一般質問3-TPP、土壌調査、米軍PCB廃棄物処理
2013年 12月 06日
1 平成26年度予算編成と創世会予算要望への対応について(第1回)
(1)平成26年度予算編成と編成過程の透明化について
(2)災害公営住宅の入居について
(3)障がい者や女性に配慮した災害対策と福祉避難所の整備等について
(4)避難計画、保養など原子力災害対策について
(5)地域経済・産業対策について
(6)市営テニスコートの整備について
2 原発事故収束・廃炉及び原発事故避難者へのいわき市の対応について(第2回)
(1)原発事故収束・廃炉に向けた「事故収束廃炉庁」の設置要望について
(2)原発事故避難者の「移住支援」について
3 平成26年度いわき市農林業施策に関する建議について(第3回)
(1)国・県の農業施策への要望について
(2)いわき市の農業振興施策及び林業振興施策について
4 (株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物の処理について(第3回)
(1)(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物処理の経緯と概要について
(2)安全確保対策といわき市の対応について
第3回は、「平成26年度いわき市農林業施策に関する建議について」「(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物の処理について」のやり取りを、以下に紹介します。
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大きな第三点、平成26年度いわき市農林業施策に関する建議について、であります。
いわき市農業委員会は「農業委員会等に関する法律」に基づいて市町村に設置が義務付けられている行政委員会です。
毎年、法に基づき、いわき市長に対して「いわき市農林業施策に関する建議」を提出しておりますが、今年は、東日本大震災と原発事故による農業の先行き不安、TPP交渉参加と関税撤廃となった場合の壊滅的打撃への懸念、高齢化と担い手不足等の情勢を踏まえ、農業者が安全に、安心と希望を持って営農できるよう、効果的な支援策及び予算確保並びに上部機関等への具申を求めて、21項目の建議を行いました。そこで、以下伺います。
1点目は、国・県の農業施策への要望について、です。
⑳まず、TPP交渉について、農業委員会は交渉参加の即時撤回を求め、重要品目等の聖域確保ができない場合は交渉から即時撤退を要望していますが、聖域確保ができない場合、いわき市の農業者への影響は大きいと考えますが、農業委員会はどのように対応するのか、お尋ね致します。
—答弁(農業委員会会長)TPP参加は、食料自給率の低下はもとより、食の安全基準の見直し、医療制度の変更など、国のあり方を塗り替える側面もあり、国民生活に重大な影響を与えるものでありながら、交渉内容は秘匿されています。
特に農業分野の重要5項目については、衆参農林水産委員会において、関税撤廃の例外として決議されたにも関わらず、その関税上の分類である586品目の中で、優先順位を付け、商品価値が低く農業者の利益が少ない品目を関税撤廃の候補とするなど、聖域を侵すことが危惧されています。
本市農業は、水田稲作が多数を占めており、米をはじめとするいわゆる重要5項目の聖域確保ができない場合、市内農業者に与える影響は甚大でありますことから、農業委員会系統組織と連携し、聖域の確保を確実なものとするため、12月に開催されます県選出国会議員への要請や全国農業委員会会長代表者集会など、あらゆる機会を捉えて、引き続き、国に対し要望を行って参りたいと考えております。
21)次に、経営所得安定化対策の法制化に関連して、政府・与党が議論する米の生産調整の見直し案について、小規模農家や中山間地の農家にとっては所得向上の道筋が不透明でむしろ経営の厳しさが増す状況が危惧されますが、農業委員会のご所見をお尋ね致します。
—答弁(農業委員会会長)40年以上続いた米の生産調整の大転換は、東日本大震災や原発事故からの農業再生に向けて、様々な負担や辛苦に喘ぐ本市農業者にとって、更なる不安を招くものであり、国が描く農業集落の所得向上についても、その前提となる飼料用米の生産増大に向けて流通先の確保などの課題があり、新たな農業経営の具体像が見えないなど、農業者は、将来に大きな不安を抱えているものと捉えています。
また、兼業農家や小規模な農家、更には営農に不利な中山間地域の農家が多数を占めている本市の地域特性を踏まえますと、国が目指す競争力の強い農業経営体の育成は一部にとどまり、全体としては、農業経営が更に厳しくなり、耕作放棄地が増大するのではと危惧するところであります。
このことから、米政策の再構築に向けては、日本の農業・農村を現在に至るまで支え続けた地域農業のあり方を正しく評価し、地域の実情を踏まえ、農業者に対して丁寧な説明をした上で、十分な議論を進め、農業者の所得が確保され、安心して持続可能な生産活動ができる制度の構築とすることが必要であると考えております。
22)次は、「農業用ため池の除染」について、いわき市はどのように対応するのか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)農業用ため池の除染につきましては、大雨等により放射性物質を含む底質の土壌が流出した場合、農地等の汚染や、地域の農業生産への影響などが懸念されることから、それらの影響を低減するとともに、安全で安心な農作物の生産環境を確保するため、ため池の除染は重要であると認識しております。
しかしながら、現在、国において、ため池が除染対象として位置づけられていないことや、効果的な除染手法が示されていないことなど、ため池の除染を実施するうえでの課題があるものと受け止めております。
今後、本市といたしましては、それらの課題を解消するために、県で実施した農業用ため池の放射性物質モニタリングの結果を踏まえまして、早期にため池の除染が実施できるよう、国や県に強く要望して参りたいと考えております。
2点目は、いわき市の農業振興施策及び林業振興施策について、です。
23)まず、風評対策として、地元消費者の目線にたった情報発信に軸足を移し、土壌の放射性物質濃度調査を定期的に実施・公表するとの要望について、いわき市はどう対応するのか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)土壌の放射性物質濃度の調査につきましては、いわき産農作物の安全・安心を判断する材料のひとつとして、平成23年度に、県及びJAと連携した調査を実施し、現在は、国が定期的に調査を行っております。
土壌中の放射性物質が農作物に与える影響は、作物ごとの移行係数等、国・県により引続き調査・研究がなされているものの、未だ成果が得られておらず、直接的な判断材料となっていない状況にあります。
このため、市といたしましては、消費者の信頼回復に向け、いわき産農作物の安全・安心を確保するため、直接的な判断材料となる農作物の放射性物質検査を、最も優先すべきと判断し、現在、出荷前農作物の放射性物質検査に注力しているところであります。
従いまして、土壌の放射性物質濃度の調査につきましては、現在のところ、今後の実施は計画しておりませんが、建議は農業者の皆様の要望であり、これを重く受け止め、土壌に関する不安を抱える農業者に対して、安心して営農に取り組めるよう支援する体制の構築に向け、関係機関・団体と協議して参りたいと考えております。
24)次に、森林の多面的な機能を維持し、十分に発揮させるため、農地への直接支払制度と同様に、適切な施業と管理を行う森林所有者の所得を補填する直接支払制度創設を国に働きかけることとの要望について、いわき市はどう対応するのか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)森林所有者への直接支払制度につきましては、現在、国において、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林経営計画を作成し、計画的な森林施業を行う者を支援する「森林環境保全直接支援事業」を実施しております。
また、県でも、この制度と併せて、間伐等の森林施業を実施した森林所有者に補助金を交付しており、市におきましても、県補助金の交付を受けた者に対し、併せて上乗せ補助を行い、森林所有者を直接支援しております。
このことから、今後におきましても、さらに、県及び関係団体と連携を深めながら、林業家等に対し、当該補助制度の推進を図って参りたいと考えております。
大きな第四点、(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物の処理について、であります。
有害物質ポリ塩化ビフェニルPCBは、1968年の「カネミ油症事件」を機に、1975年に製造及び輸入が原則禁止されています。
11月12日、沖縄県恩納村の航空自衛隊恩納分屯基地から、PCB汚泥ドラム缶約1800本分をはるばる本市の処理施設で処分するため、来年3月まで続く搬出作業が始まりました。
このPCB汚泥の内訳は、1996年に米軍旧恩納通信所内にあった汚水処理施設で発見された約104トンと、米軍施設を引き継いだ同分屯基地から2002年に発見された約216トンで、恩納通信所跡地で発見されたPCBについては、米軍嘉手納基地内で保管する案もありましたが、米軍側が返還跡地の原状回復義務を免除している日米地位協定を理由に保管を拒否していたものです。搬出作業を確認した恩納村副村長は「本来は米軍が処理するべきものだ。それを阻む不平等な日米地位協定を早期に改善すべきだ」と報道に語っています。そこで、以下伺います。
1点目は、(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物処理の経緯と概要について、です。
(株)クレハ環境で処理できる低濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物は「低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン」により区分された、電気機器及びOFケーブルを除く、PCB濃度が5,000mg/kg以下の低濃度PCB廃油・低濃度PCB汚染物・低濃度PCB処理物とされていますが、これまで同社の7号焼却炉における焼却実証試験の結果や発注元、廃棄物の内容、入札落札状況など、経過については、いわき市民には十分理解されておりません。
25)そこで、(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物処理の経緯は、どのようなものか、お尋ね致します。
—答弁(生活環境部長) 当該事業者は、平成19年、平成21年、平成23年及び平成24年に低濃度PCB廃棄物の焼却実証試験を行い、問題なく処理されていることを確認しましたことから、低濃度PCB廃棄物に係る無害化処理認定を申請し、平成23年2月、そして平成25年2月に、環境大臣から低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定を取得しております。
今回、当該事業者において処理される廃棄物は、米軍より返還された施設において、平成8年及び平成14年に判明した低濃度のPCBを含む汚泥と聞いており、発注者は沖縄防衛局及び航空自衛隊となっております。
当該汚泥は、当初、国が設立した高濃度PCB廃棄物処理施設を有する日本環境安全事業株式会社北九州事業所で処理する予定でありましたが、廃棄物1kg当たりのPCB濃度が5,000mg以下の低濃度PCB廃棄物については、環境大臣が認定する無害化処理施設での処理が可能となったことから、発注者である沖縄防衛局及び航空自衛隊は、環境大臣が認定した無害化処理施設を有する事業者等を対象として、入札公告を行い、本年7月及び9月に入札を行った結果、当該事業者が落札したとのことであります。
26)(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物処理について、周辺住民をはじめいわき市民が事業を理解し判断するためには、搬入元やPCB濃度等の測定の事前確認、運搬計画及び緊急時対応、行政関係の事前協議、1日の焼却量、焼却灰等の搬出先処分場など、事業概要を判断できる情報の開示が必要です。そこで、(株)クレハ環境における米軍等のPCB廃棄物処理の概要は、どのようなものか、お尋ね致します。
—答弁(生活環境部長) 当該廃棄物の排出元は、沖縄県恩納村にある航空自衛隊恩納分屯基地であり、PCB濃度については、発注者が事前に測定しており、航空自衛隊発注分については、無害化処理施設での受入基準である廃棄物1kg当たりのPCB濃度5,000mgを大幅に下回る最大で0.5mgでありました。
廃棄物の運搬は、週に1回、トラック及びトレーラーで、国で定めている低濃度PCB廃棄物収集運搬ガイドラインに則り行われることになっております。
本市では、県外の事業場で発生した産業廃棄物を本市内の業者で処理する場合に事前協議を行うこととしておりますが、航空自衛隊発注分につきましては、既に事前協議を行い、無害化処理施設での受入基準を満たしていることから、これを了承しております。
1日当たりの焼却量は、無害化処理認定において認められている能力である1日当たり30tが上限となっており、通常受け入れている廃棄物と当該廃棄物を混焼して処理することになります。
焼却灰等の搬出先につきましては、民間の管理型産業廃棄物最終処分場に委託しているとのことであります。
2点目は、安全確保対策といわき市の対応について、です。
事業者は、いわき市と締結している公害防止協定を遵守することが前提であり、いわき市としては、敷地境界大気中のPCB・ダイオキシン類濃度の確認、粉じん飛散防止対策、地震・浸水・停電や運搬時の交通事故による流出事故など、緊急時を想定した十分な安全対策と緊急時の連絡体制などの確認を行い、市民の安全・安心を確保する必要があります。
27)そこで、PCB廃棄物処理の安全確保対策について、いわき市はどのように対応する考えか、お尋ね致します。
—答弁(生活環境部長) 当該事業者におきましては、敷地境界4地点で大気中のPCB濃度、敷地外の1地点で大気中のダイオキシン類濃度を定期的に測定しておりますことから、立入検査時に当該結果を確認するとともに、廃棄物の処理状況や排出ガスの排出状況も確認しております。
市といたしましては、今後におきましても、継続して立入検査を行い、当該廃棄物の処理が安全に行われていることを確認してまいりたいと考えております。
なお、当該事業者においては、連絡体制も含めた緊急時対応マニュアルを作成し、年に1回、当該マニュアルに則り、防災訓練を行っております。
28)次に、いわき市は、(株)クレハ環境に対し、低濃度PCB廃棄物処理計画などの情報提供や説明を関係住民に対して積極的に行い、住民からの意見・要望の聴取に最大限努めるために、本件に関する住民説明会を開催するよう求めるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(生活環境部長) 当該事業者におきましては、近接する4つの自治会を対象に、事業内容の報告等を目的とした交流会を定期的に開催するとともに、社内報を送付するなど、低濃度PCB廃棄物処理も含めた情報について、積極的に提供していると聞いております。
また、住民説明会の開催につきましては、事業者が判断することになることから、市といたしましては、事業者の動向を注視したいとこのように考えております。
ご清聴ありがとうございました。
