被告訴人は「グレー」、検察の説明
2013年 09月 25日
検察庁からの説明後、福島地検から東京地検に移送した件について、検察庁は「処分の安定性、統一性の確保のために、東京地検に集約をして、東京地検から結論を出した」としたが、両地検は事前に東京高検・最高検など上級庁と協議の上、処分したと認めており、この点に説得力はない。むしろ、東京地検に移送すれば福島検察審査会に申し立てができないことから、福島県での県民による検察審査会への申立を不可能にするため移送したことがわかる。このため、もう一度、告訴団の事件だけを再起して、福島地検に戻したうえで不起訴とすることは、法的には可能なため、検討を申し入れたが、検察は「ありえない」と即決拒否。
また、強制捜査をしなかったことについて北海道新聞9月11日には「隠された証拠が絶対にある」という意見が内部にあったことにたいし「事故の収束作業を妨げかねない」「起訴できると期待させてしまう」という慎重意見が相次いなどと報じたが、東京地検は「そのような事実はない。しかし、北海道新聞の報道には抗議はしていない。いちいち個別の報道には対応しない」としたため、あらためて、強制捜査をしないで「捜査を遂げた」とは言えないと改めて批判した上で、「隠されている証拠が絶対ある」という意見が部内にありながら、なぜ強制捜査できなかったか。2012年8月の告訴受理以降「事故の収束作業を妨げかねない」という状況はなかったと見るべきで、今の汚染水漏れの実情を見れば、検察庁が強制捜査をしないで甘い任意捜査で済ませたから、二年半も遮水壁の建設を先送りし汚染水放出を国際問題化することになったと批判した。
この後、「今回の事故では,福島第一原発において10m盤を大きく超えて建屋内が浸水し.非常用電源設備等が被水して機能を喪失するに至る程度の津波(以下,単に「10m盤を大きく超える津波」という。)が襲来することについての具体的な予見可能性が認められれば,原子炉冷却機能喪失による炉心損傷等に起因する結果の発生に対する具体的な予見可能性があったと認められるものと考えられる。」とする検察の予見可能性の有無について、詳細にやり取りを行った。
最後に、業務上過失致死傷、業務上過失激発物破裂につき、被告発人の勝俣恒久、清水正孝、武藤栄、大出厚、小森明生、武黒一郎、服部拓也、南夜哉、荒木浩、榎本穂明ら東京電力関係者を嫌疑不十分として不起訴処分としたことについて、検察は被告訴人らに対し、白でも黒でもなく「グレー」である。潔白ではなく「グレー」であると認めた。
告訴団は、正午過ぎから約1時間、福島市市民会館にて「検察による不起訴理由説明の報告会&記者会見」を行って、説明内容を詳しく報告。東電側などの主張のみが偏重された処分内容の説明にたいして、告訴団は到底納得できるものではないとして、検察審査会に申立てを行うことが明らかにしている。告訴団は、日本公害史上未曽有の人災の責任を追及し、原発のない社会を作るため、引き続きのご支援をお願いし、9月29日(日)正午、郡山市 郡山ユラックス熱海での『これでも罪を問えないのですか? 不起訴処分に抗議する集会』への参加を呼びかけている。