人気ブログランキング | 話題のタグを見る

一般質問報告1ー汚染水と作業安全、労働力確保、産業用地

6月定例会、6月9日に行った一般質問の詳細を、2回にわけてご報告します。

1 浜通り拠点都市としてのいわき市の現状と課題について(第1回)
 (1)福島第一原発の放射能汚染水と作業安全確保への対応について(第1回)
 (2)中小企業の労働力確保について(第1回)
 (3)企業進出・誘致の促進について(第1回)

 (4)小名浜港背後地整備とまちなか再生について

2 仮設住宅備品の無償譲渡について
 (1)現状といわき市の対応について

3 平テニスコートの整備について
 (1)整備の現状について
 (2)今後の対応について
 
4 選挙の投票率向上対策と投票終了時間の見直しについて
 (1)いわき市における投票率の改善と投票終了時間の見直しについて

第1回は、「1 浜通り拠点都市としてのいわき市の現状と課題について」の「(1)福島第一原発の放射能汚染水と作業安全確保への対応について」「(2)中小企業の労働力確保について」「(3)企業進出・誘致の促進について」です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 35番、創世会の佐藤和良です。
 以下、通告順に従い一般質問を行います。

大きな第一点は、浜通り拠点都市としてのいわき市の現状と課題について、であります。

 福島原発震災から3年3ヶ月。いわき市は、自らの復旧復興と共に、2万4千人の原発事故避難者を受け入れ、原発の事故処理と廃炉工程の拠点的役割を担う、浜通りの復興を支える拠点都市となりました。

1点目は、福島第一原発の放射能汚染水と作業安全確保への対応について、です。

 福島第一原発1〜3号機は、溶融した核燃料の所在もわからぬまま冷却水の注入を3年間行い、大量の高濃度汚染水を発生させました。また、1日約1000トンの地下水が福島第一原発1〜4号機に流入し、このうち約400トンが建屋に入り、残りの約600トンの一部がトレンチ内の汚染源に触れて、汚染水として海に放出され続けています。
 昨年8月には、鋼板をボルトで固定したフランジ型の汚染水貯蔵タンクから300トンの汚染水が漏洩し最大で毎時1800mSvの高レベル汚染が確認され国際原子力事象評価尺度で「レベル3(重大な異常事象)」の事故となりました。
 5月21日から開始された「地下水バイパス」で放出されている地下水は、漏洩が続く汚染水貯蔵タンクの近傍下流に位置している12本の観測井戸からくみ上げられたもので、地下水とはいうものの、東京電力の運用目標は、1ℓ当たりセシウム134は1bq、セシウム137が1bq、ストロンチウムなど全βが5 bq、トリチウムは1500 bqという値で、汚染のない地下水ではなく、汚染されていることが前提です。しかも、たびたび運用目標値を超えているばかりか、濃度だけで放出する量がどれだけになるのか、総量を規制しない無責任なものであります。
 実際、1回目の放出量は561トン、トリチウム濃度は1ℓあたり240bqでしたから、トリチウムだけで1億4千万bqの放出、3回の放出量は全体で2035トンになり、既にトリチウムだけ4億bq以上が放出されたことになります。
 
①まず、いわき市は、地下水バイパスによる放射能汚染水の外洋放出について、放出する期間やストロンチウム90等の全βとトリチウムなど放出する放射性核種の総量など地下水バイパス計画の内容をどのように確認して了承したのか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 「福島第一原発1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づく取組や、地下水バイパス計画を含む汚染水対策につきましては、国が設置する「廃炉・汚染水対策福島評議会」や、県が設置する「福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」に、本市も参画しており、これらの会議において、進捗状況の確認や現地調査などを通じ、国及び東京電力に対する意見や要望を取りまとめ、随時、適切な対応を求めているところであります。
 今回の地下水バイパス計画につきましても、去る5月20日に開催された県廃炉安全監視協議会の中で、第三者機関を交えた水質分析の徹底による排出基準の順守や、基準値を超えた専用井戸のくみ上げ停止、排出にかかる運用手順の明確化など、これまで、国及び東京電力に申し入れていた各項目への対応が確認できたことから、これを受けて東京電力は、翌5月21日に、第一回目の地下水の海洋放出を行ったところであります。

①−2 県の協議会で確認したということですが、「濃度管理しているけれども、総量管理がないのではないのか。やはり公害でありますから、公害規制の基本は総量管理が必要であると思うが、その点についての確認はしているのか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
総量規制につきましては、原子力規制庁によりますと海洋排出の規制基準はあくまで告示濃度限度であり、規制基準として要求されていないため、あらためて導入の議論はしていないとのことであります。

①−3 それが問題だと思うのです。つまり通常時の排出基準で従来の告示基準がありますが、3.11の発災以来のあらたな緊急時の事態を受けて、市民に具体的な被害が出ないようにするのがを問われている。その点では総量規制という考え方をいわき市としてはきちんと国、県、東京電力に対して強く求めていくべきではないかと思うが、いかがでしょうか。

—答弁(行政経営部長)
先ほども答弁させていただきましたように、原子力規制庁の見解もありますし、そういう面では冒頭の答弁通り国やあるいは県が設置している評議会ないしは安全監視協議会こちらの方で、十分今後の対応を見極めて市として必要があれば、その部分については対処していきたいと考えています。

必要性について今後少し検討していただいて、やはり総量規制の考え方を持っていくべきではないかと思います。

②次に、市民からは東京電力の説明を求める声が上がっていますが、市民に対する説明責任を果たすよう、いわき市として東京電力に市民説明会の開催を求める考えはあるか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 市といたしましては、これまでも国や東京電力に対し、一刻も早い事故の収束と確実な安全対策の実施に併せ、市民に対する、迅速で分かりやすく丁寧な情報提供についても、要望や申し入れを行ってきたところであります。
 このような中にあって、今回の地下水バイパス計画につきましては、汚染水問題の根本的な解決に向けて、東京電力任せにするのではなく、国が前面に立ち、総力を挙げて取り組む総合的な対策の一環として実施するものであり、国の立ち会いや第三者機関による監視体制の整備を含め、東京電力に対し、排出基準の厳格な順守を指導するなど、国が責任をもって対応することとしているものでありますことから、本市といたしましては、今後の実施状況や安全性の確認などについて、国と東京電力に対し、しっかりとその説明責任を果たすよう引き続き求めて参りたいと考えております。

地下水バイパスによる放射能汚染水の外洋放出は、抜本的な汚染水対策にはならずむしろ海洋汚染の深刻化と被害の拡大が危惧されることから、いわき市としては、公害対策の基本である予防原則の観点にたって中止を求めるとともに、全てのフランジ型タンクの漏えい検査の実施や東京電力内部の原子力改革監視委員会のメンバーである元NRC委員長などからも実効性に疑問が出ているばかりか、原子力規制委員会の全体認可さえ出ないまま見切り発車した原子炉建屋周辺の凍土壁をやめ安全安価な遮水壁の設置、停止中のサブドレンの復旧、さらに汚染水のコンクリート固化の検討など、抜本的な放射能汚染水対策を、いわき市として、あらためて国と東京電力に求めるべきではないか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 国におきましては、深刻化する汚染水問題を抜本的に解決するためには、東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、予防的かつ重層的に対策を講じることが急務であるとの考えから、昨年9月に「汚染水問題に関する基本方針」を打ち出し、さらに12月にはその追加対策を取りまとめるなど、国が責任を持って汚染水対策を実行することとしております。
 その概要といたしましては、まず、「汚染源を取り除く」として、多核種除去設備による、貯水タンクに保管している大量の汚染水の浄化など、次に、「汚染源に水を近づけない」として、地下水が建屋に流入することを抑制するため、建屋近傍の井戸でのくみ上げや、国費による凍土方式の陸側遮水壁設置など、さらに「汚染水を漏らさない」として、海側遮水壁の設置やタンクの増設・溶接型タンクへの切り替えなどが、総合的に盛り込まれております。
 市といたしましては、国及び東京電力に対し、これら一つひとつの方策を着実に実行し、また、その効果を検証することにより、一日も早く汚染水問題の解決に向けた道筋が確かなものとなるよう、引き続き強く求めてまいりたいと考えております。

福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップの中で、現下の最大の課題は滞留水処理計画とされています。これに対する多核種除去設備(ALPS)の運用状況は、3系統のフィルタの不具合等による3系統の試験運転の停止が続き改善の見込みが立っていません。また、今年増設されるALPS設備、さらに国の補助金による第2プラントの建設=高性能多核種除去設備は、性能が改善され継続運転が可能になるのか不透明であります。いわき市として、国税のムダ使いにならないよう、滞留水処理設備の改善を国と東京電力に求めるべきではないか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 多核種除去設備、いわゆるALPSにつきましては、国の「汚染水対策に関する基本方針」や「福島第一原発1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」において、汚染水処理の要として位置付けられ、また、原子力規制委員会においても、その効果が認められておりますが、設備面や運用面において不具合が相次ぎ、汚染水処理に支障をきたしていることにつきましては、大変遺憾であると考えております。
 今後におきましては、現行の設備を改良したALPSの増設と、国費による高性能ALPSの新設が予定されていることから、市といたしましては、今後とも、廃炉・汚染水対策福島評議会や県廃炉安全監視協議会などを通じ国の責任において、トラブルの再発防止や適正な運用を図ることにより実効性を担保するよう、強く求めて参りたいと考えております。

④−2 汚染水の問題はいわき市民に取って大変重要な問題。世界三大漁場のひとつである潮目の海、常磐沖、この豊かな恵みの海は、わたしたちの宝、日本の宝であります。この宝を、漁業者はじめほんとうに復興を願う多くの市民にとって、これ以上の放射能汚染水の放出は、絶対に止めて頂きたい、ということであると思います。更なる努力を要望したいと思います。市長のご所見を伺います。

ー市長
 ただいま、議員お質しのとおり、汚染水の問題につきましては、いわき市にとっても重要な課題であると考えています。先ほど来から答弁ありますが、国の責任においてなるべく早く収束することを願っております。国に対しても市として要望して参りたいと思います。

⑤次に、要員計画・作業安全確保に向けた計画について、4月で平日1日当り4,200人、5月16日には5,800人が福島第一原子力発電所内で作業をしています。東京電力は、要員不足がないとしていますが、発注単価も公表せず、多重下請け構造下の元請けによる賃金の中抜きで、危険手当も含めて労働者への適正な支払がなされていないとの報告もあります。いわき市からも多くの方が作業に従事しているとみられますが、いわき市としては市民がどの程度作業に従事していると把握しているか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 東京電力によりますと、平成26年3月末時点において、福島第一原子力発電所に従事する東京電力の社員、約1,070人のうち、市内居住者は約330人、また、協力企業の作業員、約7,900人のうち、従事者登録時に、本市に住民票があった方が約1,500人となっております。

3月28日の労災死亡事故でも現場管理、緊急時の救急医療対応などに問題があり、働く人が大切にされないという危機感が現場から聞こえてきます。いわき市からも多くの方が作業に従事しており、今後の長期的な労働環境と労働条件の改善に向けて、24時間のドクターヘリの確保やいわき市内の医療機関への搬送など救急医療体制等も含めた抜本的改善について、いわき市としてあらためて国と東京電力に申し入れるべきではないか、お尋ね致します。

—答弁(行政経営部長)
 去る3月28日に発生した労災死亡事故につきましては、東京電力の救急医療対応を含めた現場管理に問題があったとの指摘もあり、今後の事故収束及び廃炉作業に従事する作業員の確保や、現場の士気に大きく影響を与えるものと懸念しております。
 市といたしましても、作業員の労働環境の改善は、事故収束及び廃炉工程における労働力の安定的な確保に向けた大きな課題であると受け止めておりますことから、東京電力に対しましては、協力企業任せではなく、東京電力自らによる主体的な現場管理の徹底を引き続き強く申し入れるとともに、ドクターヘリを含む救急医療体制の充実など労働環境の改善に向けた抜本的な対策につきましては、国の責任において、適切かつ迅速に対応するよう、機会をとらえて求めて参りたいと考えております。
 
2点目は、中小企業の労働力確保について、です。

 福島労働局の4月の雇用失業情勢によると県内の有効求人倍率は1.39倍、新規求人倍率は1.87倍で、東日本大震災からのインフラ復旧工事、福島第一原発事故処理や除染に伴う求人も高水準で推移しています。人手不足が深刻との声が聞こえてきます。

⑦そこで、まず有効求人倍率や職業別の有効求職者数などからみて、いわき市における雇用と労働のミスマッチの現状はどうなっているか、お尋ね致します。

—答弁(商工観光部長)
 平公共職業安定所によりますと、平成26年4月末時点での有効求人倍率は1.35倍で、有効求職者数は6,394人となっております。
 職業別で申し上げますと、有効求人倍率が高いものとしては、「保安の職業」が、有効求人倍率4.72倍で、有効求職者数は43人、「建築・採掘の職業」が、有効求人倍率2.68倍で、有効求職者数は306人、介護や保健医療を含む「サービスの職業」が、有効求人倍率2倍で、有効求職者数は828人となっております。
 一方、有効求人倍率が低いものとしては、「事務的職業」が、有効求人倍率0.41倍で、有効求職者数は1,657人、「運搬・清掃等の業務」が、有効求人倍率0.61倍で、有効求職者数は834人となっており、職種において、ミスマッチが生じております。

中小企業の人手不足が顕著ですが、雇用と労働のミスマッチの解消に向けたいわき市の対応対策は、ミスマッチ解消に効果を発揮しているのか、お尋ね致します。

—答弁(商工観光部長)
 ミスマッチの解消に向けましては、国や県が中心となり、求職者に対する職業訓練の実施や、雇い入れ及び職場定着を支援する助成金等の支給、また、就職に関する相談窓口の設置や就職面接会などを実施しているところであります。
 市といたしましても、これらの事業に国県と連携して取り組むとともに、市独自の取り組みといたしまして、求職者と市内企業が直接面会する機会を設けるいわき市就職ガイダンスの開催や、インターネットを活用しながら求職者の就職活動と地元企業の求人活動を支援する就労支援システム運用事業などの実施により、就労に結びついていることからミスマッチの解消につながっているものと考えております。

若年者の地域定着や高齢者の雇用・就労など、中小企業の労働力確保について、どのように進める考えか、お尋ね致します。

—答弁(商工観光部長)
 労働力確保に向けましては、若年者の地域定着や高齢者の雇用促進への取り組みも重要であると考えております。
 このため、若年者の地域定着に向けましては、まず、去る5月28日に、地元企業の早期の求人の掘り起こしとして、市内経済団体等に対し、国県の関係機関とともに、新規高卒者等の早期の求人票の提出について要請を行ってきたところであります。
 また、早い段階からの就職意識の醸成を図るため、市内の高校1・2年生を対象とした、高校生就職支援事業などを実施していくこととしております。
 さらに、高齢者の雇用・就労につきましては、国が実施している企業への高齢者の雇い入れや環境整備に係る助成金制度等の周知を行っております。
今後につきましても、国県等の関係機関との連携を図りながら、更なる就労支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

 2020年の東京オリンピックの開催ということで、労働力の首都圏の集中ということも懸念される大きな要因になってきますので、そういう点でも今後とも努力されることを要望します。

3 点目は、企業進出・誘致の促進について、です。

⑩まず、企業進出・誘致について、震災後これまでの現状はどうなっているのか、お尋ね致します。

—答弁(商工観光部長)
 福島県工業開発条例に基づく届出等によりますと、震災後平成26年5月末までに、本市に新たに拠点を設け、操業を開始している製造事業者は、11社となっており、そのうち、9社が双葉郡から進出しているものであります。

⑪次に企業誘致促進策について、廃炉・再生可能エネルギー関連産業などの誘致に向け、四倉工業団地第2期分譲工事の推進を図るなど、不足する産業用地の確保をどのようにすすめるのか、お尋ね致します。

—答弁(商工観光部長)
 震災発生以降、本市の工業団地には、仮設施設の設置や、企業による土地取得もあり、活用可能な用地は極めて少ない状況にあります。
 このような現状を踏まえ、県では再生可能エネルギー産業などの企業誘致の受け皿として、四倉中核工業団地第2期造成を決定し、現在、整備手法等について検討しているところであります。
 市といたしましては、当該団地の早期整備を県に働きかけるとともに、市内の空き工場の情報を収集し提供するほか、現在、利用されていない工業専用地域や工業地域などの未利用地の有効活用を進めて参りたいと考えております。

 イノベーションコーストの構想もある訳ですから、四倉工業団地第2期分譲工事の推進は極めて大きなポイントであろうかと思います。その点留意をされて強力に推進して頂きたいと思います。

一般質問報告1ー汚染水と作業安全、労働力確保、産業用地_e0068696_17571180.jpg

by kazu1206k | 2014-06-11 17:50 | 議会 | Comments(0)