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汚染水漏えい・放出を続ける東電の強制捜査を!8.27福島県警行動

 福島原発告訴団は、8月27日、「福島県警への激励行動」を実施しました。
 これは、東京電力福島第一原発の放射能汚染水海洋放出事件について、昨年9月3日第一次、同12月18日を第二次として6045名が告発人となり、福島県警察に刑事告発を行いましたが、福島県警は捜査に着手しているものの、未だ強制捜査をしていないため「これ以上海を汚すな!」「福島県警は強制捜査を!」と、「行き詰まる汚染水対策の根源は東電の遮水壁策先送り、汚染水漏えいと放出を続ける東電に怒りの強制捜査を」と題する上申書を福島県警へ提出する激励行動を行いったものです。
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 8月27日、小雨の中、海の放射能汚染を止めようと、正午から福島駅東口でスピーチ。駅前には、兵庫や小田原、岩手の一関、仙台からもかけつけ約50人が集まり集会を行いました。
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7月20日、いわき市で行われた「海の日アクション」で全国から集まったカラフルなバナーも広げました。
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 集会後、市内を福島県庁までデモ行進。デモの時には、銀行から出てきた親子が、手を振ってくれる光景もみられました。
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 午後1時過ぎ福島県警本部に代表4名が上申書を提出しました。
 上申の趣旨は、「告発人らが昨年9月3日に提出し,貴県警により受理された公害犯罪処罰法違反の罪による告発について、告発人らは、最近の本件をめぐる実情を報告するとともに、汚染水対策を先送りにし、手遅れによって大規模汚染水流出を招き続けている東京電力について、東電本社及び被告発人のうち最も重い責任を負っている武藤栄副社長(当時)に対する強制捜査に一刻も早く着手されるよう上申する。」というものです。
 県警では、慎重に捜査を継続中であるとし、「東京電力は巨大組織、様々な役職がある。ひとつひとつ調べている。捜査班を設けて、放射能のことなど一から勉強してやっている。警察は事実確認のため、報道も事実がどうかを調べる。時間はかかるが、ひとつずつやっている。一生懸命前に進んでいる。」との弁。

●上申書は以下の通り。

平成26年(2014年) 月  日

上 申 書⑸
-行き詰まる汚染水対策の根源は東電の遮水壁策先送り,
汚染水漏えいと放出を続ける東電に怒りの強制捜査を-


福島県警察本部 本部長 御中

告発人武藤類子ほか代理人
弁護士 河合 弘之
 同  保田 行雄
 同  海渡 雄一

上申の趣旨
告発人らが昨年9月3日に提出し,貴県警により受理された公害犯罪処罰法違反の罪による告発について,告発人らは,最近の本件をめぐる実情を報告するとともに,汚染水対策を先送りにし,手遅れによって大規模汚染水流出を招き続けている東京電力について,東電本社及び被告発人のうち最も重い責任を負っている武藤栄副社長(当時)に対する強制捜査に一刻も早く着手されるよう上申する。


上申の理由
目次
1 次々に明らかになる汚染水の漏出,なぜ漏出が続くのか2
2 凍土壁は失敗する4
3 すべての根源は,当初の時点で遮水壁を構築しなかったこと6
4 無責任な「地下水バイパス計画」6
5 海を守るため,武藤らを強制捜査せよ9
(1)海を守れ9
(2)検察審査会は武藤,武黒,勝俣に起訴相当の議決9
(3)汚染水漏えいの主犯も武藤10

1 次々に明らかになる汚染水の漏出,なぜ漏出が続くのか
   汚染水の漏出は今なお続いている。あらためて,主な事情について述べる。
平成25年(2013年)8月19日,汚染水貯蔵タンクH4エリアNo.5から,ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質を最大8000万Bq /L(後日の再分析で2億8000万Bq /Lに訂正),放射性セシウムを14万6000Bq /L含む高濃度放射能汚染水推計300トンが漏洩し周辺の土壌や地下水を汚染した。
原因は,フランジ型タンク底部のネジ部のパッキンが水圧で破損したことによるもので,310基あるフランジ型タンクに共通する危険性が現実化したものであった。
H4エリアNo.5タンクは,8月19日事故後に水抜きしているにもかかわらず,近くの監視用井戸E-1の全ベータ濃度測定値が,10月17日に突然40万Bq /Lに跳ね上がったところから,他のタンクの漏えいも懸念されていた。
平成26年(2014年)に入ってからも,福島第一原子力発電所の高濃度放射性物質汚染水の環境中への漏えい事故が後を絶たない。
2月12日には,海側敷地の汚染を調べるための井戸から7万6000Bq /L,翌13日には13万Bq /Lという,地下水としてはこれまでにない高い濃度の放射性セシウムが検出された。この事実は,高濃度放射性物質汚染水による汚染の深刻さを改めて示した。
また,2月19日には,H6エリアC1タンクからの漏えい事故があり,漏えい量は約100トンと評価され,全ベータで2億4000万Bq /Lの高濃度汚染水が周辺の土壌や地下水を汚染している。
その原因は,タンクの弁が開け放しにされており,移送先の水位の監視も怠っていたこととされている。
4月14日に,一時貯蔵した高濃度汚染水約203トンが,予定していた貯蔵場所とは別の場所に誤って移送された。さらに,4月16日には,新型除染装置「ALPS」では約1トンの汚染水が移送先の容器からあふれた。これは容器の水位の監視を怠った単純ミスによるものであったとされている。
東京電力は6月24日夜,福島第一原発の1~4号機タービン建屋海側で,地下25~30メートルの深い地層=下部透水層の地下水に,放射性物質のトリチウムによる汚染が拡大していると発表した。東京電力によると,1~2号機海側の深さ25~30メートル観測用井戸で,5月以降に採取した地下水から最大4700Bq /Lベクレルのトリチウムが検出され,3~4号機海側の井戸の地下水でも最大480Bq /Lが検出されたとしている。
福島第一原発の地層は,水を通す上部透水層の下に泥岩質の難透水層,その下に下部透水層があるとされ,東京電力は「下部透水層の水圧が,上部透水層の水圧よりも高いため,上部から下部への汚染水の浸透の可能性は少ない」としていたが,海側遮水壁の工事の影響で,下部透水層の水圧が低下して上部透水層との水圧が逆転,汚染水が地下深く浸透したとし「1~4号機海側には地中にトレンチが下部透水層の深さまで造られており,汚染水が地層間を貫く土壌とトレンチ側面の隙間を通って浸透したとみられ,海へ流出している可能性がある。」と報道されている。

2 凍土壁は失敗する
この根本的な対策として,凍土方式の遮水壁を構築することが検討されており,政府も平成25年(2013年)9月に国費の投入を決定した。
しかし,凍土方式の遮水壁は,現在のところ,わずか10メートル四方を囲む範囲の実験がなされているにすぎない。凍土壁は,4つの原子炉建屋とタービン建屋を囲む,総延長1.5キロメートル,幅1.5メートル,深さ30メートルに及ぶものである。このように大規模でしかも数年を超える長期運用を前提にした凍土壁施工の実績はない。
既に日本陸水学会は,平成25年(2013年)9月20日に「凍土遮水壁では放射性物質を長期間完全に封じ込めることが出来ないだけでなく,より大きな事故を引き起こす可能性が高い」ことを指摘し,「他の工法による原子炉及びその周辺施設を完全に外部から遮断できる抜本的な対策の選択を要望」した。また,原子力規制委員会も,大規模凍土壁の構築と長期維持の技術的困難以外に,凍土壁運用中の「原子炉建屋内部の止水」方法の検討がないことも挙げ,凍土壁に重大な疑問を呈している。この止水がなければ,凍土の解凍により汚染源は再び水を得て汚染水問題は再燃する。
このように凍土方式の遮水壁は,高濃度放射性物質汚染水による海洋汚染を未然に早急に防止する対策としての,技術的な条件を満たしていないといわざるを得ない。
7月23日付の産経新聞の報道によると,「東京電力は23日,福島第1原発2号機タービン建屋とトレンチ(地下道)間にある汚染水を遮断する「氷の壁」が4月末の着工から3カ月たっても凍らないため,来週にも1日10トンの氷を投入し凍結を促す対策を開始することを明らかにした。抜本対策にはほど遠く,「氷の壁」がうまくいかなければ,工法が同じで周囲の土壌を凍らせる「凍土遮水壁」にも影響する。
東電は同日開かれた原子力規制委員会の検討会で報告した。氷の壁は,建屋とトレンチの接合部にセメント袋を並べ,そこに凍結管を通し周囲の水を凍らせる工法。だが十分に凍らないため,規制委から凍結能力の向上を指示されていた。
東電によると,初めに,こぶし大の氷を1日10トントレンチに投入し一気に冷却した上で,5日後には1日5・4トンに減らして氷の壁を徐々に厚くしていく。ドライアイスも1日1トン投入。さらに凍結管を4本増やし23本に強化するという。
現在の水温は15度前後。氷の投入など追加対策により,東電は「水温5度まで低下させると,ほぼ氷がつながり壁ができる」としている。
この日の検討会で,規制委の更田豊志委員は来月中旬に追加対策の効果を検証するとの見方を示した。検討会のメンバーの橘高義典・首都大学東京大学院教授(建築材料)は「これでは凍結しないと思う。コンクリートを流し込んでトレンチの充填をすべきだ」と,東電の対策を疑問視した。」とされており,早くも凍土壁による対策は最初からつまづいている。
最近の報道においても,8月19日に開かれた原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会の会合では,福島県関係の出席者から東電の対応が後手に回り続けているとの強い批判が続出した。同検討会メンバーの角山茂章県原子力対策監(会津大教育研究特別顧問)「戦略的にもう一度考えないと,泥縄式にズルズルいくのでは」と指摘。「一つの対策が駄目なら新たに加えるという発想は,福島のプラントでは困る。もう少しクールに頭を氷で冷やさないと」と語気を強めたという。同会メンバーの渡辺明福島大特任教授は「止水材を入れるだけでいいのか疑問を感じている。凍らせる以外の方法への転換もあるのではないか」と東電に検討を求めた。また「凍結管をさらに増やす作業を優先すべきでは」「まず流量を減らすことが重要。その間に凍らせる戦略を検討してほしい」などの意見も出た。さらに,オブザーバーとして出席した高坂潔県原子力専門員は止水材注入の効果に不安があるとして,「万が一(失敗した場合)を考えて,別の対策も早めに詰めてほしい」と注文した。このような批判や疑問に対して,東電は凍結止水の方法を続けると述べている。
凍土壁による汚染水対策の問題点については,告発人らは告発状および上申書において繰り返し述べているところである。汚染水漏水状況の悪化に多くの専門家も強い疑問を呈する状況においても,東電は誤った方法に固執している。
方針転換を早期に図るためにも,本件捜査を一刻も早く進めて欲しい。

3 すべての根源は,当初の時点で遮水壁を構築しなかったこと
高濃度放射性物質汚染水による海洋汚染を防止するための根本的な対策は,無用な汚染水を発生させず,また,海洋に流れ出ることを防止することである。そしてこの対策は,東電において可能であった。
日弁連は,平成23年(2011年)6月23日,このような目的のため,政府及び東京電力に対し,工事費用負担の問題にとらわれることなく,手遅れとならないうちに地下水と海洋汚染のこれ以上の拡大を防止するため,地下バウンダリ(原子炉建屋及びタービン建屋の周りに壁を構築遮水するもの)の設置を含めた抜本的対策を速やかに計画・施行することを求める会長声明(甲14)を発表していた。
事実,平成23年(2011年)6月13日に必要な対策を具体的に講じた書面を東京電力は作成していた。にもかかわらず,債務超過をおそれこの書面を公表しないばかりか,対策を先送りしたのである。
平成23年(2011年)の6月の時点で,速やかに恒久的な遮水壁構築の措置が講じられていれば,今日の事態は避けられたのであり,政府と東京電力が海洋汚染防止のための抜本的な措置を何ら講じなかったことには,あきらかに公害罪法上の過失が認められる。

4 無責任な「地下水バイパス計画」
   また,「地下水バイパス計画」がいかに無責任なものかも明らかである。
地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス計画」の12個の観測井戸は,漏えいまたはその危険性があるフランジ型汚染水貯蔵タンクの近傍下流側に位置している。このような地下水は,漏洩した高濃度汚染水による汚染の可能性が非常に高いと考えられている。
他のフランジ型タンクの漏えい検査は全く行われておらず,漏えいの実態,原因,影響の範囲等の調査も実施していない。
東京電力自身が設定している「地下水バイパス」の運用目標でも,セシウム134は1Bq /L,セシウム137が1Bq /L,ストロンチウム等全βが5Bq /L,そしてトリチウムは1500Bq /Lという値が設定されており,けっして汚染のない地下水ではなく,汚染されていることが前提になっている。さらにこのような放出がいつまで,どのくらいの量が放出されるのか,全体像は一切明らかになっていない。このような濃度だけの基準では,いくらでも大量の放射能を放出することが可能になり,特にトリチウムは1500Bq /Lという高い値でこのような汚染水が放出されることは,また新たな国際問題に発展する懸念もある。
東京電力のトリチウム1500Bq /Lという運用目標値を超える値がNo12観測井戸から度々検出されており,希釈すれば済むというものではない。
   このような汚染の実態とこのような無責任極まりない管理の現状のもとでは,「地下水バイパス計画」の実効性には重大な疑問があり,計画の実施を強行すれば,むしろ汚染を拡大することになることが懸念される。
   平成25年(2013年)12月,IAEA調査団は,「基準値を下回るものは,海への放出も含めて検討」「一定の管理下での放水」などと提案したが,濃度の規制をいくらいっても総量が規制されない以上,毎日100トンも放射能汚染水を海洋に放出すれば,海洋汚染は進むばかりで生体濃縮による海産物の汚染拡大から人体への影響を未然に防止できるのか疑問である。
また,汚染水対策全体からすれば,「地下水バイパス計画」は緊急対策であり,地下水放出による汚染水の抑制効果は,1日20~120トン程度にすぎない。原子炉建屋周辺の遮水壁の設置など,抜本対策の早期実施の必要性はなんら減じていない。
このような中,福島県漁業協同組合連合会は,3月25日の組合長会議で「地下水バイパス計画」の容認を決め,「放射性物質濃度などの目標の遵守」などの要望書を提出し,「廃炉の一助になるよう責任ある対応をした」として「苦渋の決断」をした。放射能汚染水の漏えい,海洋放出問題は,漁業者の生活権ばかりでなく,消費者・生活者としての全国民の健康権・生存権の問題であり,こと海洋として海外ともつながっており国際問題でもある。
このような深刻な海洋汚染を引き起こすものとして,汚染水貯蔵タンクと地下水バイパス用揚水井の位置,地下水バイパス用揚水井No.12の放射能濃度状況を以下図示する。

5 海を守るため,武藤らを強制捜査せよ
(1)海を守れ
福島第一原子力発電所の沖合,そして東北地方沖合の三陸沖は,世界三大漁場といわれる豊かな海である。この海の恵みは日本国民の宝であり,さらにこの恵みによって生きる漁業関係者等の生活の場でもある。東北の真の復興を願う多くの人々にとっても,「地下水バイパス」というこれ以上の放射能汚染水の放出は,その願いを打ち砕きかねないのである。
本件において,遮水壁工事を頓挫させ先送りさせたのは被疑者武藤栄副社長(当時)であったことが既に判明している。

(2)検察審査会は武藤,武黒,勝俣に起訴相当の議決
本年7月31日に東京第5検察審査会は,被疑者武藤,武黒,勝俣の三名について起訴相当,被疑者小森について不起訴不当の議決を行い,事件は東京地検が再捜査中である。
言うまでもなく,起訴相当とされた被疑者武藤,勝俣,不起訴不当とされた小森は本件の被告発人(被疑者)である。
議決は武藤の刑事責任について,次のように厳しい断を下している。
「武藤は,平成20年6月,推本の長期予測に基づくO.P.+15.7mの試算結果の報告を受けている。当初,東京電力としては,耐震バックチェックに推本の長期予測を取り入れる方向で動いていたが,武藤自らの提案により,土木学会に検証を依頼する方針に転換した。
耐震バックチェックでの推本採用を見送るにあたって学者への根回しを指示したり,保安院への試算結果の報告を遅らせたこともうかがわれる。
試算結果の報告を受けた当初は,水密化等機器の対策についての検討も指示していたが土木学会に委ねることに方針転換して以降,後に貞観津波の報告を受けても何らの対策をとることなく,本件地震を迎えることとなった。」(甲30 平成26年7月30日付議決書)
このように,議決の理由から,武藤は津波対策を先送りしたことが明らかになった。そして,重要なのはそれを示す証拠が存在するということである,
武藤の行為は,本件においても費用の面から汚染水対策について先送りしたのと全く同じである。そして,それを示す証拠は東電本社に眠っているのである。

(3)汚染水漏えいの主犯も武藤
告発人らは,東電の広瀬直己社長ら幹部32人と法人としての同社を,公害犯罪処罰法違反の疑いで福島県警に刑事告発している。いずれも重大な責任があると考えるが,とりわけ,汚染水漏えいに関しても,遮水壁の工事計画にストップをかけ,汚染水対策を先送りにし,手遅れによって大規模汚染水流出を招き続けている東京電力の判断を主導したのは,被疑者武藤栄である。
貴県警に置かれては,本社の捜索押収と最も重い責任を負っている武藤栄副社長に対する強制捜査に一刻も早く着手されるよう強く上申する。

以上
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by kazu1206k | 2014-08-28 10:11 | 脱原発 | Comments(0)