汚染水事件、福島地検が告発人から事情聴取
2015年 12月 03日
この事件は、福島原発告訴団が、2013年9月3日、福島県警に対して、東京電力元幹部武藤栄ら32名と法人としての東京電力株式会社を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)」の被疑事実で刑事告発した事件。福島県警は、本年10月2日、広瀬直己東電社長や勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長ら新旧経営陣32人と法人としての東京電力を福島地検に公害犯罪処罰法違反容疑で書類送検していた。
送検の容疑は、東京電力が、福島原発事故後、2011年6月政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について、経営破綻を危惧して問題を先送りにし約2年間にわたり、抜本的対策を講ずることなく放置、危機的な状況を政府規制担当者らに説明せず、1日当たり300~400トンの汚染水を海へ流出させた。さらに、汚染水貯蔵タンクの監視や漏えい防止措置を怠った結果、2013年7月までに応急仮設タンクから約300トンの汚染水漏洩、引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし、これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず、事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した疑い。
福島県警の捜査は、東京電力関係者らから事情聴取などを進め、「捜査を尽くした」としているが、福島地検への送検に付した意見書の内容や認否については、明らかにしていないため、福島地検による捜査と処分の中身が注目されている。
今後、福島地検が厳正公正な捜査を完遂して、東京電力の責任を明らかにし幹部らを起訴するよう、福島県民、市民の監視が必要だ。