9月21日午後、福島市福島県文化センターで「原発事故被害者の救済を求める全国集会in福島」が開かれ、全国から約500人が参加しました。主催は、原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会で構成団体は原発事故子ども・被災者支援法市民会議など25団体。賛同団体は原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟など18団体。

集会は、原発事故がいまだ収束の見通しがたたず、原発被害者が疲弊と困難を極める中で、昨年6月制定された「原発事故子ども・被災者支援法」が、被害者一人ひとりの選択する権利を保障し、幅広い支援策を講じることを定めているにもかかわらず、成立から一年2ヶ月放置され、復興庁が発表した『基本方針案』も、既存の施策の寄せ集めで法の理念とは程遠いこと、また原発事故被害の損害賠償の請求権が、来年3月には時効消滅してしまうという問題を解決するため、福島県内外の被害当事者や支援者が立ち上がり、幅広く連帯して声をあげ、国に対して解決を求めて、国会請願署名を進めるために、キックオフ集会として開催したものです。

集会実行委員会を代表して佐藤和良いわき市議、さらに呼びかけ人から小池達哉福島県弁護士会会長と野々山理恵子パルシステム東京理事長が挨拶したあと、3人から問題提起。
1.「支援法の現状」福田健治弁護士
復興庁は支援法を1年2か月放置し、被災者が8月22日国に訴訟をおこしたため8月30日に基本方針案をつくり短期間のパブリックコメント、しかし対象地域が狭く被災者の実態を反映していない。被災者の自己決定(居住、避難、期間)を尊重し、等しく支援するという法の精神を守らず、避難者を支援しない方針。被災者の意見を聞いていない、公聴会を開いていない。
2.「時効問題の現状」的場美友紀弁護士
被災者の健康診断体制、医療支援が先送りされている。消滅時効問題の対応が不十分だ。特別立法による解決が必要。
3.「求められる健康管理体制の確立」木田光一福島県医師会副会長
福島県ではなく、国が責任を持って、健康管理体制を構築すべきだ。


被災当事者10人からのスピーチ。福島にとどまった人、県外に避難した人、避難後帰還した人、宮城県の線量の高い町の人、千葉県の線量の高い市の人などがそれぞれの事情と行動について、それぞれの思いを切々と訴えました。

郡山市から静岡県富士宮市に避難した長谷川さんは、避難指示区域ではない郡山市からの自主避難者の受けてきた行政からの扱い、親戚はじめ職場や隣近所、子どもたちの別れなど故郷を離れ身を切られるような辛い別れ、分断によって心に刻まれた傷を話しました。松戸市の増田さんは、松戸市は放射能管理区域でと同じ線量で、チェルノブイリ法では移住区域にあたり、原発事故現場から200km離れているが、原発に近い地域という認識と語り、宮城県丸森町の太田さんは、福島との県境にあり福島県に飛び出している地域だが、宮城県知事が事故発生直後から安心安全キャンペーンを行ったため、線量の高い筆浦地区の健康調査も80人で打ち切ってしまったと話しました。

来賓挨拶は、支援法国会議員連盟会長代理の荒井広幸参議院議員、同事務局長の川田龍平参議院議員など。

海渡雄一弁護士(日弁連東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部副本部長)が論点整理を、以下のように行いました。

行動提案では、5人から全国500万人署名運動、当時者団体の全国的連携、自治体からの発信などの提案がありました。中手聖一さんは、「当事者は私たちだけでなく、次の世代、そのまた次の世代へと続いていくことが今までとの違い。今私たちは、あきらめない!ぶれない!こびない!」と、全国の当事者団体の連携を呼びかけました。また、F0EJapanの満田夏花さんからは、パブコメに「1ミリシーベルト以上の地域を支援対象地域に」「実質的に避難、保障がを行うように」「パブコメ後公聴会を」などの4点を要求しようと呼びかけられた。また、全国署名の10月末第1次集約、11月末の第2次集約と第1次集約後の11月国会請願行動などの行動提起がありました。

集会後の交流会では、県内や全国からの参加者はじめ実行委員会の参加団体、賛同団体の代表が交流を深め、各地で集会や学習会を実行して請願署名を呼びかけ、運動を全国に広げることを誓い合いました。