常磐共火勿来発電所、市に虚偽データを15年間報告
2015年 12月 18日
同社によれば、「ボイラー燃焼排出ガス量データ(注1)について、実測値と異なる数値を自主測定結果報告書に記載し(注2)、いわき市へ報告を行っていたことを確認」「このような虚偽報告は少なくてもデータが存在する平成12年頃から継続して行われており、6号機から9号機において、確認(注3)」したとしている。
虚偽報告の内容について、報道では「例えば9号機では本年9月、204万6000立方メートルを測定。届出値が199万立方メートルのため、198万5000立方メートルにと報告書に記載した」とされ、平均では1割以上の改ざんが15年間にわたって行われていた。
(注1)ボイラーで燃料を燃やした際に発生する排出ガス量を測定したデータ。
(注2)常磐共同火力はいわき市との「公害防止協定」に基づき、2か月に1回以上ばいじん濃度を測定し、それに併せて排出ガス量も測定を行い、自主測定結果報告書に記述したうえ、半年毎にいわき市環境監視センターへ報告している。
なお、硫黄酸化物濃度(SOx)・窒素酸化物濃度(NOx)・発電量・排ガス温度・排ガス濃度については、「公害防止協定」第7条に基づき、テレメータ(遠隔地から伝送された測定量を計測・記録する装置)によって、いわき市へ測定値を常時送信している。
(注3)現時点において、ばいじん濃度測定時(2か月毎)の実測データを検証、大気汚染防止法に基づく排出基準を超えるデータは確認されていない。
この虚偽報告について、常磐共同火力は、危機管理対策本部及び社内調査委員会を立ち上げて、虚偽報告の調査、原因究明を実施し、再発防止策の策定するとしている。「公害防止協定」を締結しているいわき市には、協定に基づき12月15日報告があり、いわき市と福島県が16日午後、勿来発電所への立入検査を実施し、測定結果等の確認をした。今後、いわき市は、この報告書の提出を受けて厳正に対処するとしている。
常磐共同火力は、実測値のガス量が大気汚染防止法の排出基準を超えておらず、周辺住民への影響はないとしている。しかし、市民の健康を保護し生活環境を保全するいわき市との公害防止協定の信義に反する行為は明らかである。
市民は、「なぜ、15年間も虚偽報告が行われたのか?」「なぜ、いわき市も福島県も虚偽報告を見抜けなかったのか」「15年間という悪質性は組織に問題があるのではないか?」「電気事業法には抵触しないのか?」「東京電力と共同で進めるIGCC(50万kW級の世界最新鋭の高効率石炭火力発電所)の運営は大丈夫なのか?」などの疑問を持って、この事案の行方、いわき市等の対応を注視している。