トリチウム1000兆ベクレルの汚染水放出?!東電交渉1
2015年 01月 28日
1月16日には、いわき市漁協組合員に対する東電と国の3度目のサブドレン汚染水等放出の説明会があったが、執行部の受け入れ姿勢と対照的に、依然として一般組合員漁業者の不満の声は強ものがあり、同意には至っていない。
また、1月19〜20日にかけて福島第一原発と福島第二原発で相次いで労災死亡事故が起きたことから、労働安全衛生上極めて遺憾であり、現場作業での無理が死亡事故の背景にあることを指摘し、その説明を求め、労働安全衛生と緊急時医療体制の確立を要請した。
汚染水の海洋放出では、東京電力はトリチウムの健康影響は問題がない、市民向け説明会は開かないと国(経産省エネ庁)と協議し決定しているとし、「汚染水のタンクがあると、帰還が困難になり福島の復興は進まない」「(漁業者のみなさんが受ける)お金の被害は実害だけど、放射線は風評だ」などと、トリチウム汚染水の海洋放出を正当化した発言が際立った。
新たなトリチウム対策も国のタスクフォースを見守るとして、総量1000兆ベクレルの海洋放出を示唆した。これは、同21日、原子力規制委員会の福島第一原発「中期的リスクの低減目標マップ」案に「貯蔵液体放射性廃棄物」の削減策として、放射能処理水の海洋放出等を明文化したことに裏打ちされている。
これに対し、JF全漁連は、1月23日の会長声明で「原発事故発生以来、われわれ漁業者が、汚染水の海への放出・漏出を行わないよう、再三再四強く求めてきたにもかかわらず、海洋放出等を前提とした方針が示されたことは極めて遺憾」と表明、不快感をあらわにした。
●議事録
◆労災死亡事故の説明と質疑◆
1.第一原発:雨水タンクからの転落事故。
雨水受けタンク、堰に溜まって雨水を受ける仕組み。新しく設置したタンクの内部の漏洩検査。中に入ったところ、中が暗いということで、太陽光を入れようと天井のマンホールをあけたところ、10メートル落下。9時6分。救急医療室に9時43分。ドクターヘリを要請するも、天候のせいで救急車に切り替え、11時43分に病院到着。いわき協立病院で翌日未明1:22死亡。
天板のマンホールは、1メートル×80センチのお弁当箱の蓋のような形状。高所作業では、安全帯をつける基本動作があるはずだが、使用した形跡がない。手順に沿っていたのか。蓋をあける手順を遵守したのかを確認中。
現場の危険個所をつぶしていっている。昨日は緊急会見を行い、本日、作業を中止して、問題点を点検している。第一、第二、安全点検。
2.第二原発:濃縮機事故。
第二でも、最低限必要な設備の点検を行っている。プラントからの廃棄物の処理。1号機から出てくる廃棄物。5階で、液体の濃縮機を点検していた。点検用の台に頭部が挟まれ、頭部から血を流し意識不明。9時ごろ、出発し、9時半に発見。37分に救急車要請。42分に応急処置室。10時48分にドクターヘリ出発。11時20分病院到着。11時57分死亡確認。
お椀のような機器がついていて、回転させて使用するもの。基本動作の徹底を福島第一、第二に徹底、確認しているところ。
Q:我々としても、7000人もの人が作業され、困難な作業をされている中で、今回の事故は残念だと考えている。作業環境、作業動作、無理があるのかという感じがする。安全帯をつける基本的な安全策をとらずに、急がせているのかという感じがする。安全よりも効率、タイムテーブルという問題が前提としてあったのでは。無理をしている、させている環境ではないか。無理はないのか。
A:被災されたのは、作業員ではなく検査のために入った方だった。急がせているということではないと思う。
Q:では、監督する側の人が安全対策を怠ったのか。余裕がないのでは。
A:いろいろ要因はあり、余裕がないのかもしれない。予断を持たずに、こういう事故がないように、要因を検証している。確認がとれた作業から作業をスタートさせる。安全確認を。
Q:マンホールは普通、丸型。形が四角だったせいで落ちたのではないのか。
A:当然、ある。既製品で問題があった。お弁当のふたのように、上からかぶせる構造だと聞いている。実物を見たわけではないが、外すにしても、いったん持ち上げてずらす。
Q:緊急に作られたタンクはみんな同じ形なのか。
A:みんな四角い。タンクの天板からの作業は恒常的にある。そこから水を汲みだして移すなど、恒常的に作業をしている。天板からのアクセスを考慮してそのような形になっている。
Q:蓋が落ちなければ人間は落ちなかったのか。人間が落ちたから蓋も落ちたのか。構造上の問題もある。蝶番をつけるとか、チェーンをつけるとか、対応策を。
A:わからない。今、そういった対応も含めて検証中。
Q:その時、社員はどこにいたのか。
A:タンクの中に2人。元請けの社員が1人で上った。
Q:柏崎では何が起きたのか。
A:資料を用意していないが、電気を送るための路線が集中している部屋があり、組まれた足場から、そこの写真を撮っていたところ、3.5メートルほど落下してしまった。重症ではあるが、幸い命に別状はない。被災したのは協力企業の方。
Q:タンクの作業は、安全帯をつけるマニュアルだったのか。
A:マニュアルというよりも、基本動作。最初に現場に入るときに、日々、高所作業の中で、作業員全員に繰り返し伝えられる動作。なぜ安全帯をつけなかったのかわからない。
Q:1月15日に安全総決起集会があった。しかしその日の午後、グラインダーで怪我。19日にも事故があって、20日には死亡事故。すごく事故が多い。
A:ご指摘の通り、今年の決意として安全集会をしたけれど、根本的に安全対策の上に問題があるのではないか。見直しをかけて再開したい。
Q:死傷事故発表の場合、敷地内であれば、発表するのか。被曝の問題も、必ずしも敷地内で起こるわけではないので、線引きがどうなっているのかわからない。
A:基本的に、公表は、敷地内で起こって重大な災害については公表している。外部から救急車を呼ぶとか、治療行為があったとか。戸外で起こった事故については、関連の作業があって、現場に行く作業のダンプが事故を起こした場合は公表することもあるが、敷地外で我々から把握できないものは公表できない。被曝の問題は、作業の部分は積算をしているので、自分でわかる。体調が悪いとか、労災を申請するとか、その時点で、我々が関わるかはケースバイケース。はっきりわからない。
Q:被曝の問題を、積極的に東電さんがやっていると見えない。
A:作業員の方の被曝は、積算でデータを持っている。放射線管理というのは、元請けを通して、放射線協会とデータを共有している。いろいろな機関の方が因果関係を調査することになっている。毎日の作業の後で、外部被曝を確認している。不幸にしてガンになったとしても我々は因果関係がわからない。労災を申請するようになればわかるかもしれない。疫学統計、医学調査は我々はやっていない。
Q:救える命が救えなかったのではないか。サイト内に病院を作るのか。ドクターヘリの常駐化は。
A:24時間、常駐の医師を考えている。ドクターヘリの常駐化は考えていない。
Q:作業員の方はショックだよね。2日続けて亡くなったのだから。苛酷な現場なのだから、救える体制を整えるべき。東電と国の責任で。
A:答えなし
Q:タンクの構造から、蓋を置く場所がないのでは。幅はどのくらいあるのか。
A:あくまで緊急設置のタンクだったので、構造も含めて確認している。その後の雨水タンクは、汚染水のタンクも含めて溶接型になっている。問題点の洗い出しをしている。
Q:外部の目を入れる気はあるのか。
A:外部のコンサルタントを入れて安全上の対策をとった。
Q:東電のいう外部は外部ではない。検討委員会を立ち上げるとか、抜本的に考え直すべき。体質改善問題も一向に改善していない。
A:足りないところがあった。反省。
Q:今までも、天板をあけて点検する作業はあったのか。
A:あった。点検のためにあけたり、機器の搬入のためにあけたり。
Q:明かりとりというのは、この天窓だけなのか。
A:中には照明もついている。少しでも明るくして中を見たいと思って開けようとしたのだと思う。ハンディタイプの投光器も持って入ったが、さらに明るくしようとした。この検査の時は、一般的にマンホールから明かりを得ていたと聞いている。
Q:「意識あり、汚染なし」と書いてあるが、これ「汚染あり」だったらどういう対応をしたのか。
A:まず除染という作業になる。外の病院に行くことを考えれば、表面汚染の基準は、1万3000cpmだが、人命優先で、汚染のまま運ぶこともある。病院で除染。
Q:2Fの方は1人で作業をしていたのか。
A:6人で作業。他の5人は、同じフロアの別のところにいて、準備作業をしていて、その1人が作業を。事故の際は1人だった。同じフロアにはいたが、別のところにいて。
Q:このお椀はなんでできているのか。
A:重量は700キログラム。円筒形で、直径1メートル、高さ45センチ(または60センチ)の筒。臼のような形になっている。材質は炭素鋼。
Q:第2の被害者の方の年齢は。
A:40代。
Q:作業員の方にはショックなことだと思うので、通り一遍の対応ではなくお願いしたい。ドクターヘリ常設、サイト内の病院設置、何らかの対策が必要。40年も50年も続く廃炉作業だ。付け焼刃で当面の、という話ではなく、労働安全衛生と医療体制をきちんと整備するようにぜひとも考えてほしいと、常務にも要望としてあげてほしい。このままじゃ、作業員の人も作業できない。

ホームページの記載漏れ
A:ホームページの掲載については、説明資料に新規の内容が含まれていれば掲載する。ご指摘の9月18日のいわき市漁協への説明資料は、これまで当社が公表した内容の範囲内であるため、ホームページの掲載は行っていない。8月25日と9月18日、資料の体裁は変更してあるが、内容はほぼ同一。
Q:新たにデータ出て9月18日に載せているわけだから、9月18日の分として載せるのが筋じゃないか。
A:データはその都度、ホームページにアップしている。
Q:それは確認取れない。漁連の方に渡した資料は、ホームページに逐一載せてほしい。一般市民が知ることができるようにしてもらわないと、内容をチェックできない。今後はこのようなことのないようにしてほしい。昨年の12月からはその都度、資料を公開しているので、この形でやってもらいたい。9月18日の件は非常に疑問で、このことを知りえたのは報道陣から。漁連に説明した資料はそれしかない。
A:ご意見としてはわかる。今後は、そのように。
4号機燃料取り出しの延べ作業者数
A:続いて、4号機の燃料取りだし作業の被曝量の分母となる「延べ作業者数」。延べ1万4000人の方が作業した。その後集計が進み、ロードマップには、4号の集計が載ってきているので、確認を。
Q:その中で最大はいくつだったのか。
A:12月のロードマップで集計が終わりまして、最新のデータ。燃料取り出し作業で、個人線量の最大は4.26ミリシーベルト。キャスク取扱い作業は、個人線量12.06シーベルトが最大。
Q:この間は6.2とか…。倍だね。
A:はい。12月で燃料の取り出しが全部終わり、公表させていただいた。作業には遮蔽材を設けるなど、被曝対策を行ってきた。被曝線量が低減してきたこともグラフに。
Q:線量計のメーカーと機種を教えてほしい。統一なのか。
A:メーカー名、線量計は2つあって、1つはガラスバッチ、1つはAPD。最終的にはガラスバッチで行うと思う。
Q:低めに出る懸念はないのか。ガラスバッチは、正面からは丸々拾うけれど、後ろや横からは拾えない。
A:積算になるので。積算していくものなので。体が遮蔽になるんじゃないかという話だと思うが、可能性はゼロじゃないと思う。今回、事故が始まってからの話じゃなくて、昔から言われてきた。
Q:メーカー名、次回でいいので教えてほしい。
A:メーカーがわかると、何かあるのか。メーカーと関係ないんじゃないかと思うが。
Q:校正はどうしているのか。測定値が保障されているのかも、説明してほしい。
A:放射線管理のイロハですから、しっかり校正している。当然、全部やっている。決められた通りにやっている。
Q:アルゴリズムもいろいろ違うだろう。
A:それは申し訳ないが我々ではわからない。
Q:次回、メーカーと機種。校正のやり方もわかれば。外部被曝の評価は、ガラスバッチの数字だけか。
A:APDで積算したものとガラスバッチを突き合わせている。一般的にはガラスバッチでやっていると思う。
Q:体の後ろからの被曝は差し引くとか。
A:していない。
Q:作業員さんが毎日、数字を書き込んでいるのか。
A:ガラスバッチは月に1回。
Q:その日その日の分は。
A:APDで、各個人が。
Q:APDはポケットに入れているわけか。後ろからの分というのは。
A:先ほどから言っているように、していない。
Q:では、実際の被曝量は、数割増と考えればいいのか。
A:わからない。
飛散防止剤の希釈問題
Q:では関連して、例の3号機のガレキ撤去の飛散防止剤の報道は。
A:メーカーでは10倍推奨という新聞記事だったが、そもそも我々は100倍でも飛散しないと確認をとっていた。4号機と3号機のほとんどの作業は100倍で終えた。8月に、大型のガレキを動かすため、クレーンを動かそうとして、その下のダストが、飛散防止剤が浸透していなかったために飛散した。思い当らなかった。希釈濃度も10倍に戻した。新聞記者にもそう話したのだが、記事としては、一つひとつの事実は間違ってはいないが、全体の話は書かずに、100倍でダストが飛んだように書かれたと我々は理解している。
Q:8月の南相馬のお米のセシウム汚染については、いろいろ見解があるようだが、大型クレーンの下の部分のものが飛散したのではと、より丁寧に撒く、頻度を増やす、濃度を変更した。その変更はいつなのか。
A:作業再開は12年の10月。8月に起きて、作業は2カ月ストップ。飛散濃度と頻度。大きい機材を動かす時、大きいガレキ撤去の際、頻度と濃度を上げている。以来、上がっていないことを確認している。
Q:マスコミが間違って書いたのだということでいいのか。
A:マスコミの書いたパーツの一つひとつは正しいけれど、100分の1の作業でも飛散はなかったとは書いてくれない。問題ないと書いてくれなかった。反論は、ホームページに載せてある。マスコミは書いてくれないので、それ以上できない。
Q:8月から3号機の作業では、100倍に希釈し、回数を数日から数週間ごとにするよう指示したという、これのことか。
A:どういう取材で書いたのかわからないが、希釈度がメーカーは10分の1、原液を推奨だが、我々は、試験をやって100分の1でも大丈夫という認識だ。使用者側は使用者側で、100分の1でも大丈夫という確認をしている。試験をやっている。燃料プールに飛散防止剤をできるだけ混入させたくないという思いがあった。
Q:温度も含めて実験したのか。夏の暑さも。
A:通年通して、4号機では100倍で。
Q:その判断は東電の判断ということか。
A:我々。売る側は原液を勧めている。
Q:投下線量の発表が、何分平均で出しているのか。施設は10分でしょうが。
A:連続ではかっているから。積分値で。計測は連続で、放出量は積算の値でやるので、抜けはないと思う。モニタリングポストのことなら、
Q:構内の被曝量は。
A:各地点のモニタリングポストで。パーアワーで。
Q:1時間の平均で出すのか。
A:そこに1時間いたらを評価する。
Q:どんどん変われば。
A:どんどん変える。
Q:一番高い数字を出すのか。
A:なんか、本質的な議論とは思えない。平均値で実測値に近い数字になる。8月13日、19日当時のダストのデータが分析されて、このくらい出たと分析した。ぶわっと出たのがぶわーっと流れていって、モニタリングポストの計測を。人の被曝は、個人線量計があって、それを見ているので特に問題があるとは思っていない。一番問題だったのは、当時、その近郊にいた人かと。ダストが降り積もって、過酷な過去の気象データを基に、高めに出るような気象条件を当てはめて、そこにいて被曝したらどうなるかと分析した。
Q:瞬間的に上がったものはわからないのか。
A:それも積分値に入っているから。
Q:瞬間的に上がったものは、そこに線量計があればわかるが、リアルタイムにはわからない。
A:人がいれば、その人の線量計が。
汚染水問題
Q:今日の原子力規制委員会で、タンクの汚染水を処理して放出する方針が報道で流れている。普通は東電が「流したい」と言ったのを、規制庁が止める役割だと思うが逆。田中委員長は「流せ流せ」と。傍聴した人の話だと、「タンクの死亡事故が出たのも、、汚染水を早く流さなかったからだ」とまで言っているが。基本的な方針として、タンクの汚染水、特にトリチウムをどうするのかは、現在検討中ということでいいのか。そこが明確でない状態で、歯止めなく次はタンクだとなってきている懸念がある。
A:基本的には、従来から説明しているように、世界中の英知を集めて、トリチウムの対策を確認。その上で、関係する方々にもご理解いただいた上で、何らかの対策をということで。
Q:地下水ドレン、サブドレンの放射能濃度。
A:国の監視強化検討委員会で配られた資料35ページ、去年10月にまとめたデータ。資料の位置づけは、サブドレンピットの数字、浄化装置を通ったときの数字、正式なデータになる。1回から5回まで時系列的に示したもの。
Q:去年10月のデータが最新なのか。
A:そのあとは、ここで一区切りしていて。
Q:その後、濃度検査はしていない。
A:今は議論をさせていただいているところで、タンクの水質を排水前に常時出していくことになると思う。
Q:1番ピットのトリチウム、これ凄いね。計測もしていないのね。
A:けっこう線量が高いところなので、頻繁に行きたくないということもある。運用になってからはこれからの話。
東電交渉2に続く。
