「住宅提供長期に、健康調査拡大を」支援法で院内集会
2014年 05月 23日
●院内集会:11時から13時。
冒頭、共同代表の佐藤いわき市議が主催者挨拶。国会議連からは、福島瑞穂顧問と川田龍平事務局長があいさつ。
① がんの疑いがあった時、どのような検査と説明で手術に至るのか知りたい。
② 手術を終えての治療などのケアはどのようになされているのか知りたい。
③ 療養する場合、被ばくの心配の無い地域での食事も含めたケアが望ましいと思いますが、それについてどのようにされているのか。福島県内にいながら療養を続けても、外部被曝も内部被ばく(特に呼吸による)は避けきれません。外部被ばくの心配の無い環境で(せめて、0.1μSv/h以下)、飲食による内部被ばくも配慮された状況での療養が必要と思います。
④ 医師は甲状腺がんについては、早期発見・治療すれば「予後がいい」と言いますが、当事者にとっては「気休め」でしかありません。何もなければ、将来についてのみを考えて生きていけたのに、ずっと服薬を続けなければなない現実があることに、専門家もメディアも認識して欲しい。
⑤ 子どもが高校卒業後県外に出た場合、継続的な検査を受けにくくなることを多くの親が心配している。要望の多い健康手帳を配布し、進学先や就職先の健康診断で検診できるような体制をぜひつくって欲しい。
※子どもが病気になったら、それを支えていくのは大人ですから、大人だって甲状腺検査が必要だと思います。
あらゆる検査をして欲しいと言う声を多くの人たちが上げてきているはずです。
子ども被災者支援法にも、健康については盛り込まれているわけですから、5年10年後に「今更後悔しても遅い」とならないよう、被害者一人ひとりの「命」と「人権」の問題として、取り組んで頂きたいと思います。」
汚染状況重点調査区域に指定の状況を話し、「①汚染実態を知る、17市町村の1000地点の土壌検査。②支援法の成立を受けて、支援対象地域指定へ動く。③署名活動、省庁交渉7回。関東は対象外。④甲状腺エコー検査を開始。予防原則の見地から、市民の手で。13年10月「関東子ども健康調査支援基金」設立、巡回検診を実施して毎年実施し経年変化を本人が管理できるようにしたい。10回で1200人以上実施した。地域の医療体制を整えることをめざす。しかし、国の対応は専門家会議に委ねられ関東圏については何も決まっていない」とし、私たちが望むこととして、「①関東での健康調査実施(学校検診への項目追加:甲状腺触診、血液・尿・心電図など)検査調査基金への補助。②関東地域の子どものも保養の推奨、必要性をPR。③原発事故の対応と検証、備え。」を訴えました。
会場からは、井戸川前双葉町長が「疫学調査を、岡山大学、熊本大学等に依頼した。町がお願いした報告書がある。鼻血のことも書いてある。問題は、事故を起こした側が情報閉鎖していることが、一番の原因。行政が住民の側に立っていない。そうでないように振る舞うと、国や県と対立する。
仮設住宅についても、災害救助法の適用除外してくれと副知事に頼んでいる。」と発言しました。
集会は、最後に政府への要請書(下記に掲載)を確認して、午後の政府交渉に望むことになりました。
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2014年5月21日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
復興大臣 根本 匠 殿
「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針の見直し、緊急課題の解決を求める要請書
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
昨年10月、政府は「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「原発事故子ども・被災者支援法」)に係る「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」)について、法の施行から1年以上その決定を放置した上、被災者や自治体が求めた「空間線量年1ミリシーベルトを基準とし、福島県全域はじめ汚染状況重点調査地域を支援対象地域に」との願いを受け入れず、地域を限定した閣議決定を行いました。
原発事故子ども・被災者支援法は、事故により放出された放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを認め、被災者が被災地に居住するか、避難するか、又は避難した後帰還するかについて、被災者自身の自己決定権を認め、そのいずれを選択した場合であっても適切な支援を受けられることを定めております。
しかし、政府の「被災者に対する健康・生活支援施策パッケージ」及び平成26年度関連予算は、従前の施策の寄せ集めに終始し、法の理念と乖離したもので行政の不作為は明らかです。
福島原発事故から3年を過ぎても、政府の非常事態宣言は解除されておらず、今なお14万人余がふるさとを追われ、家族や地域が分断されたまま、応急仮設住宅をはじめ全国で避難生活を強いられています。被災者の現実は、帰還促進と賠償の打ち切りによって生活苦に追いやられた事案、住宅提供期間の延長も不透明で住み替えもままならず苦しんでいる事案、支援対象地域が限定されたことにより指定されなかった放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の子どもや住民の健康調査が実施されない事案など、緊急課題の解決が求められています。
原発事故子ども・被災者支援法は、第五条第三項・第十四条で「被災者の意見の反映」を定めており、政府・復興庁は、福島県内をはじめ汚染状況重点調査地域の住民など全国の被災者から意見聴取を行い、基本方針の見直しを図るべきであります。
本議員連盟は、「健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期する」との法の基本理念に基づき、被災当事者をはじめ国民意見を反映させた、基本方針の見直しと住宅支援や健康調査など緊急課題の解決を求め、以下の具体的施策の実現を要請致します。
記
<緊急課題の解決について>
(1) 住宅提供(住宅借上制度)の提供期間の延長、転居等の柔軟な運用、新規受付の再開に国が責任を持つこと。
(2) 健康調査の範囲を拡大し、少なくとも汚染状況重点調査地域を含めること。
<基本方針の見直しについて>
1、支援対象地域について
(1) 支援対象地域は、福島県内の33市町村のみでなく、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域はじめ年間追加被曝線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の一般公衆の被ばく限度量である年間1mSv以上となる全地域及び福島県の全域とすること。
(2) 準支援対象地域は、支援対象地域より広い地域で、高線量や汚染が観測・確認された地域でも適切な支援が実施されるよう拡大すること。
2、支援対象地域で生活する被災者への支援について
(1) 子どもたちの宿泊移動教室や長期休暇時のリフレッシュ保養への支援拡大、制度化を実現すること。
(2) 心身の健康保持のため保護者等の保養休暇制度を創設すること
(3) 教職員に対する低線量被曝に関する放射線防護教育を実施すること。その場合、法第一条で明記された「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」という観点を十分に踏まえ、既成の安全論のみに依拠せず、危険性を指摘する主張や意見、予防原則の考え方なども重視すること。
3、支援対象地域以外で生活する被災者への支援について
(1) 移動支援のため高速道路の乗降区間内利用等の改善を図ること。また、自家用車や高速道路以外の移動支援も整備すること。
(2) 母子避難に伴う託児施設の確保や移動先における就学・就業支援の促進・拡大を図ること。
(3) 家族と離れて暮らす子どもに対する各種支援を進めること。
4、放射線による健康への影響に関する調査、医療の提供等および国際的な連携協力について
(1) 健康被害を未然に防止する観点から、健康調査の範囲を拡大し、放射線量の低減及び健康管理に万全を期すること。
(2) 全ての被災者に健康管理手帳を交付すること。
(3) 全ての被災者の定期的な健康診断、子どもの生涯にわたる健康診断を実施すること。
(4) 甲状腺がんの未然防止のために、現在実施されている福島県の県民健康調査に国が積極的に関与し、国の責任において、「早期発見」「早期治療」のために現状を是正すること。
(5) 血液検査、尿検査等の追加、市町村の検査体制確立にむけた財政援助、甲状腺検査等の拠点病院の確保など、抜本的な検査体制の確立を図ること。
(6) 大人も含め全被災者の医療費負担の減免を行うこと。
(7) チェルノブイリ事故による影響について、小児甲状腺癌以外の健康被害に関する最新の医学的知見や報告(事故25周年国際会議の報告等を含む)などの情報の収集や調査研究を進め、今後の対策に活かすこと
(8) 健康調査や医療については、法の第一条や原子力規制委員会設置法の参院付帯決議を踏まえ、ICRPの知見や基準のみならず、ECRRなどの主張も参考にすること。
5、意見の反映等および法の見直しについて
(1)被災者の意見を反映するため常設の被災者等協議会を設置し、施策策定に参画させること。
(2)支援対象に指定された地域を「放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直す」(附則第2項)に基づき指定から除外する場合は慎重に対処し、健康調査・医療提供など必要な支援策が継続できるようにすること。
(3)施策の拡充や見直しにあたっては、被災者の声はもちろん、支援活動に従事する者などの意見も聴取すること。
以上
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2014年5月21日
環境大臣
石原伸晃 殿
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」等に関する要請書
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
環境省に「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が設置され、すでに過去5回の会議が行なわれています。
この委員会は、いわゆる「原発事故子ども・被災者支援法」を踏まえて設置されていると理解します。その支援法の第一条において、「この法律は、(略)福島第一原子力発電所の事故(略)により放出された放射性物質が広く拡散していること、当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等のため」と明記されています。また、「原子力規制委員会設置法」が2012年6月に成立する際に参院で可決された付帯決議には、「放射線の健康影響に関する国際基準については、 ICRP(国際放射線防護委員会)に加え、ECRR(欧州放射線リスク委員会)の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと。また、これらの知見を活かして、住民参加のリスクコミュニケーション等の取組を検討すること」と明記されています。
被災地での健康管理を所管する環境省に求められるのは、「支援法」の趣旨、「国権の最高機関」たる国会の要請、放射線の健康影響に関する人類の知見が限定的で原爆や事故の悲惨な積み重ねとその長期的な影響観察によって初めて明らかになってきたという歴史的事実に対する真摯で謙虚な姿勢です。
指摘するまでも無く、チェルノブイリ事故では甲状腺被曝の爆発的増加が公式に確認されるまで10年を要しましたが、それまで、ソ連邦や国際医療機関から現地住民や関係者の不安や指摘は無視されてきました。広島・長崎原爆被害者の長期的な健康被害についても、最近になって初めて明らかになった事実も少なくありません。
しかしながら、同委員会は、多くが旧来のいわゆる「安全論」を唱えてきた識者で構成され、本質的な議論が脇に置かれ、データの分析や解析に多くの時間を割いている印象をぬぐえません。被災地の住民や自治体の意向も十分に考慮されているとは言えません。
この会議のあり方をめぐっては、当自治体議連が去る1月に環境省職員との会合を持った際に要求した、動画配信や外部委員の意見聴取なども実現している事は評価しますが、この委員会を福島県や周辺の汚染地に住む住民や避難者の不安に真に応えるものにするため、また、これまでの経緯を踏まえ、下記を要請します。
1.「支援法」の趣旨や国会決議を踏まえ、放射線被害に関する従来知見に対する批判的な意見を反映させること
(1)批判的な識者を常任の委員会メンバーとして複数名追加すること
(2)会議の進捗と併行し、「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」(http://www.foejapan.org/energy/news/130130_2.html)などとの定期・不定期の意見交換の機会を設けること
2.健康管理のあり方の抜本的改善を図ること
(1)健康調査などの範囲を拡大し、少なくとも「汚染状況重点調査地域」とされている地域を含めること
(2)検査内容を強化すること
(3)住民への説明や情報公開を徹底すること
3.今後の健康被害対策では、下記を実現すること
(1)原子力規制法や被爆者援護法、東海JCO事故時の賠償・補償基準から後退しないこと
(2)健康管理手帳を交付し、検査機関への受診や医療の無償化等を図ること