質問報告5ー子どもを守る放射線防護教育
2014年 03月 01日
第5回は、「これまでの原子力教育と子どもを守る放射線防護教育について」の全部のやり取りを紹介します。
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1、市長の市政運営と平成26年度当初予算について(第1回)
(1)市長の市政運営について(第1回)
(2)平成26年度当初予算の特色について(第1回)
(3)政府の経済政策によるいわき市政への影響について(第1回)
(4)いわき市の財政状況と財政健全性について(第2回)
(5)いわき市議会創世会の予算要望の反映について(第2回)
2、平成26年度当初予算の主な事業について(第2回)
(1)新病院建設事業について(第2回)
(2)市街化区域見直し調査事業について(第2回)
(3)災害公営住宅入居支援事業について(第2回)
(4)出産祝金支給事業について(第2回)
(5)子ども遊び場除染事業について(第3回)
(6)障がい者雇用促進事業について(第3回)
(7)小名浜港背後地整備事業について(第3回)
(8)映画「超高速!参勤交代」を応援する会負担金について(第3回)
3、いわき市地域防災計画の見直しと原子力災害対策の強化について(第3回)
(1)避難所、図上訓練、要支援者等の支援体制などについて(第3回)
(2)原子力災害対策編の見直しと広域避難体制の整備について(第3回)
(3)放射性物質検査体制の強化について(第4回)
4、県民健康管理調査「甲状腺検査」と小児甲状腺がん対策について(第4回)
(1)県民健康管理調査「甲状腺検査」による小児甲状腺がんといわき市の状況について(第4回)
(2)子どもを小児甲状腺がんから守る今後の対策について(第4回)
5、これまでの原子力教育と子どもを守る放射線防護教育について(第5回)
(1)これまでの原子力教育のあり方について(第5回)
(2)子どもを守る放射線防護教育のあり方について(第5回)
(3)学校等における子どもたちの被曝最小化のためのガイドラインの策定について(第5回)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー大きな第五点は、これまでの原子力教育と子どもを守る放射線防護教育について、であります。
これまで、政府は「原子力長期計画」に基づいて原子力推進政策を続け、文部科学省では、原子力推進に必要な人材確保のため、大学などで専門的な原子力人材育成事業を実施、小・中・高校生を対象とした原子力教育を積極的に行ってきました。
2010年度は「原子力・エネルギーに関する副読本」を制作し全国の小・中学校及び教育委員会に配布、2011年4月から学校教育課程で本格的に原子力教育を実施する方針を堅持してきました。
1点目は、これまでの原子力教育のあり方について、です。
42)まず、文部科学省が2010年に発行した「原子力副読本」、小学校用「わくわく原子力ランド」、中学校用「チャレンジ!原子力ワールド」が回収されホームページから削除された理由は何か、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 福島第一原子力発電所の事故発生後、当時の文部科学大臣が「大きな地震や津波にも耐えられる」「地震が起きても原子炉は自動的に止まる」といった内容が「事実と反した記載がある」として見直す方針を示したことから削除されたものと認識しております。
43) 次に、文部科学省の学習指導要領、教科書検定意見、日本原子力学会の学校教育における原子力問題の取り扱いに関する提言(2009年)などを背景にして、副読本では「原子力は重大事故や放射能漏れなどの危険性はなく、安全・クリーンで、最も優れたエネルギー」であると繰り返し述べられてきました。
原子力推進側の観点を要約した内容となってきた訳ですが、それは科学的な事実として十分検証されておらず、過酷事故・放射能漏れの危険性、放射性廃棄物の管理・処分方法などについて十分に説明されていないものです。
副読本は、原子力立地地域対策及び原子力発電推進のための宣伝冊子で、原子力について次世代に正しく教えるために必要な教育的内容が欠如しており、福島原発事故による汚染と被曝の現実に照らして、原子力と放射線に関する教材として適正なのか、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 今般、福島第一原子力発電所の事故発生後の状況からみて「事実と反した記載がある」ことから適正でないものと考えております。
44) 次に、文部科学省が福島第一原発事故後の2011年秋に発行した副読本は、放射線に限定した内容で、基本的に放射線の優れた特性と有用性を強調するものであります。
福島原発事故を踏まえての発行であるにもかかわらず、以前の副読本で原発の安全性を繰り返し強調した点については一切言及されていません。原発に関する文部科学省の認識と以前の副読本に書かれている記述内容は何も変わっておりません。
事故に関する記述がほとんどなく、放射線が身近であることを強調し、健康への影響を過小に見せるなど、内容が偏っていると問題点が指摘されている現状にありますが、市長はどう考えているか、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 震災後、文部科学省が作成した副読本につきましては、放射線に関わる基礎知識について発達段階に応じて、学ぶことができるよう作成されていることと認識しております。
しかしながら、福島第一原子力発電所の事故等での様々な影響について触れられていないことから、本市といたしましては、その内容が含まれた、福島県教育委員会作成の放射線等に関する指導資料を併せて活用しているところであります。
2点目は、子どもを守る放射線防護教育のあり方について、です。
45)まず、福島原発事故による汚染と被曝の現実に照らして、副読本の内容には、人工放射線は管理対象であり、無用な放射線被曝を避け、低線量被曝の影響は解明されていないことから、放射線被曝による健康リスクを考える内容が必要であります。
子どもたちが科学と社会の関係について議論ができ、情報を鵜呑みにしない判断力や批判力を育むことを公教育としてどう保障しようしているか、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 本市教育委員会におきましては福島県教育委員会が作成した、放射線等に関する指導資料を活用し、小学校1年から中学校3年までの放射線等に関する教育計画を独自に作成したところであり、各学校においては、それを基に発達段階に応じて現在指導しているところであります。
また、各教科においては、地震や津波などの自然災害について、その発生の仕組みや、もたらされる被害などを学習するとともに、さまざまな場面を想定した避難のあり方についても体験的に学ぶよう工夫しているところであります。
今後とも、このような学習を通じて、災害時の情報を適切に判断し自主的に行動できる能力の育成に努めて参る考えであります。
46)次に、子どもたちの放射線防護教育について、予防原則に基づく健康被害の未然防止の観点から、子どもたちが無用な被曝を避けるよう配慮するとともに、吸引等の外部被曝や食品等の内部被曝を子どもたち自らが最小化できること、また緊急時に身を守ることができることを具体的に指導していくべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 前の質問でお答えしましたとおり、放射線に関わる学習などを通して小学校から中学校まで発達段階に応じて、できる限り無用な被ばくを避けることや緊急時に身を守る方法について指導しているところであります。
3点目は、学校等における子どもたちの被曝最小化のためのガイドラインの策定について、です。
47)まず、学校等における子どもたちの被曝最小化のためのガイドライン策定について、市長はどのように対応してきたのか、お尋ね致します。
—答弁(市長) 子どもたちの無用な被ばくを避けることについては、本市にとっても、大変重要な課題であることから、これまでも各学校において放射線等に関する教育を児童生徒の発達段階に応じて計画的に行っているところであります。
また、乳幼児からの無用な被ばくを避けるために、「放射能・健康セミナー」の開催や、「市放射線量低減アドバイザーによる講演会」、「出前講座」、公民館における「市民講座」などの機会を通じて、放射能全般にわたる知識の啓発を図ってきているところであります。
今後とも関係部局が連携して子どもたちの被曝最小化を図るための取り組みに努めて参る考えであります。
48)次に、子どもたちの被曝最小化のために、学校給食では汚染度ゼロ食材の使用をめざすこととし、保護者の合意なき米の利用は回避すべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(教育長) 学校給食で使用する食材につきましては、各給食調理施設に配備しております簡易型放射能測定器を使用して、十分な事前検査を実施しながら、使用しているところであり、また、調理済の学校給食一食全体につきましては、事後にはなりますが、ゲルマニウム半導体検出器を使用して、測定下限値概ね1Bq/㎏で検査を実施しているところであり、その検査結果から、学校給食の安全性は、確認されていると考えております。
一方で、学校給食で使用する米につきましては、放射性物質の影響を不安視する保護者の皆様もおりますことから、今後とも、正確な情報の提供や放射性物質検査の見学会等における丁寧な説明などを通じ、不安の払拭等に努めて参りたいと考えております。
以上が、いわき市議会創世会を代表しての質問と当局の答弁です。
ご覧いただき、ありがとうございました。
