11月定例会、汚染水解決を求め決議
2013年 11月 29日
28日初日の本会議では、新たに選任された宮崎副市長、吉田教育長、仲野水道事業管理者からあいさつを受け、日程の冒頭で、東日本大震災復興特別委員会の提出による「福島第一原子力発電所における汚染水問題の早期解決を求める決議」が全会一致で議決されました。
その後、清水市長及び2人の副市長から116議案の提案理由説明がありました。
市長からは、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の現地視察の結果や側溝土砂の取扱いに係る見通し、スポーツイベントや国際会議の誘致などの取り組み、浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業運転の開始などの市政報告、さらに下水道使用料を引き上げる下水道条例の改正などの条例改正案、一般会計・特別会計・企業会計あわせて補正額が約40億円の補正予算案の概要が説明されました。
11月定例会の会期は、市議会11月定例会が11月28日から12月12日までです。
わたくしの一般質問は、12月2日(月)午後1時10分から60分間の予定です。
●福島第一原子力発電所における汚染水問題の早期解決を求める決議
東日本大震災と福島第一原子力発電所における事故の発生から2年9カ月が過ぎようとしているが、同発電所においては、今なお多くの問題を抱えながら、事故処理の作業が続けられている。
特に、増え続ける放射性物質汚染水とその流出問題は、福島県の住民、中でも水産業関係者を大きな不安と悲嘆の中に陥らせており、根本的な解決策を確立する見通しは立っていない。この問題を重く見た政府は、次年度からようやく汚染水対策に国費を投入する方針を固め、凍土遮水壁整備を支援することとしたが、その完成までには相当程度の期間を要するとされている。
これまで本市議会は、汚染水問題に関し、繰り返し対策の強化を要請してきたが、初歩的なミスや場当たり的な対応が目立ち、作業現場の掌握と管理体制の不備を疑わざるを得ない。
これらの原因のひとつには、現場作業員の労働環境や賃金、危険手当の確実な支給などを初め労働条件の管理が不十分であり、あるいは熟練の作業員が現場を去ることにより経験の浅い作業員を配置せざるを得ず、作業員同士の意思疎通や現場の士気の維持が難しくなっている現状があるものとも推察する。
汚染水問題の早期解決と真の事故収束は、本市はもとより、福島県全住民そしてわが国国民にとって悲痛とも言える願いである。
今後、遮水壁の整備や燃料の取り出し等、廃炉に向けた作業工程を着実に推進するため、作業員の配置、協力企業や要員計画など人的資源の適切な体制整備は無論のこと、工程における不測の事態に対応するための想定と準備体制の整備、さらには発生した事象について速やかに情報を公開する体制整備など、取り組みを期待したい課題が山積する中であるが、喫緊の汚染水問題に対処するため、国及び東京電力においては、次の事項について早急な対応を取られるよう要請する。
1 海洋はこれ以上汚染しないということを基本原則とし、汚染水及び汚染された雨水の漏出を防止するための抜本的対応策を早期に講ずること。雨水については、排水路を整備して港湾内への排水を徹底し、外洋へ直接流出させないこと。
2 汚染水の漏えい防止のため、より強固で耐久性の高いタンク及び配管に更新すること。溶接型地上タンクによる場合も、腐食等による保管の限界のリスクを考慮した対策を行うこと。
3 現在の多核種除去設備(ALPS)は、コバルト60初め数種類の核種が、東京電力自身が目標とした検出限界値未満まで取りきれないことから、さらに性能の高い設備を開発・設置すること。
また、技術的には可能であるが実用的なレベルには至っていないトリチウム除去設備の開発を急ぎ、より高性能の多核種除去設備で処理した汚染水からトリチウム除去を実施すること。その設備が設置運用される以前においては、汚染水タンクで保管する汚染水及び新たに発生する汚染水については放射性物質を多核種除去設備等で除去したのち、コンクリートで固化し保管すること。
4 遮水壁について、凍土方式による遮水壁の検討が進んでいるが、同方式による遮水壁の効果について、福島第一原子力発電所の現地における実証実験を行うとともに、信頼性の高い遮水措置に向けて、粘土壁の併設による多重防御の遮水処置の構築、また他の構造物による遮水方式も含めて国内外の専門家・国際的な叡智を結集して検討し、実施すること。
5 原子力発電所専用港、原子力発電所沖合からいわき沖合にわたる一帯の海水・海底土の放射線量測定の詳細実施により、放射性物質汚染水モニタリングの信頼性を高めること。
6 汚染水対策工事については、作業員を適切に指揮監督し、東京電力社員及び国の機関による工事のチェック体制を強めること。
以上、決議する。
平成25年11月28日
い わ き 市 議 会