健康管理専門家会議で国会議連が申入れ
2014年 11月 07日
これは、10月20日開催の第12回専門家会議で事務局から示された中間報告の叩き台が、放射線による健康被害そのものを否定しているとも受け取られかねない内容で受け入れ難いとし、「被災者の不安に寄り添い、国が主体となって長期的健康調査・適切医療等支援制を構築していくこと」を本旨として改めて申入れたものだ。
2014 年 11 月 6日
内閣総理大臣 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
環境大臣 望月義夫 望月義夫 殿
子ども・被災者支援議員連盟 会長 荒井聰
「東京電力福島第一原子発所事故に伴う住民の健康管理あり方関する専門家会合」についての申し入れ
当議連は、「子ども・被災者支援法」を立案した超党派の国会員集まりです。同法発議者として、 これまでにもたび政府に対して申入れを行ってきましたが、 2月には環境省が主催する「東京電力福島第一原子発所事故に伴う住民の健康管理あり方関する専門家会議」 (以下専門家会議)に有識者6名を推薦し、そのうち5名が専門家会議に出席し、有益なご意見をいただところです。
これを踏まえ、当議連では当年8月に別紙の申し入れを行ったところですが、10月20日に開催された第12回専門家会議において、この申し入れ内容が全く反映されない中間報告の叩き台が事務局から示されたことは大変遺憾です。放射線による健康被害そのものを否定していとも受け取られかねない同案の内容は、私たちに受け入れ難いものです。
被災者の不安に寄り添い、国が主体となって長期的健康調査・適切医療等支援制を構築していくことを本旨とし、総理と新大臣に対して改めて以下の通り申入れます。
記
1. 福島県内外の被災者不安を受け止めることできるよう、 当議連が8月に申し入れた内容を、中間報告に反映させること 。
2. 住民の初期被ばく量は、十分に評価されているとは言い難いので、食品の流通状況や、外部専門家からも指摘されている吸い込みによる被ばく影響、大気汚染物質に付着している放射性物質の拡散状況などについて、 検討・評価を行うこと。
3. 福島県健康調査で 見出された甲状腺がんの況は 、悪性度が高く手術不可避であったとされている(注)。 一方、専門家会議 では、「過剰診断」のみ議論が行われており、甲状腺癌の悪性度に関して議論が行われていない。 これについて鈴木眞一医師ら広く関係者からも聴き取りを行い検討すること 。
注)福島県立医大では手術54 例中に肺転移2例およびリンパ節浸潤ないしがんの大きさ1cm 以上のもが 以上のもが7割を占めるという悪性度の高いものであったこが明らかになっている。日本癌治療学会( 2014 年 8月 29 日)における鈴木眞一医師の発表や「専門家会議」第9回の外部有識者である宮内氏発言を参照。
4. 県外の甲状腺がん検診については、当事者の意見をき くことが大切であるいう意見が委員からもでている。検診の必要性を強く求めて政策提言を行い、先行して自主的な検診を開始している住民団体等の意見も聴取して参考とり入れること。
5. この中間報告を以って議論収束させるとなく、 子ども被災者支援法の理念に則り、現実に即応しながら、被災者の長期的な健康支援のための継続的な検討を行うこと。
水俣病、アスベスト、薬害などの歴史的教訓を踏まえ、被爆者援護法のような総合的保健・医療・福祉制度を確立する必要性強く提起する。
以上
(別紙)
2014 年8 月4 日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
環境大臣 石原 伸晃 殿
子ども・被災者支援議員連盟 会長 荒井聰
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する
専門家会議」に関する申し入れ
かねてより当議連および多くの市民、自治体が、原発事故子ども・被災者支援法13 条2 項・3 項に定める健診や医療費の減免措置について、その幅広い実施を求め、意見書や要望の形で政府に提出してきました。しかし、同法に基づき基本方針においては、「新たに有識者会議を開催し、今後の支援の在り方を検討」することとされました。
この結果設置された環境省が主催する「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下専門家会議)においては、これまで被ばく線量の評価に関する限定的な議論がなされてきたにとどまり、当議連が要望してきた被災当事者からのヒアリングは実現していません。一方、当議連の推薦を受けてヒアリングに参加した外部有識者からは、これまでの専門家会議の議論に対して、厳しい意見が表明されています。
そこで当議連は、政府に対し以下の通り申し入れます。
・ 専門家会議における報告のとりまとめを行う前に、原発事故子ども・被災者支援法14 条に基づき、被災者からのヒアリングを実施するとともに、とりまとめ案についてパブリックコメントを行うこと。
・ 当議連推薦の専門家が専門家会議で表明した下記の意見につき、十分な検討を行い、とりまとめに反映すること。
被ばくの健康影響には閾値がないという国際的合意を基礎とすべき
(崎山比早子氏、津田敏秀氏)
原発事故による住民の健康管理は国の直轄事業と位置づけるべき
(木田光一氏)
健康管理調査は、福島県及び福島県外の汚染の比較的強い地域において継続的に長期間続けるべき
(木村真三氏、菅谷昭氏)
甲状腺癌にのみ対応した健診ではなく、幅広い疾病に対応したものであるべき
(菅谷昭氏)
県内各地域の比較においても甲状腺がんの多発が観測されていることを前提に今後の対策を検討すべき (津田敏秀氏)
以上