対応に厳しく抗議しました。9月7日、日立造船は、社内調査委員会が調査に入るとしていますが、第三者による事故調査と公正な原因究明が必要です。構造的問題を抱える傾斜回転床炉であり、住民や自治体の声を無視して稼動させた放射性物質の焼却実証実験施設、事故を起こしても基本的危機対応ができない環境省、このような状況で鮫川村焼却施設の再開はあり得ません。放射性物質の焼却施設を分散する建設するという環境省の方針は、見直す必要があります。
by kazu1206k | 2013-09-07 09:38 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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