東京地検の再不起訴に抗議
2015年 01月 23日
福島原発告訴団は、2012年6月、東京電力福島第一原発事故の責任を問い告訴・告発をしたが、2013年9月、東京地検が不起訴処分としたため検察審査会に申立を行った。2014年7月、東京第五検察審査会は、東京電力の旧経営陣、勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人に対して、業務上過失致死傷罪で「起訴相当」、小森明生元常務は「不起訴不当」と議決。これを受けて、東京地方検察庁が再捜査していたが、1月22日、改めて不起訴処分を行った。
東京地検の再不起訴を受け、検察審査会は2回目の審査を行い、再び起訴の議決の場合は検察官役の指定弁護士が強制的に起訴する。審査は、去年7月に「起訴相当」と議決した東京第五検察審査会になる。
検察は一体誰を守っているのか。国民を守らぬ、この国が問われている。「加害者天国、被害者地獄」にさせてはいけない!12万余の避難者をはじめ被害者の切り捨てを許してはいけない。国は国民の生存権を守れ!検察審査会の再審査は東京都民11人の審査だ。強制起訴へ国民的な運動を広げよう!
さらに、旧保安院や東電実務者など9人への第2次告訴は、依然、東京地検公安部の担当だ。東京地検は「巨悪を眠らせるな 被害者と共に泣け 国民に嘘をつくな」(伊藤榮樹元検事総長)。被害者は、再び手をつなぎ、万余の集団告訴を実現しよう。
●福島原発告訴団の声明
東京地検による再度の不起訴処分に対し、大変憤りを感じています。
7省庁や推本など、国の機関が福島沖の大津波を想定するよう発表しており、東電は貞観型の津波が敷地を超える可能性があり、対策が必要だという認識を持っていたことが明らかになっています。
重要設備の高台設置や建屋の水密化をしても浸水被害を防げないとしていますが、浸水をしても冷温停止にこぎつけるだけの対策がされていれば、被害は最小限に抑えることができました。何も対策を取らなかったことの責任が問われなくてよいのでしょうか。
どこまでを予見できたとするか、被害を回避できたかどうかを、地検の密室の中の判断に任せてよいのでしょうか。公開の裁判の中で判断されるべきではないでしょうか。地検は一度目の不起訴処分の説明の際も、「東電は捜査に協力的だったから強制捜査をしなかった」と答えるなど、被害者に向き合わず、加害者の方を向いています。
検察審査会の起訴相当の議決は国民の意思を表しています。その議決を検察は無視したことになります。
再度、検察審査会の判断に期待します。検察行政のチェックを市民が行います。市民による検察審査会の良識を信じています。
この事故の責任がきちんと司法の場で問われることを、被害者は心から望んでいます。
2015年1月22日
福島原発告訴団団長 武藤類子
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●東京地検不起訴処分に対する抗議
2015年1月23日
最高検察庁
検事総長 大野 恒太郎 殿
東京地方検察庁
検事正 青沼 隆之 殿
2015年1月22日に東京地方検察庁が出された再度の不起訴処分に対し、福島原発告訴団は深い悲しみと憤りの中にいます。
今回の処分は、大津波への対策の不作為や揉み消しなどの真実が明らかになっているにも関わらず、加害者の不起訴理由を何とか探しだしたようにしか感じられません。とうとう強制捜査もなされませんでした。
検察の本来の仕事は被害者に寄り添い、あらゆる捜査を尽くすことではないのでしょうか。
検察審査会の起訴相当の議決は大多数の国民の意思を表しています。その議決を検察は無視したことになります。
原発事故から4年が経とうとしている今も、さまざまな困難の中に生きる私たち原発事故の被害者はこの事故の責任がきちんと問われなければ、本当の人生の再建はありえません。また、同じような悲劇が繰り返される事をくい止める事ができません。
今回の東京地方検察庁の処分と姿勢に強く抗議致します。
同時に、福島原発告訴団の1月13日に提出した新たな告訴に対しては、今度こそ被害者の側に立ち、あらゆる捜査を尽くす事を要請致します。
市民の幸せと安全のために働い下さる事を要請します。
福島原発告訴団 団長武藤類子