「マイナンバー」仕組みと問題点学ぶ
2016年 02月 28日
講師の白石孝さん(プライバシー・アクション代表)は、「マイナンバー制度の仕組みと問題点」と題して講演。
そもそもの番号制の導入の目的は、政府による徴税の強化だった。しかし、安倍政権による「番号法」の改定によって、番号の利用が公的分野から民間利用に拡大。初期導入投資だけで国費と自治体費用で数千億円の税金を使い、「3兆円市場」といわれる。実際は、中間層や貧困層への課税強化で資産家や大企業の納税の適正化にはならず、むしろ大量の個人情報の流出につながり、なりすましや詐欺犯罪に大きく道を開くことになった。
今後、政府は、クレジットカードやキャッシュカードなどを含めたワンカード化を進め、2020年のオリンピック会場の入館規制にカードも持たずに本人の顔認証システムを導入するなどの住民管理・監視社会の強化を狙っている。
白石さんは、豊富な海外での取材から、特に韓国では、個人番号につながった個人業報の大量流出事件が、2008年1月から20014年11月までに公表されただけでも、ハッキングや行政情報の販売、銀行・保険情報の盗用など2億3719万人の個人情報が流出したことを報告、取材ビデオを上映した。
こうした状況下で、個人番号の扱いと個人番号カードの申請について市民はどう対応したらいいか。これについて白石さんは、番号を書かなくとも役所の手続き等に支障はないこと、カードを持っていなくとも困らないことから交付申請しないこと。
諸外国での犯罪多発の状況からも、個人番号の利用は公的機関内部のやりとりに限定すべきである。危険なマイナンバー制度の全面的な見直しが必要、と指摘した。
