健康調査拒む環境省、1.29院内集会&政府交渉
2015年 01月 30日
自治体議員連盟は、これまで、支援法の具現化ために、国会請願や予算要求、「住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」への要請、住宅支援や健康調査などの緊急課題に対する政府交渉などを実施。この日は、昨年12月の支援法関連予算案の関係各省庁ヒアリングをふまえて、院内集会を行い、自治体議連として政府関係機関に要望書を提出して、政府交渉を実施したもの。








自治体議員連盟では、政府の頑な原発事故被災者切り捨ての態度に対し、あくまで法の理念に基づく、原発事故被災者の支援施策の実現を、これからも粘り強く求めて行くこと、4月の統一自治体選挙のなかで、原発事故被災者の支援、原発事故子ども・被災者支援法の推進を掲げていくことを確認した。
●原発事故被災者に係る健康調査、住宅支援、保養等をすすめる要請書
内閣総理大臣 安倍晋三 殿 2015年1月29日
復興大臣 竹下 亘 殿
環境大臣 望月義夫 殿
厚生労働大臣 塩崎恭久 殿
文部科学大臣 下村博文 殿
国土交通大臣 太田昭宏 殿
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
福島原発事故から3年10ヶ月、事故収束の見通しも立たず、原発事故被災者の暮らしは、依然困難な状況が続いている。長引く事故の影響の下、ふるさとを追われ家族や地域が分断されたまま、応急仮設住宅等で避難生活を強いられている被災者は、住まいの不安を感じ、入居期間延長や住み替えについての柔軟な対応を求めている。放射能汚染と長期的な低線量被曝に、避難区域はじめ放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域では、子どもや住民に対する自主的甲状腺検査が実施され、健康調査の適切な実施を求める声が広がっている。
「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めている。しかし、政府の「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」および健康・生活支援施策は全く不十分で、怨嗟の声が被災者に満ちており、法の実現のため個別法の制定を求める動きも始まっている。
国は、原発事故被災者の意見を聴く機会を速やかに設け、生活再建・医療福祉など、原発事故被災者を総合的に支援するために、立法措置を含む必要な措置を講じるとともに、自治体が講じている施策についても、国が適切な支援を行なうことを求められている。
本議員連盟は、法の理念に基づき、これまで原発事故被災者の生活支援等に係る施策の実現を求めてきたが、あらためて健康調査、住宅支援、保養等の具体的施策の実現を要請する。
記
1、定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免など、法第13 条第2項第3項の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。
① 定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免について、法第13条第2項では、一定の被ばく線量以上の地域の原発事故被災者の生涯にわたる健康診断の保障、第3項では健康被害についての医療費減免が規定されているが、福島県内ですら甲状腺がん、心の健康、生活習慣病等の狭い範囲の健康診断であり、詳細な健康診断は避難区域からの避難者のみで、甲状腺がん以外の癌や疾病が把握されていないところから、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域において、長期継続した定期的な健康診断と健康影響に関する調査を国の直轄事業として実施するための必要な措置を講ずること、及び平成23年3月11日において、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域に住所を有し18歳未満であった者の、事故由来の放射線に起因しないといえない甲状腺がん等疾病について、医療費の減免に関する必要な立法措置を講ずること。
② 国は、放射線障害検査のため、原発事故被災者への定期的な健康診断の実施、心電図検査や回数の増など学校検診の拡充、かかりつけ医での血液検査の実施、甲状腺検査も含め現行健康保険制度の適用による医療給付の実施に必要な措置を講ずること。
2、避難者が避難先・移住先において生活再建が可能となる住宅支援の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。
① 2016年3月までの適用とされる災害救助法に基づく仮設(みなしを含む)住宅などの応急的対応をあらため、避難者への住宅供与期間の長期化、避難者の意向や生活実態に応じた更新、柔軟な住み替え・転居を認めるなど、避難先等で生活を再建できる必要な措置を講ずること、また恒久的総合的な住宅支援のため必要な立法措置を講ずること。その際、避難者の意向や生活実態に応じて、新たに避難を開始するものも含め避難、帰還、帰還後の再避難を柔軟に認め、国の直轄事業として住宅供与等を行なうこと。
3、子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援強化拡大と保養制度の実現のために、立法措置を含む必要な措置を講ずること。
① 子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援は、文部科学省の「自然体験・交流活動支援事業」があるものの、利用できるのは一部で回数も年1回と限定されているところから、原発事故被災者と子どもたちが幅広く利用できる支援の強化と民間活動への支援拡大など必要な措置を講ずること、さらに国としての保養制度を創設する必要な立法措置を講ずること。
4、法第十四条を遵守し「被災者の意見の反映」を実現するため被災者等協議会を設置して、基本方針の見直しを行うこと。
以上
